雑記

__blurry_のおぼえがき

11/14

できたこと

  • 洗濯
  • 買い物

雑感

陰謀サークル

 母親が「知り合いから生ハムを貰った」と言って家に持ってきてくれた。知り合いの肉屋に安く分けてもらった、無添加の生ハムで……と聞いていたら「スーパーで売ってるものは全部農薬まみれで……」「今ロシアとウクライナが戦争してて物価が上がってるでしょ、あれは実はメディアは全部嘘でロシアが勝ってるんだけど……」「今円安でしょ、円安って分かる?お金の価値っていうのは……」「ハロウィンっていうのは悪魔崇拝の儀式で、クリスマスっていうのも実はキリストの誕生日じゃなくて……」などなど、陰謀論と中学校レベルの経済学と自然派が渾然となったような曼荼羅を一時間半くらいぶっ通しで聞かされた。こちらの相槌も反応も待たず、一方的に自分の主張をまくしたてる様を見て、オタク語りってこういうことなんだな……と初めて実感した。
 肉屋はどこで知り合ったのかと聞くと途端に口ごもり、若者から母親まで幅広い年代の集まるサークルのようなものがあって、そこで知り合ったというような返事があった。そこでどんな話をしているのかというとやはりもごもごと「教育とか経済学とか……」と言う。"教育"というのは「子供たちは毎日マスクをつけさせられて修学旅行にも行けなくてかわいそう」みたいな話らしく、ここでようやくさっきまでの話が全部そのサークルで聞いた内容の受け売りらしいと判明した。「そのサークル?は何て名前?検索したら出てくる?」と聞いたところで「どうしてあなたにそんなこと教えなきゃならないの」とあからさまに気分を害したらしい刺々しい反応が返り、そこからはもう聞き出せなかった。「Google検索も全部操作されててちゃんとした情報なんて出てこないよ」というおまけ付きで。他人に名前を明かさず検索にも引っ掛からない、今ある世界に対して敵対的なグループというのであればそちらの方がよほどディープステートっぽいのだが……。

 生ハムというのは建前であって、本当はただ私と話に来たのだろうと察しはつく。どんなであっても親は親なのだから、せめて和やかに迎えてあげたいという気持ちは働くのだが、こちらの話を聞くでも近況報告をするでもなく、知識人面をして前にも聞いたような陰謀論をだらだらと語られるのは疲れるなと思った。

『すずめの戸締まり』

 ネタバレの問題もあるので下部に改めて記す。

聴いたもの

サザンオールスターズ - KAMAKURA

music.youtube.com

 サザンの8枚目。「もしかしてサザンって面白いのではないか」という天啓が降ってきたので評判のよかったアルバムを買った。
 いわゆる「サザンの音」というと自分のなかでは"TSUNAMI"とか"いとしのエリー"とか"勝手にシンドバッド"のような音だったのだが、一曲目から「オブスキュア」と呼ばれるような、YMOの系譜を感じさせる奇妙な音像の実験的デジタルファンクが飛んできて度肝を抜かれた。いわゆるサザンというか、暑苦しいような曲もいくつかあるのだが、アルバムの基調は明らかにニューウェーブやシンセポップに振れていてとても面白い。「死体置場でロマンスを」なんて明らかにUSニューウェーブの音がする。
 ついでに桑田佳祐のボーカルはほとんど何を言っているのか聞き取れないため、聞き心地が海外のバンドを聞いているのと全然変わらない。意味ではなくサウンドだけに集中できる心地よさもあいまって何度も聴ける作品。

SUNN O))) - Life Metal

 Bandcampで1ドルになっていたので買った。"ヘヴィネス"のエッセンスを抽出したような、ドローンメタルの凄まじい傑作。ピッキングの粒の一つ一つに至るまでギターの鳴りが一つの表現をばっちり指向していて、リスナーをがっちりロックする力がある。ドローンとしては短いがそれなりに長い、行き先の分からない和音の積み重なりがリスナーに緊張感を強いる感じはKali Malone "The Sacrificial Code"にも近いかもしれない。ただただ聴いていて気持ちのいいアルバム。

星街すいせい - 灼熱にて純情

 星街すいせいさんの新曲。作詞作曲はUnison Square Garden田淵智也、編曲は堀江晶太ドラムンベースが混じったような高速16ビートのAメロ、やたらと音数が多いサビなど、情報量の多さはいかにもUnison Square Gardenにkemuを足した音という感じ(シュガビタしか知らないのでこれは単なる印象)。
 この曲がすごいのは星街すいせいさんが楽曲のアンサンブルと一体化していること。星街さんはそのスキルの高さゆえに、半端な楽曲半端なサウンドでは歌唱力が有り余ってバックトラックから浮いてしまうのだが、暴風のようなバンドサウンドとまくしたてるような星街さんのボーカリゼーションにはお互い切り結んでいるような全身全霊の迫力が感じられる。スキルの高いシンガーが高負荷の楽曲を歌うことでしか得られない感動は確実にある。"王"の御姿を久しぶりに見たと思った。

坂本真綾 - DIVE

music.youtube.com

 このところ声優楽曲に関心があり、名盤という評を見かけて手を出したアルバム。プロデュースが菅野よう子というだけあって全体的にクオリティが高いのだが、特に「月曜の朝」はインダストリアル/ポストパンク的な異様で冷たいサウンドをしていて心底びっくりした。ハイライトは前述の「月曜の朝」、シューゲイザーやドリームポップ、アンビエントジャズまでもが視野に入ってきそうな恍惚を帯びる「パイロット」、新居昭乃的なやや不協和な中を漂いながらもサビでは胸を締め付けるメロディを歌う「孤独」。

『すずめの戸締まり』



























 傑作だった。明確に「震災の追悼」というテーマが打ち出されているのだが、新海誠が震災を描くにあたってとったスタンスと意思が、これまでの「新海誠」の作家性を遥かに超えたものだったことがとても好きだった。
 これは「震災の映画」ではなく、「被災者の喪失からの回復」である。だから地震とは言っても東日本大震災を想起させるような生々しい災いのディテールは出てこないし、トラウマを呼び起こすような描写はかなり抑制されている。これは「ここまでしか描けなかった」のではなく、「当事者と非当事者の入り混じる観客に対して、現実に戻ってこれる塩梅で痛みを物語るにはどうしたらよいか」という部分の議論が徹底して行われた結果だと感じた。
 私はテレビでしか東日本大震災の被害の様子を知らない、いわば非当事者である。しかしそれでも鈴芽が過去の日記帳の黒塗りになったページをめくっている際には動悸が激しくなったし、過去の鈴芽に出会うシーンでは幼時に受けた喪失という傷の深さに胸を打たれて泣いてしまった。だからこれは非当事者にとっては何よりも、震災によって受けた心の傷を追体験する映画であるし、そのような痛みを"戻ってこれる深度で"知ることができるという物語の力を新海誠は信じ、責任を引き受けた上で制作に取り掛かったのだと思う。ただリアルを知ることも大事ではあるけれど、途方もない数の死と喪失を原液で受け止めろというのは、特に震災を知らない世代の子供たちにとってはあまりに酷であると思うから。
 当事者がどのような感想を持つのか私には分からないし、想像することもできない。大地震津波などというスケールの大きすぎる災害などは私の想像できるレベルを超えている。だから「これを見た当事者がどう思うか」というのは絶対に分かりえないけれど、新海誠がそのような人々にも届く映画を作ろうとしたのは強く感じられた。

追記:Twitterを見ていると、性的少数者・BLMなどの問題系に対して非当事者がどう振る舞えばいいか戸惑っているようなのが時々目に入る。むろん当事者目線を想像することは大事だが、それはそれとして非当事者は非当事者であって、どう意識したところで今から差別が自分に向かうわけでもなければ、当事者に真の意味で共感できるわけでもないのだし、非当事者は非当事者らしく、共感できない部分、分からない部分についてはラフに鈍感に作品鑑賞を楽しんでも全然よいと思う。ヒップホップを聴くときにブロンクス・クイーンズの貧しい黒人に思いを馳せなくてもいいし、四つ打ちの音楽を聴くときに苛烈な差別を受けてフロアの他に行き場のないゲイに思いを馳せなくてもいい。別にストリーミングサービスを使う時に1再生あたりのアーティストの収入を考えることもない。コンシャスな部分とカジュアルな部分はバランスである。可能な限りにおいて実践できればよいと思うし、そうでもなければ全員が全員あらゆる問題に気を配って生きていくというような極論に走ることになる。

10/12

できたこと

  • 早起き
  • 出社
  • ゴミ出し

雑感

生活

 「ツイートに生活感がない」といったようなことを言われてびっくりした。自分では日々"生活"をやっているし、ツイートにも自然とそういったものが滲み出ていると思っていた。
 そういうわけで近況。

  • 掃除機をかけた
  • ブルーナ・ボンボンを買った
  • 水回りの掃除
  • 観葉植物に15枚目の葉が出た
  • 大学時代の友人たちと飲み会→カラオケオール
  • 友達と一緒に自宅でカレーを作る

オーバーフロー

 10/7~8にかけてBandcamp Fridayが開催されたのだが、先述の飲み会があって金曜の夜に遊びほうけ、帰ってきた翌朝にメールボックスを見たら100件以上のリリース通知が届いていてうんざりした。リリース日を固めるのをやめてほしい。三連休を使ってとりあえず全部聴くことには聴いたが、ほとんどが印象に残っていない。良かった作品は後述。

マッサージ

 初めて整体というものを受けた。明らかに「痛いな……」と感じる箇所があり、思わず呻き声を漏らすと「痛いですよね。だいぶ凝ってます」と笑われ、凝ると痛むという分かりやすさになんだかおかしくなってしまった。
 右半身の凝りが特に強く、話を聞くと姿勢の悪さが原因だという。肘をついたり頬杖をついたり、足を組んだり、猫背になったり……ということで、全部心当たりがある。何なら骨盤もずれているという。「足の長さが違う」という言葉が恐ろしく、今後は姿勢に気を配ろうと思った。

聴いたもの

 誇張でもなんでもなく100作くらい聴いたのだが、数があまりに多すぎてその8割は覚えていない。以下はその中でも自分好みで確実に買うことに決めたもの。

 ビートメイキングが緻密なジャングル/UKG。

 名前通り良質なGqom三部作。言うことなくかっこいい。

 明らかにジャージークラブの流れが来ており、普段ジャングルやUKGを作っている人が取り入れつつも飲まれないくらいの塩梅でアプローチした良EP。ジャケット通りカラフルな8bitサウンドが楽しい。

 Caribouの別名義。フェス向けの洗練されつつ楽しいテクノ。

 DFAの名作が全曲12インチ版つきでデジタルリリース。ディスコパンクらしい荒々しいリズムマシンの刻みで否が応でも身体が動き出す。収録曲の三分の二が15分を超えている。

 異形ダブステップ。レーベルのDiscordサーバーに入って見つけた。

 DFAノイバウテンの良いとこどりのような音。Bandcampでは三曲しか聴けない。

 アマピアノが宿す暴力性のポテンシャルをUKベースやインダストリアルと結び付けたフロアバンガー集。

 Lil Uzi Vertなどとも共演している(らしい)Shygirlの新譜。私が一番求めているヒップホップ。

 Livity Sound主催Hodgeの新譜。ゴリゴリのテクノ。

 PANから異形サウンド。何とも形容しがたい質感だが親しみやすい。

 チェコの先進的ジャングル/ドラムンベースレーベルYUKUの新作。ジャケットが示す通り流体性を感じさせつつも洗練されたミュータントドラムンベース。明らかに異次元の音がする。

 昨今のシューゲイザーブレイクコアの融合したDepressive Breakcore/Atomospheric Drum'n'Bassの発端となったアーティストの最終作。自分が聴く限りではトランスの果てなきスケール感が根底にあるように感じた。悪くないが肌に合わない。

 いよわ新曲。情緒の陰陽をコントロールするのが上手すぎる。常に軽快なシンコペーションが楽曲全体を支配しており、あらゆる楽器とボーカルがそのグルーヴに奉仕している。インターネット的ポップネスをやりつつ、根底にグルーヴやサウンドへのストイックさがある、という二面性に弱い。

9/22

できたこと

  • ウォーキング

雑感

ヘッドホン

 先日イベントに出かけた際に年若いミュージシャンと会ったのだが、その人が普通に街中への外出で首にヘッドホンをかけてきているのを見て、同類だと思った。
 ヘッドホンをかけているということは当然街中で歩きながら音楽を聴いているということで、家にいる間はもちろん外に出ても音を聴いていないと気が済まない、そのためにファッションが多少損なわれようが構わないという没頭ぶりは自分のそれと全く同じものだし、そういった傾倒の態度が自分より若い人々の間にも存在するということが嬉しくなった。
 バランスもカジュアルさも幅広さも流行も、本当のところでは自分には関係がないと思っている。やらないと気が済まないことを気が済むまでやっていたい。

音楽の奇跡を信じる

 歌みたの中でも普通に歌が上手い人は何にも面白くない、プロがやる既存のポップソングの様式をインディーでなぞることに何か音楽的な面白さが見出せるとは思えない、と人に話すと、「栞は何か音楽の軌跡みたいなものを信じていて、それを求めているからだろうけど、大多数の人はそうではないから」と言われた。
 音楽の奇跡を信じるというのはおそらく、どんな音楽シーンであっても、そのシーン以外では絶対に起こり得ない化学反応が起きてユニークなサウンドが生まれ得るという考え方のことを指している。良い言葉だなと思う。
 そういう意味では"歌うま"のVは奇跡のポテンシャルというか、反応性が低いなと思う。"まるでプロ"であるということは、その歌唱がプロに近いということ、言い換えれば"プロの音"という様式に回収され、他のプロとの比較になってすぐに埋もれてしまう音になるということで、自分の中では何も面白くない。今はもっと変なものが聴きたい。

倫理と限度

 以下のツイートが盛り上がっている。

 ストリーミングサービスについてはこれ以上言いたいこともないが、どうも七尾旅人はデジタルリリースについても良く思っていないように見え、そこがとても気になった。
 この文を読む限りでは歌詞カードやセルフライナーにも意図を込めているのだからそこまで含めて楽しんでほしいということだろうが、そもそもどうしてデジタルリリースに歌詞カードもセルフライナーもジャケット画像も付いてこないのだろう。買った曲の歌詞は知りたいし、自作の解題があるなら読みたいに決まっている。デジタルリリースなんて言ってしまえばZipファイルなのだから、そこに画像なりpdfなりを突っ込むことがそんなにも難しいこととは思えないのだが……。これはレコード会社か配信プラットフォームの方の問題だろうが、自身がレーベルに所属している以上あまり大きな声で文句も言えないということだろうか。
 アーティストがCDを買ってほしいと言ったとして、私はたぶん買わないだろうな……と思う。私がCDを買うのはそれが一番安い時か、推しのVがリリースした時、中古屋に行った時以外にはない。安く中古で出ているなら中古で買えばいい。アーティストの意図やダウンロードとCDの利益率などと言われても、物理メディアのために余分にお金を積むくらいならそのお金は他のアーティストの作品一枚分のために使いたい。私は搾取に加担したくないからストリーミングサービスから距離を置いているが、その先まで強制される筋合いはない。加えて言えば、Bandcampでフル試聴ができない作品については普通にYouTube Musicで試聴しているし、その上でだいたいの作品は買っていない。そういう作品はだいたいがOTOTOYかmoraに置いてあるのだが、アルバム一枚3000円はそもそもの価格設定がおかしい。そんなところまで付き合ってはいられない。
 ちなみにBandcampでは普通にジャケット画像がついているし、アーティストによってはpdfファイルなりテキストファイルなりをつけていたりする。RELEASE YOUR MUSIC ON BANDCAMP。

追記:以下のツイートはその通りだなと思った。

 身を切って購入するという行為によって買わなかった作品との間に線を引き、買ったものだけに集中して分かるまで何回でも聴く、そういう形でしか感性が育たない人もいるだろうと思う。私がそうだったように。

 最近は音楽の話題が多い。ローカルの話があまりにローカルすぎてインターネットに書けないか、リアルタイム性が高すぎてその場で忘れているかのどちらか。

チェンソーマン

 OP・ED陣が発表された。

「ただのSpotifyじゃん」というのが最終的な感想になる。がっかり感が強いのは牛尾憲輔が劇伴を担当しているからで、サウンドの深度が全然合っていない。リズと青い鳥のEDが北宇治カルテット "トゥッティ!"になるのに近い。
 チェンソーマンの魅力は絶妙なB級感から背筋まで凍り付くような緊張感までの振れ幅にあると思っていて、牛尾憲輔のインダストリアルなサウンドは後者に寄せたものと思うのだが、このアーティスト陣はほとんどがキラキラしたメジャー陣で作風を全然裏切っており、唯一マキシマムザホルモンだけが正解している。これはこれで珍しい。
 そういうわけで自分に見えている範囲では不評が多い。検索をかけると好意的に捉える層もいるし、実際のところはプロダクトを見てみないと何とも言えないのだが、少なくとも藤本タツキはアーティストの選択権を持っていなかったか、作中でよくやるような読者への目配せはしなかったなと思い、どちらにしても面白くないなと感じた。

聴いたもの

Takanashi Kiara - DO U

 ホロライブENの小鳥遊キアラさんの新曲。作曲は以前のオリジナル曲 "SPARK"や、にじさんじEN所属のFinana Ryugu "TSUNAMI"を手がけたKIRA。音色の選び方・楽曲構造・楽曲強度までしっかりと本流のK-POPで、キアラさんもそのマナーを丁寧になぞった歌唱で応えている。
 ここで面白いのは、いくら歌唱法をなぞっていても、やはりキアラさんの歌声は強烈なポップネスを帯びたアニメ声であること。特に高音域においてそれが顕著となるのだが、"K-POPサウンド"をリファレンスとして聴くと、やはりその声だけが楽曲の中で強烈な存在感/違和感を放ち、いわばディストーションが掛かっているように感じられる。既存のマナーを忠実になぞればなぞるほど、声質という差分が際立ち、結果として本流とはまるで異なるサウンドに変質し、強い批評性を帯びる。Vの歌、あるいは歌い手の歌の可能性とはそういったところにあると思う。

 以下はしばらく前に読んで感銘を受けた記事。

saize-lw.hatenablog.com

 感銘を受けたといっても6割くらいしか共感はしていないのだが(この人は歌唱スキルと個性でマトリクスを作っているが、私は楽曲と歌唱の間のケミストリーを重視していてフォーカスの仕方が異なっている)、シンプルにディグの深度が深い。この記事を読んでからディグのモチベーションが相当高まった。

 以下最近見つけた歌い手。

 韓国の歌い手Syepiasさんとゲーム開発者sunfloさんのサンドリヨン。sunfloさんの方は明らかに声が虚弱で録音も微妙なのだが、syepiasさんの歌唱があまりに圧倒的かつ"王子様"然としており、サンドリヨンという楽曲が要請する"王子と姫"のロールに完璧にマッチしていて聴きごたえがある。

 Syepiasさんは凄まじく歌が上手く、本家とは違ったクリーンな方向で踊の正解を叩き出している。

 同じく韓国の歌い手이라(いら)さん。ハスキーでアンニュイな歌声と全体的にスラーがかかったような弛緩して甘い歌唱が寄り酔いという楽曲にマッチしている。1000再生を切っているというのが惜しい。

 飴宮なずなさんの歌枠の切り抜き。スキルがあるわけではないのだが、日頃のテンションを差し引いて真剣に歌うと歌唱がほとんどドリームポップになる。強いリバーブによってボーカルの音像がぼやけており、バックトラックがチープであることもドリーミーな質感に拍車をかけているのだが、それにしてもこうしてただ歌うだけで"音楽"になってしまうというのは凄まじいものがある。

picnic - creaky little branch

 オーストラリアの新興アンビエントレーベルDaisartからリリースされたpicnicの新譜。いつも通り砂利が混ざっているようなざらざらしアンビエントサウンドに、融解したようなピアノのフレーズの断片が時折流れてくる。かなり気持ちのいいサウンド

ピアノ男 - FAKESAX

 リョウコ2000としても知られるピアノ男の新作。名前の通り"嘘サックス"、つまりシンセ音源のサックスの音色をフィーチャーしたアルバムなのだが、「生楽器のサックスの代替」としてのサックスのシンセを、そうではなく「FAKESAX」という固有のサウンドとして捉え直してその可能性を探るというアプローチがとても面白い。レゲトンやジュークなど現行ダンスミュージックのパワフルなビートを素材に、FAKESAXを現実のサックスの文脈から離れてフリーキーに鳴らす実験が行われている。キーとなるのはグリッチ化で、これは完全にサックスからミュージシャンシップを切り離さないと出てこないアプローチだなと思う。特に好きな曲は2,3,5,6曲目。シンプルに踊れる。

9/13

できたこと

  • 出社
  • 残業

雑感

定め

 自分の中で明確に「こういう音が聴きたい」というものが一つ定まり、そこに合致する音を手持ちの音の中から掘り出すことにここ数日の時間を費やしている。

 全然欲しい音は見つからないのだが、こうやって軸を一つ定めることで音楽を聴く態度は明確に変わった。普段は「良ければ何でも聴く」という態度で幅広いジャンルを聴き漁っているのだが、良くも悪くも何となく気持ちいいかどうかだけを判断する漫然とした聴取になっていたように感じる。しかし、一つの価値観に一旦絞ってみることで、聴いている音がそこに合致するかどうかを厳しくジャッジするため、以前よりも聴取の集中力はむしろ上がったし、「もしかしたら自分が理解できないだけで未知の魅力があるのかもしれない……」などと判断を留保することもなくなった。良くないものは全然良くないし、良いと思っても今は全然求めていない時はさっさとスルーできる。
 「全部理解しようとする」態度はとても尊いが、それは規範化してしまった時点で意味がない。まずは自分の好みを知って、その好みに合う音を充分に楽しむことが大事だなと思った。次に進むのはそこに飽きてからで全然構わない。その方が結果として音の理解度が高まるということもあるだろう。

最近の歌みた

 最近「歌ってみた」動画を漁ることにハマっている。正直歌い手のことをアマチュアだと思っていた時期もあったのだが、プロフェッショナル/メジャーの領域では決して得られない未成の質感、異様なサウンドに惹かれて聴き始めたら止まらなくなってしまった。もっと直接的な原因としては相互の相互くらいの人が私の歌みた動画ツイートを見ていると知ったことだけれど……。

 最近(ここ一か月くらい)で良かったものをここに列記する。日頃からツイートで紹介しているので特段目新しいものはないが、見落としているものなどがあったら聴いてくれると嬉しい。

 シロナさん。歌唱はフラットだが、ざらついた声質、けだるげな発音と発声に凡庸な少女性とでも言えそうな魅力が宿っている。「バニー」の弛緩の仕方にはパンキッシュなものすら感じる。

 存流(ある)さん。発声がふわふわしているが、それはただ歌ったらそうなるというのではなく精確なボーカルコントロールがなせる業で、芯の歌唱にはパワーと軽やかさが両立している。この曲が一番良い。

 闇様ことラプラス・ダークネスさん。ウッドベースや808など一つ一つの音色が立ったバックトラックの中でロリ声的な歌い方が強烈な存在感を主張し、トータルでのサウンドをユニークなものにしている。さらに言えば原曲にないリバーブやディレイをボーカルにかけたり、いい意味でバックトラックとボーカルを不調和なままに馴染ませたミックスの仕事が本当に素晴らしい。この動画がやっていることは"カバー"ではなく"ダブワイズ"で、楽曲の可能性を拡張しているように感じた。

 歌い出しの「だぁらんと垂れ下がっちゃった栄光の手を御覧」を聴いただけでその異様さが分かる白籤ねんねさんの凄まじいカバー。音数が多く音程の上下が激しい楽曲においてズルズルと引きずるようにリズムを後ろにもたれさせることで、呪術的な迫力が生まれている。これは去年のカバーだが、これ以上のカバーが今年いくつ出るだろうか。

 シスター・クレアの少女レイ。あまり面白い歌を歌うイメージがなかったのだが、いつの間にかこの優しい声質のまま歌唱にメリハリが生まれていて引き込まれてしまった。歌い出しの「本能が狂い始める」からのコーラスが重なった箇所は捉えどころのない陽炎のような響きがあるし、同じようにコーラスを重ねていてもサビの歌唱には少女の実像としての艶と力強さがある。

 桃鈴ねねさんの歌唱が凄すぎる。スムースに流れつつキックとスネアで躍動する四つ打ちのグルーヴを身体で把握していなければこういう歌唱にはならない。常闇トワさんの歌唱もサウンドのクールな側面を引き出すことに成功していてかっこいいが、そこに入ってくる桃鈴ねねさんの「Oh!」や「Yeah!」があまりにもグルーヴィーでそれどころではなくなってしまう。

 吐息が多い歌唱を得意とする歌い手は数多くいるが、ここまで音程が埋もれている人は初めて見た。かといってふわふわしているのではなく、むしろグルーヴの把握はかなり鋭い方なのが面白い。額縁の中で踊っているが、膝と腰を動作の始点として踊るのはファンクのグルーヴを理解していなければできないことで、音楽的な良さが動画によって裏付けられるというのが面白いなと思った。

 Finana RyuguさんのCH4NGE。自分が知っている中で最も四つ打ち・トラップにおけるフロウが巧みで、最も楽曲に新しい魅力を付与しているカバー。英語ネイティブ故の"Sit down, sit down"の発音の良さが評価に寄与しているのも否めないが、"ああもうフリーズキメてや"からのラップの圧倒的なグルーヴ感はそれでは説明がつかない。無理に低音のえぐい声を出そうとせず、高く甘い声のまま自然に歌っていて、"Sit down, sit down"のクールさが際立つのも好ポイント。この人は"TSUNAMI"でも明らかに歌唱への適性を見せていたし、これからもたくさん歌ってほしい。

追記:音楽関連のツイートは相互のTLに表示されているとしても読まれているとまでは思っていないので、たまに通知がつくと「私が見えているのか……?」と驚く。

聴いたもの

 今日は上にたくさん書いたのでこの欄はなし。

9/4

できたこと

  • 料理

雑感

充実

 日記も書く暇がなかった。この頃は音源のリリース量がちょっと尋常でなかったのに加えて歌い手の歌ってみた音源ディグが始まり、さらにはまだ取っていない基本情報技術者試験の勉強を始めたのが原因。早く取って楽になりたい。でも勉強はしたくない……ディグが楽しすぎて……。

BIG FUN

http://www.precioushall.com/schedule/202209/bigfun2022.html

 行ってきた。札幌の最高のクラブPrecious Hallが主催する芸術の森での野外フェスで、Francois K.やJoe Claussellなど毎年大物DJをゲストに迎えているのだが、今回はコロナ禍もあってか参加者は全員が日本人。
 開始一時間後に到着すると早速地元でパーティーを主催するUmiさんがプレイしている。一番手ながらもPrecious Hall仕込みの渋くフロアをじっくりと温める選曲で、選曲もフロアコントロールも匠の技を感じた。良かった曲はアフロファンクをミニマルにエディットした"Cos​-​Ber​-​Zam - Ne Noya (Daphni Mix)"。一分半を過ぎたところで加わるリバーブの深い低音がフロアを宇宙空間に塗り替える。

 続いて地元のスペースジャムロックバンド宇宙文明のライブ。正直このバンドは退屈なので休憩時間として給水したり本を読んだりしていた。時々メインフロアに目をやると8割は埋まっているし全員が大興奮している。遠巻きに音を聴いていたがやはり良さは分からなかった。

 続いてNewtone Recordsのバイヤーを務めるというYAMA。前のBIG FUNのプレイが良かったので期待していたのだが、フェスという場に合わせたのかどうにも大味な選曲が続いて正直微妙だった。お腹が空いてきたのでフェスらしくカレーを買いに行く。ケバブチキンと無水カレーの合い掛けというものがあったのでハラペーニョトッピングで注文。ケバブというわりに辛味がなく、ハラペーニョを足したのは正解だった。家でも作ってみてもいいかもしれない。ハイデラバードビリヤニはとにかくそこにあるカレーを全部ライスに混ぜて食べるものだ、と学んで以来カレーの類は全部ごちゃ混ぜにして食べることにハマっており、今回も例に漏れずごちゃ混ぜに。カレーにハラペーニョの辛味が加わるとさっぱりしてけっこういける。
 良かったトラックは無感情な声ネタとトライバルパーカッションが気持ちいい"Butch - No Worries (Toman Rmx)"。

 余談だがButchと言えばRunning Backからリリースした"Desire"がかっこいい。裏拍で入ってくる水音のようなパーカッションがステップを踏む足を軽くする。これはPrecious Hallに誰か著名な外タレが来た時にプレイしていて気が狂うほど踊った覚えがある。それこそGerd Jansonだろうか。

 前日リコリス・リコイルを見ていたというのもあってこのあたりで眠くなってくる。次は札幌の誇るディープハウスプロデューサーKuniyuki Takahashi。後で知ったが今日はNewwave Project名義でのマシンライブ。リズムマシンらしい無機質で均一な鳴りの音色を調整し、楽曲全体が一つの機械として蒸気を噴きながら駆動する様が見えてくるようなサウンドで、爆発まで20分近く使って焦らしていく様がたいへん良かったのだが、眠気が来ていたというのもあって小さくステップを踏みながら頭は完全に寝ていた。強烈なキックがズドンと入ったところで目が覚める。そういうわけで何も覚えていない。正直この名義より本人名義の方が好き。

 (覚えている限りでは)ストイックなプレイを終えて喝采を浴びたKuniyukiがステージから退場すると、直後に異常な音色と四つ打ちとは似ても似つかない忙しないビートがスピーカーから鳴り響き、その場の全員が慄く。DJ Paypal"F M Blast"。

 元BOREDOMSメンバーの山塚アイことEYE。基本的にPrecious Hallらしい上品なサウンドが届けられる場において次から次へとフットワークを繋ぎ、踊り方の分からない客が次々と棒立ちになり、前方で熱狂する客はますます熱狂する。ハウスミュージックを縦ノリで踊っている人は順応が早い。もうめちゃめちゃに足を動かし飛び跳ね絶叫している。私もフロアで浴びるのは初めてで、探り探りに身体をビートに合わせて動かしてみて、なんとか「足を細かく動かすと気持ちいい」「上半身も動かす」ということが掴めてくる。ハウスのように下半身のステップだけではない、全身を使って踊るタフな音楽だった。
 そしてフットワークが止んだと思ったら今度はブレイクコアや高速テクノなど、インターネットにおける"FASTER"のノリでどんどんサウンドが狂暴化する。この辺は足を動かすのに必死で全然Shazamしていない。あとサンプル元が引っ掛かってきてその曲自体に辿り着けていないケースもしばしば。

 アフロビーツという近年勃興しているアフリカ発のビート(アフロビートとは異なる)の楽曲らしい。高速アフロハウスでかっこいい。

 Traxmanなので当然フットワークなのだが、治安が凄まじく悪い。知らなかったがアンセムらしく、日本のUKGDJのHaraさんが以下のリミックスをよく掛けていると言っていた。

 その後もめちゃくちゃをやって(終盤には普通にノイズをかけていた)EYEのターンは終了。ついに大トリの石野卓球が登場。この人はフェスに合わせて大味目(派手目)のテックハウスを披露。それでも時々バンガーが投下されてフロアから歓声が上がる。

 残り一時間あたりからテンションが上がり、主力のアンセムをガンガン掛け始める。"Renato Cohen - Pontape"、"Dead Or Alive - You Spin Me Round(Like A Record) (Murder Mix)"など。観客も大盛り上がり。

 これは個人的に好きすぎてイントロのカウベルが鳴った瞬間に叫んだ。

 "You Spin Me Round(Like A Record)"に繋がれた曲。

 そして必殺のアンセム"Ben Kim - Somebody To Love"の投下。盛り上がりすぎて死ぬかと思った。

 最後に一曲ディスコハウスを投下してパーティは終了。EYEが型破りの破壊的なプレイをした後で何をするつもりかとハラハラしたが、蓋を開けてみればいつも通りの卓球の横綱相撲だった。正直に言えばPrecious Hallでプレイするときの密度の高い選曲の方が好きだが、場所に合わせて音を選びつつ、自分のコアにある曲はばっちりかけるプレイスタイルはとても良かった。次は箱の中で会いたい。

追記:帰宅したところでシャツにバッグの肩紐がこすれて色移りしていることに気がついた。これ洗濯で落ちるだろうか……。

Stephan Mathieu

 ドローンアンビエントの大作家Stephan Mathieuが作品をインターネット上から取り下げることが発表された。今日がその最後の日で、明日には本当に全てが消失し、聴く手段は買った人のBandcampコレクションのみとなる。

 私がStephan Mathieuを知ったのはよろすずさんのツイートからで、記憶が正しければCelerのアンビエントにハマっていた時期だった。

 これを読んで試しに聴いてみた"A Static Place/Remain"によって私の音の好みは大きく捻じ曲げられ、以降アンビエントの沼にずぶずぶと沈み込んでいくこととなる。
 いろんなアーティストを知り、いろんなアンビエントを聴いた。感性の拡張に伴って視野は一気に広がり、アンビエントからドローンへ、ドローンからMerzbowへ、ノイズアンビエントへ……。しかしその中でもStephan Mathieuの音は一つの"正解"として自分が「戻ってくる音」であり続けた。

 だからStephan Mathieuの音源の取り下げとは、言うなれば"正統"のアンビエントサウンドの時代が終わったことを意味するようにも感じる。近年勃興するWest Mineralやdaisart、sfericなどのレーベルはこれまでのアンビエント、広がりのあるサウンドスケープの中に没入するのではなく、むしろサウンドのディテールが有機的に生成変化し続けるという特徴を持ち、Brian Enoから始まったアンビエントとは性質を異にする。異端と言いたいのではなく、そこには歴史性と同時に異化と切断が存在している。そしてそれらのサウンドを聴くにつれ、私はStephan Mathieuサウンドを聴く回数が減り、響きの心地よさより質感の面白さを求めるようになっていった。

 Stephan Mathieuは音源制作をやめ、今後はマスタリング一本に絞っていくのだという。今後どのくらい彼のサウンドを聴くかは分からないが、それでも彼の仕事はずっと追い続けるだろうという確信がある。ジャンルの結論となりうるような傑作をいくつも発表したアーティストの仕事を信じて。

7/30

できたこと

  • 洗濯
  • 皿洗い
  • パンチェッタの世話
  • 買い物
  • 風呂掃除
  • 排水口掃除
  • 美容室に行く

雑感

Tohji

 札幌にTohjiが来ていたので見に行った。場所はKING XMHU(キングムー)。
 入場料はいくらだろうかと身構えて行ったのだが、受付で提示された額はなんと1000円(しかもドリンクチケット付き)。冗談かと思った。
 入ってみるとすでにメインフロア最前はTohjiを見に来た客で埋まっている。見るからにサングラスや服装がTohjiのコスプレをしている人も散見された。個人的にはそれはダサいと思う。
 多少フロア最前で踊ったりしていたのだが、DJが単調で飽きてきてしまったため早々に二階エリアで離脱し、そこでTohjiの登場が午前二時からであることを知った。この時午後11時で、一緒に来ていた友人とすでにしんどくなっていた。普通にクラブなのだから音楽で踊ればいいと思っていたのだが、ここのDJはおそらくフロアを全く見ずにあらかじめ決められた順で楽曲を繋いでおり、しかも常にクライマックスで緩急というものが全くないため、とてもではないが楽しめたものではない。メインフロアにいる人間も大半が棒立ち状態だった。いわゆる兵馬俑

 そこからの3時間はすることがなさすぎてできるだけ静かで座れるスペースを見つけてずっとだらだら喋ったり、通る人の服装からナイトライフを楽しみに来たのかTohjiのファンなのかを当てる遊びをしていた。黒髪の女と白シャツの男はTohji目当てだろうという仮説でFA。

 眠くなってきた頃にようやくTohjiの時間になり、気がつくとメインフロアがおしくらまんじゅうになっている。私の前に無理矢理割り込んできた男が「一列しか無理でしたわ(笑)」と背後の男と談笑していて、一列行けるならもう三列くらい行けや……と何とも言えない気持ちになっているうちにそれまでのDJの音が止まり、E.O.U.なる人が前座でDJプレイ。これも誰一人盛り上がっていなかった。本当に誰一人テンションが上がっていないようだし、自分も一切心が動かなかった。こんなに面白くないDJが可能なのだな……と思った。
 30分の虚無の時間を経て音が止まり、聞き覚えのある爆音のイントロが聞こえてフロアが沸騰した。オートチューンでツルツルになった「札幌 調子どう?」の声がしてTohjiのライブが始まる。一曲目から"GOKU VIBES"。フロアの全員が飛び跳ねながらヴァースを大合唱している。それまでと比べてもけた違いの音量に鼓膜が破れるのではないかと恐ろしくて飛び跳ねるどころではなく、時々耳を塞いだりしてなんとかやり過ごしていたが……。
 その後は新譜"T-Mix"の楽曲と、アンコールに"Higher"をやって終了。まあそんなもんかな……という感じ。自分が全然Tohjiにもトラップにも思い入れがないことが分かった。一緒に来ていた友達は大感激で日頃見せる知的さが嘘のように「Tohjiーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」と絶叫してヴァースも全部歌っていた。一年くらいTohjiしか聴いていないというのだからそうもなるだろうなと思った。

余談1:GOKU VIBESでみんな飛び跳ねていたのだが、これは自分の感覚で言えばエレクトロ由来の強烈なシンコペーションを持つトラップであって、どうやっても四分でスクエアに飛び跳ねることはできないように感じる。しかし現実にはみなそうしているし、それどころか内省寄りのビートである"Higher"も同様だった。聴取の感覚が全然違うのだろうな……と思った。

余談2:GOKU VIBESと言えば思い出されるのはMVRASAKIの一件で、「村上恭平が乗るカワサキ」が「乗るカワサキが乗るカワサキ」に差し替えられているかどうかが一番気になっていたのだが、「shoulderの上にtattooおそろでいれたり」だった。公式の歌詞を見てもそうなっているから差し替え方が変わったのだろう。

今日

 フロア明けで10時過ぎの起床。なんとか美容院の予約を入れて髪を切りに行ったのだが、終わった後で近くの酒屋に吸い込まれてしまい、そこで出会ったIPAのラベルに書かれていたポエムがあまりにサイケデリックだったので一本買ってしまった。

天の川は無数の五次元フルーツが踊る楽園だった!
醸造ごとにメインとなるホップ品種を変え、五次元フルーツの多様性を楽しめるヘイジーIPAです。
パラレル楽園的アロマティーーック!!
http://www.sekaipa.com/ipa/japan/A/Uchu_brewing.htm

 それから家に帰って水回りの掃除。風呂場の排水口は髪の毛とリンスですごいことになっていたが、どうせ自分から出たものだと思うとさほど抵抗もなく、とりあえず綺麗になりそうな部分の汚れを取った。床の水垢も。床材と床材の間にカビが生じているようにも見えたのだが、換気扇は24時間回しっぱなしである。これはもうどうしようもない……ということでいいんだろうか。本当にいいのか?

リコリス・リコイル5話

 見た。アラン機関が前に出て、勢力が大方出揃った回。

 人を機械/歯車にするとはまんま現行の"社会"がやっていることであり、加えて言えば恩情により支援を行った相手を思い通りにコントロールしようとするのは家父長制そのものである。これでDAに悪質な"母性"が配置されていたのを合わせて、父権性・悪い母性という質の異なる支配が並んだことになる。思想的には後は脱却するだけなので、そこがどうなっていくのか、同時にそのような支配や権力の勾配のない千束とたきなの関係性の深まりを楽しみにしたい。二人が執着などの不健全な勾配を持たないまま仲を深めていくのなら、それはコミュニケーションの水位がどんどん上がっていくということで、普通に親密さの表現として性行為に行き着きそうな感じがする。そうなったところが見たい。

聴いたもの

Two Shell - ❖​[​secretbox​]​❖

 Two Shellが期間限定でリリースするsecretboxの第二弾。中身は未公開トラックと既存トラックのリミックスに特設サイトのパスワード・10分間のライブ録音。10ポンドに見合うほどの楽曲の冴えはなかった。

宝鐘マリン - I’m Your Treasure Box *あなたは マリンせんちょうを たからばこからみつけた。

 ホロライブの宝鐘マリンのオリジナル曲第4弾。MVを見れば分かる通りUndertaleを意識したゴシックながらもユーモラスなサウンドが楽しい。かめりあという大物コンポーザーの起用とMVのアニメーションのクオリティは予算の暴力としか言いようのないもので、この宝鐘マリンという配信者/アーティストはVカルチャー資本主義における王者なのだな……と改めて感じた。ところでこの人も来年再来年のうちにオリジナルのアルバムが出そうな気がする。
 この人がすごいのは予算の力によって他ではちょっと目にかかれないスタイリッシュなアニメーションをMVに盛り込んでくるところ。これはファンサービスというよりある種の思想を感じさせる。VTuberは言ってしまえば立ち絵一枚に還元できるわけだが、この人は自分自身が絵でしかないことを、「絵であれば何をやってもいい」という風に転倒してガンガンに攻めた映像表現を行う。そこには生身ではできない無際限の拡張性がある。"Unison"のまるで異なる画風の絵が次から次へと立ち現れ、その画風の違いがサイケデリックとして作用するMVなどはとても実写の人間にはできないだろう。

P丸様。 - 乙女はサイコパス

 P丸様。が9月にリリースするアルバムからの先行公開曲。コレサワ作曲・ポップしなないで編曲の爽やかなポップロックで、曲自体に特に言うことはなく、いつも通り素敵な歌だね、ボーカルカットアップを盛り込んでいるところが嬉しいね……というくらいなのだが、MVが面白かった。
 こちらのアニメーションはお世辞にも優れているとは言いがたいが、P丸様。のモデル自体のクオリティ・モーションキャプチャーの精度・表情付けの細かさとダンスの愛らしさは他のあらゆるVを凌いでいる。早い話が本人がかわいすぎる。VTuberの表現を拡張する船長とは真逆の、配信者の身一つによる一点突破。

7/26

できたこと

  • 夜勤
  • 洗濯
  • 皿洗い
  • 炊飯器をセットする
  • 回線契約の解除手続き
  • 買い物
  • パンチェッタの仕込み
  • ランニング

雑感

 サブスクについての話を3つほど。SpotifyApple Musicその他のサブスク型音楽ストリーミングサービスを想定している。

分散化

 朝にバンナムアイマス楽曲サブスク解禁がアナウンスされてタイムラインが期待と興奮で沸き立っていたのだが、夕方ごろになってバンナム楽曲の主要ストリーミングサービスからの撤退やアナウンス記事のサイレント修正などの報告が上がるにつれ、盛り上がりはこの"サブスク"が自社製囲い込みサービスなのではないか……というざわめきに変わった。
 よくよく考えると、ではそれで何がいけないのだろう……という気がしてくる。私はApple MusicなりSpotifyなりの1再生ごとのロイヤリティが充分だとは思っていない。バンナムの楽曲しかないのだから分配の原資がカツカツになる公算は低く、1再生ごとのロイヤリティを他のストリーミングサービスより高く設定することも充分可能だろう。それが実現するのであれば、アーティストへの金銭的支援という点で考えるに何の文句もない。
 むろんUIと機能、音質がちゃんとしているという条件付きでだが……。正直なところ二次元コンテンツに良質なUXは期待できないので、今のところは理屈の上でだけの感想に留めておく。

購入

 サブスクと音楽産業の話が盛り上がるたびに「この人達音源買ってるのかな」と思う。サブスクの還元率に問題があり、サブスクという装置自体にスケールの力頼みという問題があるのは分かっているが、当面解決の見込みがない以上は、個人としては音源を買うことでアーティストを支援していこう……と、一旦はそういう結論が出るものと思っている。音楽が好きだという気持ちに金銭的な横槍を入れるようだが、売り物となる音楽とアーティストの生活は基本的に地続きである。音楽に政治が持ち込まれることは現代においてはもはや当然のこととなったように、アーティストの生活について考えることも当然となればいいと思う。

追記:「今はストリーミング型のビジネスモデルでメイクマネーするのが基本」という考え方もあるだろうが、私が普段聴いている音楽はストリーミングでは絶対にメイクマネーできない。そういうシーンが好きな人間としてはサブスクを現状追認などはしない。この点についてはジャンル・シーンごとにいろいろな見方があるだろうと思う。

キャパシティ

 上の話の続きとなるが、かといって「買えないことは悪」とは考えていない。金銭的に余裕がなくて買えないからストリーミングサービスを使っている、という人は身近にもいる。だからサブスクを使う時、そこで気に入って何回も聴きたいと思ったものは買う、という習慣が広まればいいと思う。ようはバランス。はなから買う気がない人の言い訳に使われそうな気もするが……。

読んだもの

 トニ・モリスン『青い眼がほしい』を読み進めている。