雑記

__blurry_のおぼえがき

かんたんなアフロビート(Fela Kuti)入門用ディスクガイド


これは何

 アフロビートを全く知らない人向けの入門編ディスクガイドならびに私のリスニング記録。
 経緯としては、「世の人間はアフロビーツとアフロビートの区別すらついていない」という話題が4/17から数日間Twitterの一部で盛り上がっていた。そこで「正直アフロビートのこと一ミリも分かってないし、アフロビートしか分からない知識の人を笑う資格なんかないよな……」と思って聴き始めたら思いのほか面白くてハマってしまったので、同じようにアフロビートの知識がない人向けにどこからアフロビートを掘って行けばいいかを記録に残す。

 あらかじめ書いておくと全部聴く必要はない。この記事はあくまで入門用、もっと言えば「とりあえずアフロビートを聴いた状態になりたい」人が、一歩目で外れを引かないための記事である。なので詳しい評もここには書かない。その程度の温度感と思って読んでほしい。

注意事項

 私はアフロビートについては全くの門外漢であり正直言って何も分からない。興味があって適当にさらったのを記録に残すくらいの気持ちで書かれた記事なので、網羅性とピックの精度については期待しないでほしい。誤っている記載があったら何らかの方法で連絡してください。

一歩目

 アフロビートで最初に触れる一枚は間違いなくこれでいい。

 "ワールドミュージック"のコンピレーションなら他に並ぶもののない安心と信頼のレーベルStrutが出した、アフロビートのコンピレーション。私も最初に聴いたが最高だった。これを聴けばアフロビートの特徴はある程度理解できる。
 面白いのはクラーベ(ラテン音楽の根幹を成す幾種類かの特徴的なリズムパターン)が様々な楽曲において散見されることである。アフロビートはそのルーツにガーナのハイライフという音楽を持つ。このハイライフの成立の過程でラテン音楽のリズムが取り込まれ、そのままアフロビートに継承されたという流れらしい。

 ソン・クラーベが入っていてキューバ音楽の影響が分かりやすいのはこれ。そもそもアーティスト名に"Cubano"と入っている。これもStrutからのリリース。

 特に聴く必要はないが参考までにハイライフの作品を2つほど置いておく。

 「ハイライフの王様」と呼ばれる、ハイライフの成立の過程で名声を博したE.T. Mensahのコンピレーション。この人がハイライフにラテン音楽カリプソ・スウィングを持ち込んだらしい。ウッドブロックでソン・クラーベが刻まれている。

 ガーナ人のハイライフの大御所Gyedu-Blay Ambolleyが、ハイライフとジャズの融合を試みた作品。1曲目から早速クラーベが聞こえるし、A Love Supremeのカバーもしっかりクラーベのリズムに翻訳されている。

 クラーベについては以下の動画に詳しい。

 話が逸れたが、"Nigeria 70"を聴き終わったら次はどうするか。このコンピレーションはシリーズもので第4編まである。これを聴けばいい。面倒になったら聴かなくてもいい。

今っぽいやつ

 2018年以降のアフロビート。他ジャンルとの融合とビートの西洋化が進んでいて比較的聴きやすい。別にここで紹介しなくてもどこかで触れている気はするが……。

Underground System - What Are You

 ちょっとニューウェーブ寄りのUnderground System。2018年時点における、ジャズが勢いを増す直前のアフロビートのスタイルがよく分かる。

Black Market Brass - Hox

 これはいかにも黒人的要素を押し出したブラス要素の強いBlack Market Brass。UKジャズよりもう一段アフロ要素が強い。

Muito Kaballa - Mamari

 Muito Kaballaはジャズの要素が強い洗練されたアフロビートで、ほとんどUKジャズみたいな雰囲気があるが、リリース元がベルギーのレーベルだったためかUKジャズシーンとは紐づけて語られているところは見なかった(UKジャズは南アでアフロビートはナイジェリア=西アフリカなので当時のUKの関心とは離れていたかも)。ドイツのバンドで、ラテン/キューバ音楽の要素が強いのがポイント。いっときYouTubeのサジェストで頻繁に出てきたのでジャケを目にしたことがある人はそれなりにいるだろう。

Ezra Collective - Where I'm Meant To Be

 Ezra Collectiveはマーキュリー賞を受賞したし、あちこちで2022年の年間ベストに上がっていたので聴いている人は多そう。ここまで行くとアフロビート以外の音楽的要素も多くて"アフロビート入門"にはならないかもしれない。

 Fela Kutiのカバーもある。

Fela Kuti

 この記事の一番の目的は自分が聴いたFela Kuti作品のメモを残しておくことなのだが、悲しいことにFela Kuti作品はアルバム中に1個くらいは調子の低い曲があって、アルバム全体通して名盤!と言い切れるものはそれほど多くない。とは言っても平気で10分を超え、ものによっては30分にも届こうという長大な尺の中で、伝説的なドラマーTony Allenがストイックに刻む変幻自在のビートと、低域が強くどこか毒々しいブラスの執拗な反復が生み出すトランス感は他では得難いものがある。

Expensive Shit(1975)

 アフリカっぽい要素はありつつも全体的にJames Brownのファンクとジャズからの影響が強く感じられる。逆に言えば、アフロビートのえぐみのようなものは薄めで、ソウルジャズのような聴き心地もあるという点では入門にちょうどいい作品かもしれない。二曲目"Water No Get Enemy"はFela Kutiの代表作"Zombie"の10倍以上再生されていて、気になって調べたらPete Rock & INI "Grown Men Sport"とCommon "Pops Rap III…All My Children"のサンプルソースらしい。言われてみれば確かに。

 これが気に入ったら以下の二枚も楽しめる。

Why Black Man Dey Suffer (1971)

 ジャズファンクっぽい。普通に聴いていて心地いい。ドラマーはCreamのGinger Baker

Fela With Ginger Baker Live!(1971)

 同じくGinger Baker参加のライブ盤。やはりジャズファンクっぽいが内容はかなり良い。スタジオ盤より録音が良いためか、Tony Allenのドラムのじっくりと盛り上げていくようなグルーヴも感じ取りやすい。

Zombie(1976)

 Fela Kutiの代名詞の一枚。強烈なテンションで14分を引っ張る表題曲はめちゃめちゃにかっこいいし25分くらいあっても良かったが、次の2曲に関してはそこまで面白くないというのが正直なところ。ライブ録音の4曲目はTony Allenのタイム感が独特なタム回しとブラスの野太さが最高。

Opposite People(1977)

 何と言っても1曲目が最高。4つ打ちの勇ましいドラミングが印象的だが、オルガンの流麗なプレイとギターのカッティングとのアンサンブルは8分で乗ることを促してくるため、実際に踊ろうと思うとかなり早く感じられる。17分もこの速度このグルーヴで踊らせてくれるというのは本当にありがたい。ダンストラックとしてはこれが一番気に入った。2曲目は抑制が効いているがドラムを中心としたリズム隊のストイックなアンサンブルには強い緊迫感が漲り、卓越したビッグバンドが生み出すグルーヴの厚みをじっくりと味わうことができる。

Underground System(1992)

 200BPMを超えている猛烈なグルーヴに圧倒されているうちに30分近い時間があっという間に過ぎ去るジャジーな表題曲がかっこよすぎる。同じくジャジーでどこかドラムンベースのような2曲目も悪くない。3曲目は揺らめくようなギターの使い方が面白いが、3拍子のミドルテンポで30分はちょっと長すぎると思った。

周辺

 Fela Kuti周りのアーティストたちの作品をいくつか。

Seun Kuti & Egypt 80 - Seun Kuti & Egypt 80 Night Dreamer Direct​-​To​-​Disc Sessions

 Fela Kutiの末っ子Seun Kutiが、Fela KutiがAfrica 70の後に結成したバンドEgypt 80を率いて一発撮りでレコーディングした作品。Felaの作品に比べるとシンコペーションの要素が強いのもあってディスコ的に楽しく聴ける。

Tony Allen & Africa 70 - No Accomodation For Lagos, No Discrimination

 Tony Allenがソロアーティストとして独立後にFela KutiのAfrika 70とレコーディングしたアルバム"No Accomodation For Lagos"と、Afrika 70脱退後に結成したTony Allen And The Afro Messengersによるアルバム"No Discrimination"がなぜか抱き合わせられた作品。頭二曲が前者で残りが後者。Fela Kutiがいない分だけバンドアンサンブルにフォーカスして聴くことができる。前二曲の古典的スタイルのアフロビートの方が好きだが、現在のアフロビートの受容としては、後者のようにシンコペーションがあってリズムにメリハリがついているファンク寄りのスタイルが支持を得ている印象を受ける。自分がどういったスタイルのアフロビートが好きかを確かめるのにちょうどいい作品。

ディスクガイド

 もっと聴きたいという人向けに適当にインターネット上のディスクガイドを集めた。

www.hmv.co.jp

tower.jp

drumsmagazine.jp

note.com

daily.bandcamp.com

daily.bandcamp.com

面白かった記事

 これを書くのに参考にしたわけではないがアフロビートの勉強になった記事。

tpokjazz.blog.fc2.com

rollingstonejapan.com

rollingstonejapan.com

参考文献

 そんなに調べて書いた記事でもないが念のため。

www.hmv.co.jp

diskunion.net

blayambolley.bandcamp.com

3/17

できたこと

  • 洗濯

雑感

Bandcamp Day

 クレカの締め日が来たのでBandcampで買い物をした。この日のために一か月頑張っていると言っても過言ではない。それにしても円安がきつい……。10ドルで1500円、15ドルで2200円超。2021年には1ドル100円程度だったので、3年で50円も上がったというか、円の価値が3割下がったということになる。ここからまた下がってくれるんだろうか。来年には120~130円くらいまで戻してほしい。

インターネットで政治の話

 端的に言うとなぜふるさと納税がまかり通っているのか全然分からないのでそのような主張をしたいが、普通にみんな使っているような便利なものに異議を申し立てるというのは(特に自分よりずっと聡明/コンシャスそうな人もその恩恵を享受していることも含めて)疲れることで、そんな話しない方がいいのかな……と気持ちが内向きになっている。インターネットで政治の話をしよう、政治に関心を持とうという気高い言葉はよく見かけるしその通りだとは思いつつ、どこかで人がふるさと納税を使うような小市民的一面を出すことまで目をつけるというのは単なる相互監視とホモソーシャルである。
 結局人がどこまで正しくあろうとするか、正義の側に立とうとするかは個々のさじ加減次第なのだろう。別にガザの虐殺を批判しながらマックとかスタバとかで一休みしたり、無印良品を使ったって全然いい。他人にとっての正義を自分まで一緒にやる必要はない。今年は連帯をしない方向で生きていこうと思った。

中庸化

 そういうわけで最近のトレンドだった左傾化が少し落ち着いている。長い付き合いの人に左に寄ってきていることを指摘されたばかりで、それならそれでもいいかと気を張っていた手前、ただ単に疲れて失速するという形で収束してしまったのはやや気まずいような気もする。とはいえ根本にある「いい歳なのだからやるべきこと、なすべき正義を粛々とやる」というマインドは継続中なので、そういう感じで一人でやっていこうと思う。「やっていき」への回帰かもしれない。

勉強

 AWSの簡単な資格を取ろうと思い勉強を始めているのだが、とにかく難しい……。難しいというか見ても意味の分からない固有名詞がとにかく多いので全然頭に入ってこない。こういうものはとにかく数を重ねればできるようになると相場が決まっている。あと2週間弱で試験なので頑張りたい。

緩い繋がり

 Twitterのメインが(結果的に)聴いた音楽の紹介になって久しいが、それらの投稿について特に反応がなくとも、Bandcampの購入フィードを見ていたら相互の人が買っているのが見つかったり、逆に自分が他人の購入フィードをあれこれ物色して買ったりしていて、これくらいの繋がりも楽しいなと思う。熱心に語り合うわけでもなく、ただお互いに何となく興味を持ちあっているのだけが伝わる状態というか。

喫煙

 喫煙しながら飲酒したいと思い、友達と飲みに出かける前にガラムを買った。煙草だと思ったらリトルシガー(葉巻の一種)だったし、おしゃれで軽いものだと思ったらタール33mgの異常に重い品種だった。黒ビールが飲みたくて気に入っているアイリッシュパブに行ったのだが、その店が禁煙であることに気がついたのは着く直前だった。全部大失敗。
 買ったのは一昨日なのだが、吸ってみたら一本の3分の1も吸わないうちに立ちくらみを起こしたのでかなりびっくりした。重すぎる。何か巻紙に塗ってあるのか、吸うと唇が甘くなるのでなんとなく軽い気がしていたのだが、普通にタールとニコチンを多く含む毒物ということらしい。これは……2日に1本くらいでいいかも……。

そのいいね欄で(Reprise)

 思い出したので書く。
 「性的なものに興味がない」「世の性表現が消えてほしい」といった主張をしているナードのアカウントのいいね欄を見に行ったら、妙に身体のシルエットや太もも・腰などの局部が目立つような絵、あるいは何か恥じらっているような赤面した女の子の絵が並んでいたりして、そのいいね欄でそんな主張をしているんだと驚くことが頻繁にある。肌が出ていなくてゼロスーツサムスみたいな恰好でなければ性的でないというわけだろうが、それにしても「魔法少女にあこがれて」をバリバリに楽しんでいたりする。自分のまなざし方に自覚がないというのは普通に怖い。性表現が好きだと言うと何らかのブランディングが損なわれるのは理解できなくもないが、30代も近い人間がそんなダブルスタンダードの潔癖を発揮している方が怖い気もする。人を批判するならもう少し誇り高くハードコアであってほしい。

百合トロニカ

 ついでに思い出したこととして、このところ「百合トロニカ」という、そのまんま百合を想起させるエレクトロニカを表す言葉をちらほらと見かける。これがどれもほんわかしたような美しく儚い音ばかりで、いかにも十代の女の子が睦まじくやってる風景を"百合"として見なしているのだろうという気がして気分がよくない。宮澤伊織先生がヨハン・ヨハンソンの劇伴音楽を「百合」として紹介してから6年経って、シスターフッドや社会人百合、あるいは『違国日記』『マイ・ブロークン・マリコ』『作りたい女と食べたい女』のようなオルタナティブがいくつも出てきてなお、結局"かわいい女の子たち"をまなざすホモソーシャル感がシーンの中心になったことへの虚しさというか……。他人のやることにこんなこと言っても仕方ないとは思いつつ、あまり感じの良くないシーンだなと思って距離を取ってしまっている。

聴いたもの

Various Artists - Shake The Foundations: Militant Funk & The Post-Punk Dancefloor 1978-1984

 タイトルの通り1978-1984年のダンサブルなポストパンクコンピ。Militant Funkというのはミリタント・ビート(=ロッカーズ・ビート、スライ&ロビーが開発した四つ打ちレゲエのビート)を導入したファンクのこと。レゲエのビートの進化は以下の動画に詳しい(動画の風合いもドラムのプレイも超かっこいい)。

 札幌のクラブでBOSS夫妻が平日深夜に開催しているパーティーではポストパンクがよくかかるのだが、その音楽性の古びない異質さと一筋縄ではいかないタフさに魅了されてしまっている。私が買ったCDは3枚組49曲収録で、定番からコアな曲まで一通りそろえてあるのでポストパンクが聴きたくなった時にはとりあえずこれをかけている。今度The Pop GroupとかThis Heatとかも聴き直そうかと思う。

3/10

できたこと

  • 洗い物
  • 宅飲みの片付け
  • 揚げ油の片付け

雑感

宅飲み

 1か月ぶりに友達を家に招いて飲み会を開いた。私の家の宅飲みではコカレロが出てきて早いペースで延々とコカボム(ショットグラスで作るコカレロとレッドブルのハーフ割り)をショットし続けるというのが通例で、今回もめちゃくちゃな頻度で飲み、結局0時を回る前に瓶が空いた。途中「スマブラで負けた人がショットしよう」と言い出した輩がいて、「4人でやって3位を取った人が飲む」というルールでしばらくやったのがかなり面白かった。良い感じに酒が回り、うち一人はスマブラが終わってから1時間以上トイレから出てこなくなった。「1位を取ったら自分以外全員2杯ショットして、もし取れなかったら自分が2杯飲む」と自分で提案し、その試合で3位を取った罰として3杯連続で飲んだ結果なので同情はしていない。
 スマブラがひと段落したところで仕事で遅れたもう一人が参加してきて、私が自作しリアルタイムで揚げている唐揚げをつまみに、トイレから断続的に聞こえてくる前述の友達のえずきと私がセレクトしたラテン音楽(私がサルサとクンビアをBGMにすることにもう誰も疑問を持たない)をBGMに、近況などを語り合った。恋人との同棲を解消した一人が「結婚ってなんのメリットがあるのか分からなくなってきている」と言い出したのをきっかけに反結婚論者の一人とロマンチストの私がそれぞれの主張を展開し、「結婚なんて本当にやりたい人だけが使えばいい制度だよね」という方向で話がまとまっていく。学部生時代から恋人と同棲している一人が結婚不要を主張することの説得力は強い。
 その後も大学卒業以降関わりの薄くなった同級生たちについて話したりしているうちに気がついたら夜が明けていた。始発の時間には気絶していた数人も起き上がってきたので家から送り出し、私もシャワーを浴びて眠りにつく。このように飲み会は極めて粗暴な立ち上がりではあったもののしっとりと語り合う時間も盛り上がり、久々ながらも大学時代から変わらぬ空気感でとても楽しかった。来月にもやりたい。

必然性と好みとジェンダー

 女女作品だったら何も思わず楽しめるのにヘテロの作品を見て「男女である必然性を感じない」みたいな感想がするっと出てくることがあり、要するにこれは「好みに合わない」の裏返しなのだなと思ったが、一方では「それお前の好みってだけじゃん笑」の一言に回収していくのは正直気にくわない。汎用的で反論不可能なフレーズをすぐに持ち出す人は単に他人の話を聞いたりコミュニケーションを取るという営為が嫌いなだけだろう。そういうわけでちょっと真面目に考えてみた。
 結局そこまでまとまらなかったが、自分が物語上のキャラクターを見る時は「男」「女」というジェンダーを一旦経由していて、男女であれば二人が違うジェンダーを経由しているからこそ生まれる味わいがあり、女女であれば同じジェンダーを経由しているからこそ二人の人格表現の違いと関係性が際立って感じられるということなのだと思う。よって、男女に対して必然性を感じないというのは、つまり自分の頭にある2つのジェンダーの違いがキャラクターたちの人格表現とその関係性の中に見出せなかったということになる。今のの時点で自分でこれ以上考えを深めるのは無理なので今後作品を読みながらちょっとずつまた考えていく。

そのいいね欄で

 日記の下書きにあった謎の見出し。何かの悪口を言おうとした形跡がある。

Primo Musiek Vol.3@Forest Clock 森

 日本アマピアノのパイオニアaudiot909さんが札幌に来ていたので行った。たぶん主催?はローカルDJのNobさんかQiAさん。二人ともPlastic Theaterを中心に活動するDJで、最近はシアター勢の活動がどんどん大きく面白くなってきているという気がする。
 Forest Clock 森は初めて行った場所だったが、バーカンとフロアが完全に区切られてお互いの空間の様子は全く見えず、踊りたい人は誰の目も気にせずに自由に踊れるというところがPrecious Hall的な美意識を感じさせてとても好みだった(実際プレシャスでのイベントのポスターがあちこちに貼ってあった。調度品の置き方や音の鳴りも大いにプレシャスを参考にしている節がある)。部屋でだらだらしてたら行くのが遅れたが、とりあえずaudiotさんのプレイまでにはフロアに到着。2時間のアマピアノセットを浴びた。

 アマピアノが面白いのはハウスでありながら低域を主体にしたベースミュージックであり、しかし"ベース"とは言いつつも本質はループ上で自在に刻まれるパーカッションであるためループミュージックとしての反復が要求されず、ある程度の即興的なリスニングが存在するという多方面への越境性で、ダンスしていても身体に直接響く低音が気持ちいいのはもちろんのこと、ログドラムの刻みが全然予想のできないタイミングで飛んできて、自分の身体を思いがけない方向にあるグルーヴに向かって引っ張っていくような感覚が極めて新鮮に感じられた。なのでダンスも下半身は軽いイーブンキックに対してシンプルなステップを踏み、上半身では手を使ってログドラムを捕まえるように空中をノックするようなものになる。

 途中スピーカーの一つから音が出なくなるなどのトラブルにも見舞われつつ二時間のプレイが明け、終盤にロングミックスでプレイされたTyla - Waterは家で聴いていて感じたスムースさが嘘のように軽やかなボーカルの背後で暴力的なログドラムの低音を響かせており、なぜこの曲が、このジャンルが覇権を取ったのかを理解するのに十分な代物だった。

 徹夜の宅飲み明けでのフロアということもあり、audiotさんのプレイが終わった時点でフロアを引き上げた。アマピアノDJは本当に楽しかったのでまた札幌に来てほしい。

 余談として、フロアにちょくちょく「たぶんあの人だろうな……」と見当のつく人が増えてきたのだが、結局今日も声はかけなかった。音楽を浴びる時は一人になりたいし、とりあえず同じフロアにいて音楽を楽しんでいるというだけで私には十分。ついでに言うと私は人と話すことが極めて苦手である。

読んだもの

 『トランスジェンダー問題』を読んでいる。扱っているトピック的に面白いと言っていいのか怪しいが、漠然と知っている知識と倫理がUKの実例をもとに肉付けされてゆくのが楽しい。

2/25

 朝日記、と思ったが起きたら昼過ぎ。

できたこと

  • 洗濯
  • 買い出し
  • 睡眠

雑感

近況

 仕事がかなり忙しくなってきていて、家から出る時間がない。それに伴いTwitter(新X)での投稿数も増えているような気が……。本当は日記に全部書けばいいのだが、情報収集をこのSNSに頼っている都合上、ついつい何か書きたくなってしまう。あまり良くない状況。
 三連休は部屋の掃除をした。風呂掃除をし、掃除機をかけ、水回りを綺麗にし、皿を洗う。散らかっていた本とCDを整頓する。人としての尊厳が取り戻されてきて気分がいい。

予定管理

 ここ一か月で行きたいイベントがいくつかあったのだが、その全てに行き損ねた。何なら現実で何回も人と話していて楽しみにしていたのに……。予定管理アプリを使えばいいのだが、そこにいちいち入れるのが面倒というか、イベントを見て「予定表に入れておくか」という判断が働かない。こういうものって習慣でなんとかなるものなのだろうか。意識的に何かを習慣づけるということが生まれてこの方できたことがないので全然分からない。

札幌国際芸術祭×O.O.T.C. presents Underground Park at Sound Lab mole

 行ってきた(一昨日まで完全に忘れていたのだがチケットサイトから前日にメールが来て思い出せた。3000円を投じたものすら忘れているのだから恐ろしい)。ざっくり札幌と首都のベテラン・新世代を集めたイベント。
 2330開始で2345くらいに行ったら外に列が形成されていた。moleでそんなことになっているのを見るのは初めてなので並んでいる人に状況を聞いたところ、単に受付が手間取っていて入れていないだけとのことで拍子抜けした。そうは言っても大御所を呼んだイベントだし、中は混雑していて足の踏み場もないのではないか……という覚悟をもって入場したところ、そんなことは全くなくフロアはガラガラだったし、最後まで満員になることはなかった。このメンツでもこんなことになってしまうのか……とmoleにおけるテクノの人気のなさを実感。
 一番手のサトウツバサはフロアを上げすぎず下げすぎずのツール系トラックによるプレイで、バウンス感が何とも心地いい。途中からテックハウスに寄せて展開を作ろうとしたところでちょっとぐだついていたような印象はあったが、身体を暖めるには十分な時間だった。二番手はPARKGOLFだが正直去年で見飽きたので一旦セカンドフロアへ。もうそれなりに長いのにセカンドフロアに行くのはこれが初めて……というか場所すら分からないのでスタッフに案内してもらう。バーカン中央にある階段を客としては初めて上った。
 セカンドフロアでは札幌で活動するDJ/トラックメイカーのQiAとケニアの宴によるB2BユニットVeronicaがプレイしていた。こちらはUKG中心のスピーディーなセットで、比較的若い年齢層が多かった印象。Veronicaの拠点はPlastic Theaterなので、そちらの客が多く来ていたのだろう。

 シンプルにボロボロで外の冷気が差し込んでくる空間というものがまずダンスフロアとしては新鮮だったが、そんな中でも客が防寒着のまま身を寄せ合いながらビートに合わせて身体を動かし、知らない曲に対しても歓声を上げている様にはDIYカルチャー的な生々しさとダンスミュージックへの純粋な愛が感じられて本当に最高の時間だった。40分ほど踊ったところでCwondoを見るためメインフロアに戻る。
 CwondoはPAS TASTAへの客演と羊文学のリミックスワークくらいしか知らなかったが、No Busesというバンドのボーカルのソロプロジェクトらしい。無数の音色で複雑に織り上げられたビートの中を変調・カットアップされたシャウトが飛び回るような、ざっくりとコロナ禍あたりで流行ったグニャグニャした音がボーカルを得てやや歌ものに近づいたという印象だが、個人的にはあまり好みではなかった。こういう表現ならもう少し音の一つ一つが尖っているものを聴きたい。まあこんなものかと思いながら次の砂原良徳を待つ。
 今回の主賓であるところの砂原良徳はまあ予想通り硬派なテクノセットで、特に言うこともなく上手いのだが……特に言うこともなかった。これをmoleで一時間半の尺で観るのであれば、Precious Hall石野卓球を5時間浴びた方がずっと楽しい、というか経験として上位交換になってしまう。プレシャスの音質と尺の長さと比べてしまったのと、普通に眠気と疲れが来てぼんやりと90分をやり過ごす。次はiichiro taya。
 iichiro tayaは全くのダークホースだったのだが、あとから調べた感じだと元telecontra(バンド?)のフロントマンで、札幌パルコ屋上のパーティーでの一番手を張っていた人だった。そう言われればこの人のDJで踊った覚えはあるし、何なら昔ちょっと話した記憶も蘇ってきた。今回のプレイはthe hatchのmidoriのDJの影響を受けたという印象で、PARCOの時(ダブ・エレクトロニカ・エクスペリメンタルという感じの未知の質感のプレイではあったが)からさらに発展し、どこにリズムの力点があるのか全く分からない文脈不明のトラックが次から次へと繋がれていく"異界"としか言いようのない音楽性だった。とはいってもブレイクコアやフットワークに接近する瞬間はあって、それなりに楽しくはあったのだが……。ダンスミュージック的には途中Blawan "Toast"がプレイされたのが嬉しく、非ダンスミュージックとしてはSadnessかShow Me A River Records人脈のロウなブラックメタル~シューゲイズがプレイされてフロアが戦慄している時間が好きだった。別に踊れるわけではないのでクラブカルチャーとしては別に何とも言えないが、そうではなく一つの"ライブ"としては何か新しいものに繋がっていくのを感じさせてくれるプレイだった。椅子に座って見ていたい感じ。
 最後は私の好きなBUDDHAHOUSE。直前のDJがめちゃくちゃだったのでどうダンスミュージックに繋ぎ直していくのかが見物だったが、180BPMくらいはありそうなハードトランス?からダンスホールに繋ぎ、そのままフットワークを経由してジャングル、といった風に符点のリズムを経由してBPMを落としていく手際があまりにも見事だった。ジャングルについては面白いとは思いつつあまり好みではない、というかグルーヴが掴めていないので曖昧に踊っていたのだが、そこでふと「自分はシンコペーションが好きなのだな」という理解が降ってきた。そうと分かれば非シンコペーション的なものにどう親しんでいくかという次の課題も明確になるわけで、好みではない音楽を無理に長時間浴びることで見えてくるものもあるなと思った。そんなことを考えている間にプレイは進み、最後はK-POPがかかって照明がつきパーティーは終了。楽しめたかというと100点中65点くらいだが、いろいろと持ち帰るもののあるパーティーだった。

 近くのコンカフェで夜を明かしていた友達から連絡が来たので合流。ラーメンを食べようなどと話していたのだが行列ができていて、マイナス8度の中を空腹を抱えて並ぶのは無理だと諦めて吉野家へ。フロア明けの牛丼は最高。ついでに友達が撮ってきたチェキを見せてもらう。私も以前話したことがありとても好きなキャストで、ポラロイドカメラ特有の褪せた質感とキャストの顔立ちの良さ・写真うつりの良さとその日のコスチュームが完璧に噛み合っていて本当にいい写真だった。
 後は特に言うこともなく帰宅し就寝、洗濯をして日記を書き始め今に至る。明日からはまた仕事。今日はこれから圧力鍋でシチューを作る。今週も頑張る。

最近聴いている曲

 プレイリストを作った。以下から聴ける。

湊あくあ、さくらみこ - higher [A.I cover]

誰も見たことのない景色だけを見る
俺は子供の頃からずっと天才でいる
1人空高く上空の上で生きる
成し遂げて死ぬ 成し遂げて死ぬ

湊あくあ - sugAA [a.i cover]

ゲイ レズ バイ 何でも来い みんな同じ
囚われない 括りとか fuck 関係ない
毎日増えてく人間 考え変えてく人間
毎日増えてく人間 考え変えてく人間

 ついにフロアでかかったらしい。

カシ・オトハ - 黎明サピエンス

 ソニーミュージック VERSEⁿ所属のVsingerカシ・オトハさんのオリジナル曲で、1stアルバム『anthology』収録曲。これ自体名盤なのでおすすめしたい。
 作曲・編曲・ミックスはhirihiriとlilbish ramko、作詞をlilbesh ramkoが担当したHyperpopで、ミックスがクレジットに記載されているだけあって音の配置やハイハットの鋭い鳴りが印象に残る。
 カシ・オトハさんの聴き心地がよく淡々とした歌声がこういったトラックに乗ること自体新鮮で面白いが、この曲のコアは楽曲の中間部で突如としてクンビアのリズムが顔を出すことにある。明らかにふざけて作ったのではないかという気もするが、クンビアというつんのめったリズムが過剰かつ異様なサウンドプロダクションと組み合わさることで全然聴いたことのない凶暴さに転じている。今年のVTuber楽曲10選におそらく入る、というか今後出る楽曲が全てこれと選出を競うことになる。

DAZBEE - Scarlet

 メジャーでの音楽活動が活発化し、アルバムもリリースされた歌い手DAZBEEのオリジナル曲。アニメ『メタリックルージュ』ED。
 シンセウェイブ的なベースの音色と2000年代的メロディラインが印象的な一曲で、DAZBEEの優しく空間に溶け込んでいくような歌声がタフなサイバーパンク世界における感傷を的確に表現している。シンプルにメロディが良すぎる。

9Lana - BALALAIKA

 MAISONdesでのフィーチャリングによる『うる星やつら』EDへの抜擢などメジャーシーンでの知名度を上げつつある歌い手9Lanaさんの2つ目のオリジナル曲。オーソドックスなラテン調のレゲトンで、歌い手カルチャー特有の少女性の強い歌唱表現から中性的な表現までを広く使いこなすことで"ラテン調"という古典的な音楽性をフレッシュに聴かせている。幼く明るい「Hey!」という合いの手が好き。

桜鳥ミーナ - ダンシング☆PONPON

 ソニーミュージックのバーチャルタレント育成プログラムVEE所属のVTuber桜鳥(読みはオードリー)ミーナさんの初オリジナル曲。作編曲はMONACA広川恵一で、『ウラノミト』で一度提示され、かつ桜鳥ミーナが愛好する80年代フュージョンポップが参照されている。オーケストラヒットや往時のチープなシンセなど、T-Square的な質感、言い換えればVaporwaveが参照したようなレトロフューチャーの質感が押し出されているのはVTuber楽曲としてはかなり面白いなと思った。楽曲中間部に突如として暴力的なドロップが挟まるのは謎。

UROMT - ナミナガレ

 歌い手kazaとシンガーソングライター4naによる音楽ユニットUROMT(ウラオモテ)の初オリジナル曲。作詞作曲演奏はボカロPとして知られる皆川溺。kazaの温度感の低く柔らかい高音と4naの低音がダウナーなエモの質感を帯びたオルタナサウンドの中に優しく馴染んでいる。この曲はインターネットにおける映像制作の天才kkmfdがMVを担当しており、幾何学的な表現と実写・二次元イラストを融合した映像が圧倒的なので、動画込みで聴かれてほしい。

綿菓子かんろ - リサージュの風景

 歌い手・Vsingerの綿菓子かんろさんによる1stアルバム。今年出た中でもっとも見過ごされている作品はどれかと言われたら迷いなくこれを挙げる。
 "歌い手"と聞いてイメージされるのはおそらく"ボカロ曲"的な音楽性ないし性急なポップソングなどだろうが、このアルバムの音楽性は2000年代エレクトロニカに根差した優しくもポップなものであり、ボーカルとサイン波のみで構成された簡素なサウンドプロダクションもあって、リスナーを選ばない普遍的なサウンドが鳴っている。こういったシンプルなコードとメロディ、コーラスワークの良さで聴かせる作品が出たというのは歌い手文化の多様性を示すものでもあって、"歌い手"という響きから悪印象を抱いてしまう人や、自分の好きな音楽とは違うと切り分けて考えてしまう人にこそ聴かれてほしい作品だと思った。

1/28

できたこと

  • 料理

雑感

負荷

 久しぶりに朝日記。
 9時に起きて角煮を作る。昨日はスーパーで一万円近く買い物をしたので冷蔵庫に食材が大量にある。最近はミニスーパーみたいな品揃えの貧しい場所でしか買い物が出来ていなかったので、久々に大きなスーパーに行ってつい大はしゃぎしてしまった。というのは半分くらい間違っていて、実際は労働の負荷と疲労で頭が鈍っており目についたものを何でもカゴに突っ込んでいたからなのだが……。
 このところ九時前に終業した記憶がほとんどない。木曜日は0時を超えていたし、金曜日は1時も超えていた。残業時間が定時より長いなんてことがあっていいのか?残業時間は45hを突破したし、ことによっては60hまで届きそうな気がする。とはいえ来月の給料日は楽しいことになりそうなので、それまでは頑張りたい。

二次元的なファンタジー

 今月デビューした領国つかささんがかわいくてこのところ配信を追っている。本当にかわいい。話に面白い奥行きがあるとか、人間的に尊敬できる一面があるとかそういう感じではなく、「かわいい子ども」という二次元的なファンタジーがストレスレスに摂取できるという感じがする。配信は一時間くらいだしゲームプレイも手間取らなくてリアクションも大きいから刺激の薄い時間が短いしで、言い方は悪いがある種のコストパフォーマンスがとても高い。人間性の部分が全然見えてこないのである程度は意図的なのだと思う。個人的には別に人間的奥行きとかなくても良いのだが……別にそういうのはにじさんじとホロライブで事足りているし……。

 追記:今雑談配信を聞いていたらボカロ曲の話になり、「深海少女」に対して「懐かしい」というリアクションを返していた。悪ノ娘シリーズの小説を全部読んでたとかカゲプロで好きな曲は「エネの電脳紀行」とか……同い年くらいだろうか。

北の空

 大好きなイラストレーターさんにSkebでイラストを描いてもらった。彩度が暗くて本当に嬉しい。北といえば真っ白な雪景色と晴れた空、のようなきらびやかなイメージがあるが、この瓦色の空は実際に雪国に住んでいる人間しか知らないもので、絵にするなら、描いてもらうなら絶対に後者だと思った。

サルサ

 南米の音楽にハマっている。この前までクンビアを掘っていたのだが、去年一年分をがっと掘って主要レーベルのリリースを見てたら落ち着いてしまい、今はサルサを探している。……とは言っても、サルサとはアフロカリビアン系のダンスミュージックの総称というか、アメリカにおけるある種のマーケティング戦略として打ち出された単語あるいはムーブメントのことで、"サルサ"というジャンルがあるわけではないらしい。難しすぎる……。

 買おうと思っている作品は以下。

 プエルトリコの女性アーティスト。アンビエントサルサというか、浮遊感のある妖しげなシンセサウンドにマンボ?のリズムが絡みついていく音楽。電子音楽サルサの融合に興味があったので上手く見つけられて嬉しい。

 サルサ黄金期におけるベネズエラサルサレーベルのコンピレーション。とりあえずこれ買えば他そこまで掘らなくても良いのではないでしょうか……という気持ちがある。リリースが膨大でアクセシビリティが低いジャンルはいつもそうなりがち。

Ghetto Recordsという伝説的なサルサレーベルのリリース。このレーベルはけっこう内容が良かったので他にも買うかも。

 Bio Ritmoというバンドのリリース。ハイファイな録音でしっかり内容のいいサルサは数が少ないので嬉しい。

 サルサというか普通にラテン・ソウル。Curtis Mayfieldの故郷というか、あの熱さと力強さとパーカッションがラテン由来であることを改めて感じるサウンド

聴いたもの

 普通に旧譜をいろいろ聴いていたが数が多すぎて書くのが億劫になってきた。また今度やります。そういえば年間ベストの執筆が進んでいない……とりあえず選定は終わったのであとは書くだけなのだが、ラテン音楽が面白くて……。

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できたこと

  • 片付け
  • 勉強

雑感

ライフステージ

 大学を卒業して本州に就職した友達が一年ぶりに北海道に帰省してきたので大学の友達グループを集めて飲み会を開催した。場所は私の家。
 大学時代から交際相手のいる一人が指輪を薬指に嵌めていて、聞いたところついに婚約したという発表があった。めでたい。どうか幸せであってほしいと思う。人と話すと必ず結婚とかのライフステージの話になる。私は興味がないのでただ聞くだけになるが……。
 このメンツでの飲み会の定例としてコカレロを買い、けっこうなペースでコカボムを作って延々飲んでいたらひと瓶まるごとなくなった。そんなことあるんだ……。その割にはあまり酔っ払った記憶がなく、吐く人も出なかった。ショットばかりしていた割りに平和な飲み会になったと思う。
 この家での飲み会では私がその時気に入っている音楽をBGMにかけているのだが、今日はクンビアだった。「こんなの今ハマるような音楽じゃなくない?」と言われた。もしかしたら今話題になってる音楽をかけるべきだったのかもしれないが、前回はブルガリア民族音楽とかだったし……。「気に入りすぎてCD数枚買ってる」と話したところ「SpotifyじゃなくてCD?」と変な人を見る目が返ってきたのが悲しい。それはそれとしてクンビアの音とみんなで囲んでいる博多風水炊き鍋の味とのミスマッチが著しく、食べていて気持ち悪くなってきたため早々に切り上げた。帰省組の一人がyogee new wavesとNulbarichにハマっていて代わりに曲をかけてくれて、もう懐かしい音だな……と思った。"It's Who We Are"の(たぶん)テレキャスターのジャキジャキしたカッティングが好き。

聴いたもの

団地ノ宮 - ゆうやみずかん

 相互の人がpostしていて知った女性二人組のアーティスト。一聴して強烈な衝撃を受け、即座に物理音源を購入した。NHKの「みんなのうた」のような、あるいは2000年代ギャルゲー・新居昭乃のような、ノスタルジックで幻想性と浮遊感のあるピアノ中心の音楽性で、もう取り戻せない過去のイノセントな世界への憧憬を、コードと透明感のあるボーカルのハーモニーが極めて高い精度で表現している。2022年のリリースだが、自分含めて周辺の音楽好き全員から見逃されていたことが信じられない。名作。

はじまりの夜に
ゆうやみずかんを開いたら
みつけだせるかな
大きな生き物 きみの名前

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できたこと

  • 洗濯
  • 買い物
  • 勉強ちょっと

雑感

新年

 2024年になった。なんかいろんなことに追われていて何も余裕のない年末だった気がする。仕事とか、年間ベスト用の音源再チェックとか、普通に新譜チェックとか……。今年はもう少しゆとりのある生活をしたい。
 新年なので例年通り父親と初詣に行き、その後初売りの買い物をした。とは言っても単に新年一発目にタワレコに行くのがお決まりのルーティーンとなっているだけで、特にセールになっているわけでもないCD二枚を買ったのだが……。今年買ったのは杏里『Timely!!』と君島大空『no public sounds』。今関心が強いわけではなくとも、持っておけばのちのち気になってきそうな作品をセレクトした。
 それからコートも買った。大丸でオーソドックスな黒のコートを1着。この手のしっかりしたブランドものは雪には対応していないのでフードがついておらず、折りたたみ傘を持ち歩く必要がありそう。

クンビア

 去年の12月からずっとクンビアにハマっている。気がついたらギロのリズムが頭の中で流れている。
 原因は考えてみれば奇妙で、要するにVTuberの声を使ったAIカバーのスペイン語シーンが英語に次ぐ勢いで活況を呈していることに気がつき、興味の向くままに掘っていたら次から次へとクンビアが見つかって、だんだんとその呪術的なリズムに取りつかれていった……ということになるのだが、自分以外でそんなことになった日本人はまだいないのではないかと思う。
 そういうわけで今日は普通にクンビアを掘り、気になる作品を数作購入した。現代的なサウンドはZZK Records、旧作のリイシューはVampisoulとMississippi Recordsが強いということまでは分かった。まさか今になってVampisoulの作品群なんかを漁ることになるとは……。

 良かった作品を以下に並べておく。

 妙に幼い声のクンビア。

 現代の作品。全員女性のパンキッシュなクンビアバンドで、ギロの音が分厚い。

 クンビアの伝説的レーベルDiscos Fuentesのフロアバンガーコンピ。

 同じくDiscos Fuentesもの。Okadadaさんが買ってておやっとなった。

 これはデジタルクンビアというらしい。一曲目のイントロからして最高。

 素性の知れない人間が編んだクンビア裏ベスト。どう見ても権利関係がクリアされていない違法アップロード作品なのだが(概要欄に何も書いていない・タグ付けが適当・タイトルとアーティスト名で検索してもこの作品以外何も出てこない)、セレクトは確かに良い。考えてみれば、よほどクンビアが好きで、自分が作った名曲選を人に聴いてもらいたい輩でもなければ、35曲入りのしっかりしたコンピレーションなんて作らないだろうし……。

 ちなみにVampisoulはラテンアメリカ圏の作品群を手広くリイシューするレーベルで、私は以下のガレージロックコンピから知った。

聴いたもの

L'Rain - I Killed Your Dog

 いろんな音楽的要素をコラージュ的に繋ぎ合わせたオルタナティブR&B。去年話題になっていた一枚、なのだが……個人的には全然関心をそそられない音楽だった。音はある程度良いし別に悪いわけではないのだが、別に心を震わされるほどの力はないなと感じた。こういうシルキーだったり洗練を感じさせる音にはもう興味を持てないということだろう。

海童道祖 - 海童道

 禅を発展させた異端の思想『海童道』の始祖による、自然の竹に穴を開けただけの筒を楽器として用いた演奏の録音集。詳しいことは説明が難しいので以下のサイトを参照のこと。

shakuhachi-genkai.com

 尺八のような音楽性であるのだが、合間合間に挟まる奏者の力強いブレスや、音にならなかった息が管から激しく吹き出す音も相まって、奏者の荒々しい生命力そのものを直に浴びているような感覚がある。海童道祖はこれを音楽とはみなしておらず、精神的な鍛練の修行法の一つとして考えていたようだが、誰かに聴かれることを想定せずに作ったからこその型破りでプリミティブな力が録音全体に漲っていて、下手に洗練された音楽よりもずっと胸に響いてくるものがあった。

読んだもの

rollingstonejapan.com

 2023年最後の名盤。

森:あとは「うろつく犬を注意した警察官に『じゃあ、お前が飼え』と投げつける」。すごいよね、これ(笑)。

もち:投げつけた人と犬の関係性は?

玉木:飼い主なんだけど、ノーリードでの散歩を注意されたみたい。

森:横スクロールアクションゲームっぽいよね。

金子:ステージ上のもの掴んで投げつける感じがね(笑)。