雑記

__blurry_のおぼえがき

5/21

できたこと

  • 洗濯
  • 皿洗い
  • 料理
  • 身体を休める

雑感

 水曜日の午後に打ったワクチンの副反応が、土曜の夜にようやく全快した。体温計は未だに家になく、何度まで上がったのかはよく分からないのだが、体感では38度プラスαくらいの熱がずっと続いていた。正直なところ、接種翌日は休むとして、その次の日もワクチンの副反応と言い張って有給を取りまったり過ごそうと画策していたのだけれど……。まさか本当に熱が出て布団からろくに身動きも取れないまま一日を潰すとは思わなかったし、土曜日まで常にうっすらと熱っぽさを引きずるとはさらに予想外だった。こんな目に遭うのでは反ワクチン派の気持ちにも少しだけ傾いてしまう。

MU2022

 土曜日は病み上がりのけだるさを引きずってはいたものの、軽い粗熱を残すのみになっていたので、快気祝いに麻婆豆腐を作り、それを食べながらMU2022を観た。生身の人間が生でパフォーマンスしていても、「音源の方が全然いいな……」と感じると即座に白けるし、ダンスパフォーマンスに重きをおいていないというのもあって声優・女性シンガーのパフォーマンスはなんとなくで聞き流し、目玉はDJ Wildpartyさん・BUDDHAHOUSEさんの二名。前者はスケール感の大きいエモと内輪的な悪ノリを往復しつつ、気がつけばその悪ノリに大勢の観客を取り込んでいるという魔法のようなプレイがいつも通り楽しかった。BUDDAHHOUSEさんは小箱でかかるようなアンダーグラウンドの音とメジャーシーンの賑やかな音を、どちらにも傾かない中間領域で絶妙に鳴らす巧者で、サウンドの馴染みという点ではこの人が一番楽しかった。
 そして何より呂布カルマアニメアイコンのオタクを忌み嫌っていると言いつつトークでオタクを沸かす手腕はやはり現場叩き上げの一流で、配信を見ていて声を上げて笑ってしまったし、現場のオタクは大盛り上がりだった。そしてそれはトラックもラップも同様で、ダークで和風なアンビエンスを帯びたクールなトラックに呂布の独特のフロウが乗ると、一気に空間が呂布カルマのカラーに染め上がる。プロフェッショナルの技だなと感じた。
 以下に記すクラブイベントに備えて寝たため、残りのプレイは観るのを諦めた。どうせ録画がある。

music.youtube.com

Electric Circus

www.precioushall.com

 石野卓球が札幌に来ていたので行ってきた。本当に良かった……。去年と似たような感想になるが、テクノ・ディスコ・ハウスの中間にある針の穴ほどのゾーンを常に通しつつ、ニューウェーブ・80'sへの偏愛を隠さない、"石野卓球"のカラーがプレイ時間ずっと一貫していて、まさしく職人技のようなプレイだった。"電気グルーヴの"がつかない石野卓球アンダーグラウンドかつコアで本当にかっこいい。つく時の方は3曲くらいしか知らないので保留とする。

 しかし前座が酷かった……。Precious Hallは100人も入らないような小箱なのだが、そこでロックフェスにでも出ているかのような壮大で音場の広いトラックばかりガンガンにかけまくっていて、フロアのムードとも「前座DJ」という役割とも時間帯(~午前一時半)とも全然噛み合っておらず、最後の10分間以外はずっと場違いな繋ぎを続けていた。次は卓球一人で来るか、前座はローカルのDJに任せてほしい……。

#卓球がかけてた

 そんなハッシュタグはないが、石野卓球の選曲がとても良かったのでハイライト(思わずshazamした曲)を以下に記す。

Basement Jaxx - Rendez​-​Vu (Jesse Garcia Club Mix)

 前座DJが卓球への繋ぎでプレイした曲。大箱鳴りのハウスビートに情熱的なフラメンコギターがジャカジャカと重なる。キックがバウンシーでフロアが沸騰していた。

Piero Pirupa - We Don’t Need (Extended Mix)

www.youtube.com

 Pink Floyd"Another Brick In The Wall"のサンプルを重ねたテックハウス。キャッチーなボーカルラインの一発ネタでなく、地に足の着いたベースラインと軽やかなカウベルの刻みがトラックの強度を支えている。やや固めのキックが身体にドカンと聴いてきて気持ちいい。

Donny Rotten - Disco Thang

 様々なディスコがサンプルされている(であろう)ディスコハウス。ドスドス響くディスコハウスは最高。

Fracture & Sam Binga - Xtatic

 ブリストルのベースミュージックプロデューサーSam Bingaの最新アルバムからの激烈なエレクトロ。これはBandcampのトップページでも取り上げられていたのを覚えている。バキバキのビートで気が狂うかと思った。フロアで叫んだ瞬間その1。

Josh Wink - Higher State Of Consciousness (Adana Twins Remix One)

 ドイツのプロデューサーデュオAdana Twinsによるビキビキのアシッドエレクトロ。元はStrictly Rhythmからリリースされたややブレイクス寄りのトラックで、アシッドフレーズももう少し速いのだが、ここでは減速によってエレクトロの力強いビートとアシッドの毒性がいや増して感じられる。フロアでアシッドを聴くと鳴りが予想以上に太く、TB-303がそもそもベースシンセであったという原点が思い出されてくる。原曲もおすすめ。

Thee Maddkatt Courtship III - Cosmic Pop

 シカゴのプロデューサーFelix Da Housekattなる人物の別名義プロジェクト。New Order等の80年代ニューウェーブディスコをフィルターハウスの感性でエディットしたようなトラック。フロアの一番暖まった時間に華やかなホーンが突き刺さる。

Dead Or Alive - You Spin Me Round

 UKのディスコ・ニューロマンティック(何それ?)・Hi-NRGユーロビートバンドDead or Aliveのヒット曲。全米チャートに入ったというから有名曲なのだろう。石野卓球の切り札の一つで、去年のパーティーでもかけていた。エディットのテイストが現代的なように感じられたので、URLに挙げた12インチバージョンではなさそう。

TAN-RU - Keep Reachin'

 Inner Life"Ain't No Mountain High Enough"ネタのミニマルテクノ。フロアで浴びるとあんなに猛烈だったのに部屋聴きでは味気ない。石野卓球のかけかたが上手いのかもしれない。

Ben Kim - Somebody To Love

 Jefferson Airplaneの同名トラックをサンプルしたベースライン主体のハウス。これも石野卓球の切り札。ビットレートの下がったサンプルが浮上してくるパートでみんなで手を叩く。

Butch - In Gods Arms

 先述のディスコ・ハウス職人Butchのトラック。メランコリックなピアノフレーズがごつごつしたビートの上でヒプノティックに繰り返される。

Fat Truckers - Superbike

 午前六時半を過ぎてミラーボールが止まり、フロアの照明が灯り、最後のトラックが終わって、観客の拍手が鳴り止んだところで、一人の観客が「もう一曲!」とリクエストを発した瞬間にプレイされた楽曲。アルバム一枚を残して解散したUK・シェフィールドのシンセパンクバンド(?)Fat Truckersのトラック。Primal Screamのようなチープなビートに、ギリギリとチェーンソーが唸るような歪んだインダストリアルシンセとブリープ音が重なる。四つ打ちで完全に疲弊していたところに激しいサウンドで鞭打たれ……一気にテンションが回復した。フロアで聴くと床も揺れんばかりの凄まじい勢いと張りを感じるトラックだったのだが、部屋のスピーカーではやはりどうも……。それでもやはりかっこいい。

読んだもの

 「シンデレラメゾン」一巻を読んだ。しかし疲れたので今日はとても……。

5/14

できたこと

  • ランニング
  • 料理

雑感

bandcamp率

 TL上で音楽関連のツイートをする人がストリーミングサービスでなくBandcampのリンクを貼っている確率が高まってきているのを感じる。とても嬉しい。

大乱闘

 金曜日は残業しても良い日、と決めていたので22時前まで残業していた。おかげで仕事が終わったころにはすっかり空腹になっていてとても料理を作れる状態ではなかったのだが、「まあ23時くらいまでお店自体は開いてるだろう」と高を括っていたらどの店もラストオーダーが22時だったりして瞬く間に詰んでしまった。そこで近くにいた後輩を呼んだ。
 出来合いの惣菜を買ってきてくれるように「麻婆豆腐を買ってきて」と頼んだ後、ついでに後輩の分も自作するかと「ついでにネギと豆腐も」と頼んだところ、渡された買い物袋には麻婆豆腐の素が入っていた。それは確かにそうなる。かと言って料理をする体力もなかったのでとりあえずスマブラをつけた。これが22時半ごろ。いったん休憩を挟んだ時には午前2時になっていた。乱闘中に空腹なんて気にしていられない。

リズと青い鳥』revisited

 お腹が空いたので麻婆豆腐を作って食べたあと、後輩が私の部屋から『リズと青い鳥』のBDを見つけ、「観たことない」というので観ることにした。
 改めて見るとみぞれの挙動が小動物みたいでいちいちかわいい。公開当時はフェティッシュなカメラワークとみぞれの情緒の激しさにとても息をしていられなかったのだが、知り合いとあれこれ喋りながら見る分にはある程度気を抜いて観ることができる。

 公開当時は"百合"ということもあって、のぞみとみぞれの人格とその成長についてフォーカスしていることが多かったのだが、今回は新山先生とみぞれが「愛の在り方」について語っているところがとても面白かった。
 リズは青い鳥が自分といて楽しそうにしていても、空を飛んでいる仲間たちに憧れ、空を飛びたいと思っていることを見抜いている。しかしリズは鳥ならぬ人であるから一緒に空を飛ぶことはできないし、自分と一緒にいる限り空を飛ぶことはいつまでも叶わない。だからこそ青い鳥へ別れを告げ、大空を自由に飛び回る姿を見せてほしいと促す。みぞれはそれを「リズの愛の在り方」だと言う。一方で青い鳥はリズを愛しているが故に、リズを不幸にしてしまう「リズと一緒にいたい」という思いを手放さなければならない。
 ここで結局みぞれは自分をリズと青い鳥のどちらだと思ったのだろう?という疑問がずっとあったのだが、答えとしては「どっちも」なのだろう。みぞれはリズとして希美を自分のもとに引き留めようとする思いを手放さなければならず、一方では青い鳥として、希美がいなくても一人で演奏し続けられる姿を見せなければならない。それがみぞれの愛の在り方なのだろうと思った。後者については裏を返せば「希美のフルートが好き」とは絶対に言わない残酷さ、みぞれを人ならぬ"青い鳥"たらしめているものでもあって、絶対的に善なるもの美しいものとも言い切れないのだけれど……。
 二人が大好きのハグを終え、音楽室と自習室にそれぞれ向かっていくシーンの後、赤と青の絵具で描かれた二つの円の重なった部分が紫色に変わっていく描写が挟まる。これも二項対立的に自他を切り分けて執着・対立するのでなく、お互いにお互いを自然な形で自分の中に配置できるようになる、という意味なのだろうなと思った。忘れたころに改めて見るとまた別の角度の発見があって楽しい。

タンゴ失敗

 リズと青い鳥を見終えてからふざけて「サタンタンゴ観ない?」と誘い、「とりあえずストーリーが動くところまではなんとか見よう」と決めて再生したのだが、開幕5分間牛の群れが牛舎から出てきて牧場に歩いていく長写しで後輩がさっそく船を漕ぎ始めて笑ってしまった。画面の美意識はばっちり決まっているし、音楽の使い方もかなり好みだったので、一枚ずつ(この映画のBDは三枚組)観ていこうと思う。今回は「寝られると思うのでつけっぱなしにしといてください」ということで入眠用BGVになった。私は寝室で寝たのだが、壁の向こうから凄まじくラウドな物音が聞こえ、これで寝るのは無理そうだなと思った。

クラシックと若者

 20代の人間がCurtis Mayfieldをオールタイムベストに入れているのがどうこう、みたいなトピックが盛り上がっているのを見かけた。元は「年齢関わらず好きな音楽を好きな時に聴けばいい」という話だったのが、Curtis Mayfieldの魅力を語り合う流れになっており、正直げんなりしてしまった。
 多少なりとも音楽を聴いていれば70年代ニューソウルが素晴らしいことなんて議論の余地なく自明であって、それを今更蒸し返してきて何を盛り上がっているんだろうと思う。2010年代のインターネットの主流は70年代までの音楽(ジャズ、ソウル、ファンク、ハードロックetc…)をリスペクトし80年代のフュージョンやロックを"商業化"として下げるというものだった。70年代以前の音楽を愛する人間は「おっさん」であり、いつまでそんな時代の話をしているのかと煙たがられる存在だったはずなのに、いつのまにか一周してそうした音楽へのリスペクトが戻ってきたものらしい。
 個人的には2022年に70年代ばかり聴いていると言われたら「だるそうだな……」と思う。「70年代」の部分を「YMO」とか「電気グルーヴ」とかに置き換えたような生き物はそこらにいくらでもいて、そういう人が煙たがられているのも結局は時流なのだな……と思った。

 これに尽きるなと思った。「(アーティスト/ジャンル名) 名盤」とGoogleで検索して詳細な記事が無数に出てくるようなアーティストを熱心に聴いているのはむしろ新規参入者で、長く聴いている側の人は気がついたら誰にも話が通じなくなっていることが多いように思う。自分もそれなりに長く聴いていて、「詳しい」と言えるほど詳しくはないものの「詳しくない」と言い切るのは嘘、くらいの立ち位置だが、このレベルでも聴いている音楽がコミュニケーションのツールにならなくなってきている。

 こういうチャートもある。

聴いたもの

Kendrick Lamar - Mr. Morale & The Big Steppers

music.youtube.com

 Kendrick Lamarの新譜。とても良かった。
 今作の特徴はDuval Timothyを起用したことによる清潔な電子音楽への接近だろう。この人についてはポストクラシカルやゴスペル、ジャズのリリシズム由来の繊細な美しさをビートミュージックと融合させているところに特徴があるが、このアルバムでもその魅力を十全に発揮している。個人的にはこれまでのアルバムの中で一番未来志向なサウンドというか、ヒップホップを拡張するサウンドだなと思った。こういうサウンドが表舞台に出てくることで、今後のシーンは確実に変わるという予感がある。

 今月もえらい数の音源を聴いたのだが、数が多すぎて全然テキストに起こせていない。せめてここに良かったものを連ねておく。

music.youtube.com

5/3

できたこと

何もした覚えがない。

雑感

上級喫茶エクスペリエンス

 昨日は日記を書いていたら午前二時になってしまい、そこから寝て起きたら12時前だった。休日らしく怠惰に過ごしても罪悪感が湧いてこないので連休はすごい。

 起きるとビリヤニの気分だったので食べに出かけたのだがあいにくの休みで(ここ一か月ほどずっとそう)、仕方がないので近くで油そばを食べた。"油そば"という感じの油そばで言うことも特にない。

 食後に近くの喫茶店に入った。なかなかおしゃれな佇まいで、店内にはターンテーブルとレコード棚がある。ステレオからはPortisheadがかかっていて、曲を選べば確かにチルでいい具合なのだが、どうもレコードプレーヤーから流れているわけではないのが謎だった。客の入りが多い時間帯には悠長に片面20分しか聴けないようなメディアなど使っていられないのかもしれない。
 コーヒーの値段に目を剥いた。最低750円、高いものは1500円もする。ワンオペの店主こだわりの品種とドリップということでこういう価格設定なのだろうか。エチオピアのコーヒー(1000円)を頼んだ。カードがついていたので以下に引用する。

Pride of Gesha 2020 Auction Lot
Farm Reserve GVA.8 Oma Gesha 1931
"jasmine, lemongrass, hibiscus, hazelnut
Country: Ethiopia
Farm: Gesha Village
Altitude: 1909-2069masl
Processing system: Natural

 ゲシャという品種らしい。以下のサイトに大まかな説明が載っていた。

real-coffee.net

ゲシャ 1931は、ジャスミン、ローズ、ピーチ、アプリコットのような繊細で柔らかいフレーバーを特徴としています。それにモカのようなフレーバーが加わることで、独特のフレーバーを生み出しています。

 ……ということらしいが、飲んだ感想としては正直よくわからなかった。まあ普通に薄めのコーヒーという感じ。コーヒーへの解像度の低さが哀しい。
 クラフトチョコレートがメニューにあったので試しに一枚頼んだ。

 結果としてはコーヒーもチョコレートもよくわからないという感じで終わった。高級嗜好品はどういうゲームをやっているのか理解するまでに時間がかかりがち。もし本当にコーヒーのゲームを理解しようと思ったら高い豆を一袋買って分かるまで飲み続ける必要がありそう。
 さてコーヒーとチョコレートで贅沢な時間を……と思ったのだが、COVID-19の感染対策で滞在時間は一時間までとのこと。一時間もいたらその先何時間いたってもう関係ないだろうし、回転率が上がれば感染者が来店する確率も上がるだろうと思うのだが……。結局そこで斜線堂有紀「百合になる値打ちもない」を読んでいたら涙が出てきそうになったので慌てて会計を済ませて店を出た。喫茶店に一時間弱で2300円……喫茶店に一時間弱で2300円か……。品物の価格に目をつぶっても、"喫茶店"のエクスペリエンスとして一時間弱でこの値段というのは正直頷けないなと思った。

エルデンリング2

 家に帰った後はエルデンリングの二周目を進めた。マルギットを倒したところから開始し、ゴドリックを軽くのめし、カーリアとレアルカリアを平行で着手しつつ、一周目にやり損ねたNPCイベントを回収。オープンワールドの二周目はめんどくさいという発見があった。もう永遠の都とか地下墓とかやりたくないな……。

聴いたもの

Congotronics International - Where's The One?

 DeerhoofJuana Molina、Kasai Allstars、Konono No.1、Skeletons、Wildbirds & Peacedrumsという面々で構成されたスーパーグループによるアルバムで、コンゴの伝統音楽と西半球(本初子午線から西側の半球)のエクスペリメンタルロックを融合することで新しい音楽言語の創造を目指したとのこと。正直Juana Molina以外誰一人分からないし、Juana Molina自体もよく理解できていないのだが、ともかく良かった。ドラムのサウンドが独特で、アフロビートのようでありながら、Fela kutiのジャズに影響されたそれとは明らかに違う語法で呪術的にビートを刻んでいる。これまでいまいち理解できていなかった「アフロロック」という枠組みの面白さに気づかせてくれたアルバム。

Yellow Swans - Drowner Yellow Swans

 ポートランドのノイズドローンユニットYellow Swansの2007年作。William Basinskiのピアノアンビエントにあるような繊細なセンチメンタリズムを、その繊細さはそのままにノイズで表現したようなサウンド。相互の人から教えてもらったのだが、凄まじい傑作だった。他のアルバムも聴くことに決めた。

読んだもの

斜線堂有紀 - 『百合である値打ちもない』

Amazon.co.jp - 彼女。 百合小説アンソロジー | 相沢 沙呼, 青崎 有吾, 乾 くるみ, 織守 きょうや, 斜線堂 有紀, 武田 綾乃, 円居 挽 |本 | 通販

 百合小説アンソロジー『彼女。』に収録された作品。女性FPSプロゲーマー二人組の関係性が"フィクション"として受容されることのグロテスクさから"百合"にアプローチしているのだが、この問題系については正直なところわざわざ小説で読まなくても知っている。
 個人的に面白かったのはこの小説の問いの立て方。作中ではルッキズムとカミングアウトの問題が特にフォーカスされるのだが、どちらも「外部からの値付け/自己肯定」という二項対立の系で捉えられている。カミングアウトもルッキズムも、正直なところ作中ではほとんど何も解決していない(というかそれらの問題系に対して暴挙を働いている)し、解決への糸口もほとんど見えていないのだが、あくまでも"自己肯定"という系の中では解決しているように見える(見せている)。あくまでも女二人の感情と関係性、それを取り巻く外部のまなざしにだけフォーカスした書き方は半ばパンクだなと思った。

5/2

できたこと

  • 洗濯
  • 料理

雑感

一昨日

 GW1日目。円山公園に出て桜を見た。

 これはたぶんオオヤマザクラ(別名エゾヤマザクラ)のことと思われる。遠山の金さんのメインテーマを思い浮かべつつ公園と北海道神宮に続く参道を歩いた。

 北海道神宮の中にも花見スポットがあるのだが、時勢もあって禁止されているのかブルーシートを広げている人は見当たらなかった。様々な品種の桜が生えている境内をうろうろと歩いた。

 恐ろしいほど密に咲き固まった花を見ながら、このような色このような咲き方をするのはなんとなく決まっているからではなく、複雑なメカニズムと進化の過程、妥当な理由などのロジカルな裏付けがあるのだろうなとぼんやり考えた。それを解釈することがフロムソフトウェアの解釈と繋がり、フロムソフトウェアの"世界を作る"という志はすごいなどとも思った。私はフロムについてはろくに解釈もせずに遊んでいるくらいの人間なので、花も「咲いているな」と写真を撮ってそれきりにしてしまったけれど……。

 それから屋台を見て回った。

 何も買わずに面白がるだけ面白がって帰った。帰りにそば屋で天ぷらそばを頼み、天ぷらは100点だがそばは0点だった。

昨日

 GW2日目。基本情報の試験は午前だけちょっとやっていったら午後試験が6点足りず落ちた。まあ落ちるだろうと思っていたし、半年後にもう一回受ければいいやという気持ちになっていたので特段思うこともなく会場を後にする。
 わざわざ出てきて試験だけ受けて帰るのも癪だったので、桜を見に中島公園へ。TLを見ていても誰一人春とか桜とかの話をしていないと思ったが、考えれば内地の春は1か月も前に到来していたものらしい。札幌は未だに気温が20度を切っているし、特に昨日は雨も降って10度前後まで気温が落ちていたように思う。

 ソメイヨシノがとても綺麗だった。北海道に多い品種はエゾヤマザクラなのだが、この種の桜は開花して1週間と経たずに葉が出てくるため、遠目にも色が濁っていて見栄えが悪い。

 帰り道に知人に会いに行った。実験音楽の話が通じる20個以上年上の人で、週1くらいで会っては3時間ほど話しているのだが、話の流れでVTuberに言及すると相手も同じくVのリスナーであることが判明した。私がみけねこさんをまだ追い続けていると言っても特段驚いたりバカにしたりしてこず、配信カルチャーに対するアティチュードの近さを感じた。その後承認カルチャーとアテンションエコノミーにより極端に加速された人間性、『推し、燃ゆ』、P丸様。、最近のボカロシーン、神椿への悪口などの話を(ほぼ一方的に)した。現実でこんな話を人にするとは思わなかった。音楽については灰野敬二と東南アジアのフィールドレコーディング・EM Recordsの作品についていくつか教えてもらい、こちらからも最近の新譜情報を提供した。

 夜になって晩ご飯を作らないとな……とナスの揚げびたしを作っていたら八時半になってしまい、この時間から副菜だけの夕飯を食べるのも……とスーパーに行って刺身と適当な野菜を買い込んだ。夕飯を済ませて寝る用意が終われば今度は唐揚げの仕込み。生活がいい加減。

来訪

 GW3日目。両親が来るのでそれまでの間に唐揚げのタネを揚げて試食。最後にマヨネーズを入れたのが失敗で、あからさまに味が過剰だった。胡椒を多めに入れつつ醤油を少し減らすとちょうどいい塩梅になりそう。
 両親がきてコストコで買った炭酸水とむらさき醤油を持ってきてくれた。ありがたい。それから雑談をしつつ父親に私のデスク周りの配線を綺麗に整えてもらった。こちらから頼んだわけではないが、気になって仕方がなかったとのこと。母親には段ボールを片づけてもらった。GWに帯広に帰る計画が一度も出なかったことについて話したところ、父親が先月COVID-19陽性で、まだ後遺症により嗅覚の大部分が戻っていないと明かしてくれた。マスクを取った頬が赤くむくんでいた。

切腹

 両親が帰ったあとに観た。やっぱり面白い。全てのカットが映像として美しく決まっている。
 作中では「武士の面目など所詮はその表を飾るもの」と言われていたが、これは本当にその通りだと思った。みけねこさんがホロライブから放逐されてすぐに元の名義で配信活動を再開したことを重ねて考えるのが比喩としても正しいのかは分からないが、一度転げ落ちたからといって潔く腹を切って終わることだけが人生とはどうしても私には思われない。

中庸

 インターネットにいると「そんなうるさい言葉を使わないとものの一つも言えないんだろうか」と思うことがたびたびある。それがスタイルだというなら特段止めはしないが、別に誇張しなくても何かを口にすることはできるよと思う。むろん私も昔はとてもとてもうるさい言葉遣いをしていた側で、それを通り過ぎたからこそ言えることではあるのだけれど……。

聴いたもの

Zeal and Ardor - Zeal and Ardor

 相互が聴いていて楽しそうだったのでつられて聴いた。爆音のギターの上でボーカルがめちゃめちゃに叫んでいてとてもかっこいい。ブラックメタルに入るらしいが、後述するバンドと音楽圏が近いように思われ、ヘヴィネス圏のジャンル分類はよく分からないな……と思った。

SOUL GLO - Diaspora Problems

 フィラデルフィアスクリーモ/ハードコアパンクバンドSoul Gloの最新作。爆音のギターの上でボーカルがめちゃめちゃに叫んでいてとてもかっこいい。こちらは楽曲のコンポジションが複雑で、ラップのように解釈できたり、この手のジャンルではあまり聴かれないコード進行が出現したりと音楽的バックグラウンドの豊かさが感じられる。これは先月買った作品でもう何度か聴いているのだが全然飽きない。

DEVIL MASTER - Ecstasies of Never Ending Night

 MerzbowやThe Dillinger Escape PlanMastodon、Neurosisなどが作品をリリースする名門Relapse Recordsからの作品。爆音のギターの上でボーカルがめちゃめちゃに叫んでいる……わけではなく、こちらはグロウルが主体。ギターの雰囲気が80年代メタルっぽいのと、表現したいエモーションが直情的で、それがコード進行に露骨に表れているあたりはパンクとして聴くこともできて、これはかなり親しみやすい類のヘヴィネスだなと感じた。

Innode - Syn

 ノイズの気分が高まってきているので去年の暮れに買ったアルバムを改めて聴き直した。Stefan Némethなる人物を中心とするウィーンのエクスペリメンタル系プロジェクトで、今作ではインダストリアルノイズとリズム/ビートの融合あるいは親和性がフォーカスの対象となっている。
 このアルバムの良いところはちゃんと踊れるタフなビートがあること。凄まじい圧のディストーションサウンドがありつつ、その快楽性を邪魔しない形で呪術的なビートが絡んでくる様はとても気持ちがいい。買っておいて良かった作品。

Helm - Axis

 眠いので細かくは書かないが、ノイズ曲はかっこいいけれどアンビエントが中途半端で全然面白くなく、アンビエントのターンになるたびに集中力が切れた。人には勧めない。

読んだもの

 百合小説アンソロジーを読み進めている。それ以外は特になし。

4/25

できたこと

  • 皿洗い
  • 炊飯器をセット
  • インターネット料金の支払い
  • カレーを作る

雑感

拡張

 金曜日は会社の飲み会に行った。どうも知らない人から知っている人の声がするなと思って訊いたところ、レーシック手術を受けて眼鏡を外したとのこと。眼鏡でしか人を見ていないことが分かる。元から人間の顔をよく覚えられないし、特徴的なパーツとそれ以外のパーツの位置関係で覚えているというのが考えられる。
 社内の同期飲みだと思っていたらグループ会社の合同新人飲み会で、学級一個分くらいの知らない人が集まっていたのには驚いた。最近は在宅ワークや友達を家に頻繁に呼んでいるということもあって世界観がかなり自閉的になっていたので、知らない人の方が多い集団というのはそれだけで気疲れしたのだが、やはりというか、話してみるとやっぱり面白いなと思った。互いの素性も人となりも知らない人が、「どうせもう二度と会うことはないから(原文ママ)」とあけすけにいろんなことを喋ってくれる。特に面白かったのは、一番最初に喋った人が口にしていた、「無趣味だから勉強以外休みの日にすることがない」という言葉。趣味がなくても勉強なんかしないだろうと思うし、その点すごく勉強に向いた性格だと思う。料理でも始めたらどうかとは言わなかった。きっと資格を取る方が昇進の役に立つだろうから。
 飲み会から一晩明けた土曜日は朝からずっと気分が下がっていた。他のみんなは同じ方向に迷いなく歩いているのに、自分だけが誰もいない広い空間にふらふらしているような所在なさが付きまとい、午前中はずっと陰気なことばかり考えていた。
 仕方がないので昼食がてらランニングに出かけて、これがよく効いた。走っている間も当然もんもんと悩んでいたのだが、次第に息が上がってくると悩みにリソースを割り振ってなどいられなくなる。ついには足が止まるのだが、肩で息をしている間はどうやっても思考が止まる。呼吸を整え、改めて走り出すと、悩みが回路を抜けたかのようにするっと別の考え方が思い浮かんできた。要するに人間関係が急激に拡大して疲れているだけなのだった。大きさの決まったプールで気楽に泳いでいただけだったのが、飲み会を機に突然容積と水量が増えたものだから岸に掴まれないでいる、くらいのことでしかない。そうと分かったので昼食を摂ってすぐ家に帰り、シャワーを浴びて昼寝を決め込んだ。三時間寝たら回復した。

Somewhere Comforting

 家の近くで何時間居座っても怒られない喫茶店を見つけた。これまでは家で勉強しようとしていたのだが、当然捗るわけもなくずっと音楽を掘るか寝るかTwitterを見るかしかしていなかった。来週の資格試験も確実に落ちるものとして一切追い込みなどもしていない。しかし土日に毎日閉店まで居座ってもいいと店主からお墨付きをいただけたことで、その次の試験はなんとかなりそうな見込みが出てきた。次回から頑張る。

コミット

 Bandcampのカートを清算した。しめて4万円くらい。本当はプラス一万円分くらい欲しいものがあったのだが、丁寧に一個一個聴き直して本当に欲しいか吟味し直して絞った。それで一万円しか絞れないというのもなかなかだが……。
 今月の賭けはBorisとJon Hassell。アルバムを二枚ずつ買ったので聴くのが楽しみ。

聴いたもの

ヰ世界情緒 - ギャラリア(cover)

 2022年のVtuber圏から出てきた歌唱パフォーマンスの中で最良の作品。ヰ世界情緒さんはその歌唱に宿る剥き出しの少女性と繊細さ、クールな世界観が魅力のシンガーだと思っていたが、このカバーにおいては楽曲が許容する歌唱表現の幅を最大限まで使い倒し、少女性、力強さ、獰猛さ、歌唱を鍛え上げてきたシンガーとしての誇り等々、ヰ世界情緒さんを構成する全てのものが注ぎ込まれた凄まじい歌唱がなされている。
 全存在を注ぎ込んだようなこの歌唱を聴いた後では以前のカバーはもう聴けないなと感じた。それほどまでに表現の幅に違いがある。

Pusha T - It's Almost Dry

music.youtube.com

 ブロンクスのラッパーPusha Tの最新作。今年のヒップホップ最良の収穫の一枚になるだろうという確信がある。
 プロデュースはKanye WestPharrell Williamsの二人だと言えばもう説明は要らないだろうが、当代最高のビートメーカー二人がその創造性を存分に発揮し、一分の隙もなくフレッシュで新規性の高いビートが頭からつま先まで詰まっている。ただただ最高のヒップホップ。リリースはストリーミングかmoraのぼったくりみたいな価格のハイレゾしかない。早くCDを出してほしい。

読んだもの

今日は特になし。

4/17


できたこと

  • 配達の受け取り
  • 皿洗い
  • 洗濯

雑感

パーティ

 金曜日は久々にパーティに行った。20年続くテクノパーティーFuture Terrorの札幌公演で、数か月前に告知が出た時点で「まあ知名度の高いパーティーらしいし……」と即座に予約したもの。
 結論としてはあんまり合わなかった。テクノの解像度が低くて同じような音がずっと鳴り続けているようにしか聞こえなくて途中で飽きてしまい、眠気が訪れたところでリタイア。三人いたうち途中の二人まで、時間にして朝の三時くらいまではけっこう良かったので、最後の人が良くなかったのかもしれない。その人がたぶん今回の主賓、DJ Nobuだったと思うのだけれど……。三人が三人ひげもじゃの男で、タイムテーブルの掲示もないため全然わからない。寝てて店員の人に起こされた。
 得るものがなかったわけではなくて、帰ってBandcampのディグを再開したらテクノ系の音がフロアでどういった鳴り方をするのか想像ができるようになっていた。経験が解像度を高める。

復讐

 土曜日は思い付きで友達を家に呼びスマブラに明け暮れた。小学校以来の付き合いで、スマブラというゲームに上手い/下手の概念があることを知ったのはその人からだったように思う。無論ずっと勝てなくて、大学院生の時に何戦かやってもボコボコに負かされていたのだが、あの時からまた三年経ち、そろそろ勝負になるのではないか……ということで再戦。そんな理由がなくても会いたかったには違いないけれど。数時間フリーで戦って身体を温め、向こうが帰る時間が近づいてきたあたりで最後に二先で勝負を決めることに。

 勝った!ベレス固定+時々ルキナの私に対して、友達は色んなキャラを触っていたというのもあるが、フリーの時点で勝率は6~7割あり、最後のメイン同士の勝負でも勝利。これで勝てなかった人間は全員討した……もう思い残すことはない……。

コーチェラ

 昨日からコーチェラがやっているのでちょこちょこ見ている。TLにはいろんな名前が上がっていたのだけれどやはりダンスミュージックが好きで、Anittaの強烈なバイレファンキとDisclosureの最高の四つ打ちセットが一番良かった。宇多田ヒカルが出るからと見ていた88Risingはどうもわざわざ取り立てて固有のサウンドがあるようには感じず、宇多田ヒカル本人もどうも歌唱パフォーマンスが不完全燃焼で終わった感があった。単にフェスが苦手っぽいという話もあるしそうなのかもしれない。……が、"Automatic"で88Risingのクルーと階段に座り込んで歌っている映像は、アメリカ発のビートでストリートのアジア人が連帯している、というアジア系の音楽シーンの歴史を一発で要約した美しい絵になっていてとても好きだった。
 残りはまあ今の気分ではないなと思った。色々と良いグループはいたのだろうけれど、今は強烈なビートのことしか考えられない。

怨恨

 みけねこさん周りの炎上でいろんな人を恨むことになった。Vを見ている人も、配信者コンテンツに一切触れていない人も、みんな言及するときには嘲笑的なムードで、外側からは愚かな女と愚かな取り巻きと愚かなアンチの愚かな騒動にしか見えないだろうと分かりつつ、それでも私にとっては「愚かな女」では済まされない人物であって、この一週間ほどずっと恨んでいた。
 結局のところ私にとってこのカルチャーは愛着ドリブンの生暖かい何かである。それゆえに一度好きだと感じてしまうと、多少粗相をしたところでその好感度は擦り減らない。そもそも日頃の配信活動で発揮される能力と、その外側で起きる不手際の炎上はだいたいにおいて運用されている能力が全然別であり、アマチュアリズムの塊みたいな文化で社会性なりリスク管理の能力が欠けているというのはある種当たり前であるから。だからみけねこさんがSNS上の迂闊な敵対的発言によって炎上したとしても、それは"配信者としては"特段瑕疵だとは思われない。だいいちこの人にそういった能力がないことなんてホロライブを見ていれば誰でも分かることである。
 そしてこの人は人に自分を愛させる能力がずば抜けていた。「媚びを売れば誰でもできる」と言う人もいるだろうが、媚びを売ったくらいで一年間のスパチャ額世界1位とか7桁の登録者数とかにはそうそう至れるものではない。社会的能力も情緒をコントロールする能力もまるで欠如していながら人に愛されることには優れている、という在り様がとても面白いと思ったし、実際この人の配信は面白かったから、活動を追おうと思うまでに時間はかからなかったし、すぐに好きになった。
 しかし外側からいい加減に言及する人にはこういったディテールも個人的情緒も伝わらないだろう。私が見ている限りではそのコンテンツが好きなのに、同じ原則を共有しているはずなのにどうしてそんな言及ができてしまうのかと不思議でならなかったけれど。かといって問いかけるのももはやばからしく、ただ恨みが積もったとここに書いて終いにする。

聴いたもの

 今日は抜群に良かったものをタイトルだけ並べる。

 これだけ軽く書いておくと、Mille Plateauxの新譜で、"エモ"系ポップミュージックの情緒とサウンドを、構造を崩し融解させた形で不穏なアンビエントの中に取り込み、ギターによるハーシュノイズにまで接続していく、Claire Rousey以後のアンビエント/エクスペリメンタルシーンの質感を総括するような作品。そのうちどこかから言及が出ると踏んでいるが今のところは何もない。

読んだもの

 今日は特になし。

4/10

できたこと

  • 皿洗い
  • 炊飯器のセット
  • 買い物

雑感

遠音

 五日ぶりの日記となるらしい……と思ったが、五日前の日記は書きかけのままVisual Studio Codeで眠っていた。書きあがった部分まで読んでみると、どうも友情の力にも恋愛の力にも馴染めない身として、これら既に確立された力に拠らない何かを求めていたらしい。たぶん『鬱ごはん』みたいなフィクションが一番肌に合うんだろうな、と他人事のように思った。
 過去の日記に綴られた切実な思いを読み返しても、微塵も当時の切実さがよみがえってこないことに驚いている。その当時にテキストに起こすほど燻っていたものも、今読み返せば遠い叫びである。過去の自分は今の自分ではなく、書き出されて自分の頭を離れた思考も、当然ながら今の自分の思考ではない。どうもこのあたりは自分の関心領域に近いなと感じる。

開拓

 蔓延防止措置が解除されて久しく、雪も解けてすっかり春めいてきたということで近場のお店を開拓することにした。昨日は蕎麦を食べ、今日はラーメン屋に行った。どちらも合格点というか、「食べたいな」と思った時に行って欲求を満たすくらいには充分、という感じ。別格においしいとか、その店である必然性は特にないにせよ。喫茶店にもいくつか見当をつけているので、また来週にでも行ってみようと思う。

Flooded

 このところBandcampのリリース量がおかしい。寝る前にメールに全て目を通したはずなのに、朝起きて端末を開いたら70件近く溜まっていたりする。メッセージとかグッズの通知もあるのでそれらを一旦除けておいても、それでも一晩で40件近いリリースがあったりする。こんなのが続くのでは到底やってられない。
 原因はだいたいの場合Bandcamp Fridayである。Bandcamp Fridayではプラットフォーム手数料が引かれず、ユーザーが作品に支払った全額がアーティストのもとに届く。初めは良い試みだと思っていたが、次第にその負の面が見えてくるようになった。みんなその日にリリースするのである。
 それはまあそうなるだろうと思う。みんな少しでも多くのお金を手にしたいのだから。手数料の引かれない日にリリース日を合わせることで、最大のアテンションが得られる時間に最大の利益が出る。Bandcampとしても最大手のインディープラットフォームとしての名が上がるし、これを機に更なるアーティストたちのBandcampへの参入が見込める。Win-Winである。普段一か月で受け取る量のアナウンスを一日で浴びせられるユーザーを除けば。
 別にBandcampに文句はないし、この試みをやめろとも言わない。しかし私の音楽鑑賞生活のリズムは明らかに崩壊している。Bandcamp Fridayでは通常のリリースに加えて過去作品のリイシューもあるから、その日のリリースを一か月かけて崩していけば次の開催までに間に合うということは起こらない。結果として常に着手できていない音源の数が際限なく膨らんでいく。結論は特になく、困ったな、と思う。

 エルデの王になった。長かった……。
 やはりラスボス、というかラダゴンが嫌すぎた。私はエルデンリングをやっているのに、こいつはどうも私にダークソウルを強いてくる感じがある。ここで遺灰を使うと次の戦いは遺灰の体力が半分近くの状態で始めなければならないが、遺灰なしではディレイと回復狩りがだるすぎる。理不尽なボスデザインに理不尽な火力と袋叩きで立ち向かうのがエルデンリングだと理解して戦ってきた身にはしんどいジレンマだった。
 マレニアは三回くらいやったら片付いてしまった。遺灰と一緒に猟犬の長牙でひたすらひるませて血を噴かせ続けるだけのゲーム。水鳥乱舞なる即死技とエオニアの花が全部遺灰に向かっていったのが勝因。モーグも初見で終了。ラスボスが嫌すぎてレベルを上げまくった結果、想定レベルを遥かに上回ってしまったものらしい。後から調べたら血の呪縛が催眠音声と言われていて笑ってしまった。確かに。

聴いたもの

Don Ray - Got To Have Nothing (Mighty Mouse Dub Edit)

mightymousemusic.bandcamp.com

 70年代のディスコバンドDon Rayのアンセムのエディット。華やかなブラスとストリングスによる強烈なアクセント付きのユニゾンが否が応でもこちらを昂らせてくる。
 これは私がいつかのフロアで浴びて一心不乱に踊り狂った曲である。shazamなんて無粋な真似をしている暇はないと、音楽に全てを委ねて踊っていた時間が頭に蘇ってくる。次は私がこれをかけて同じ興奮を人に継承する番だろうか。

読んだもの

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