雑記

__blurry_のおぼえがき

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できたこと

  • ランニング
  • 料理

雑感

bandcamp率

 TL上で音楽関連のツイートをする人がストリーミングサービスでなくBandcampのリンクを貼っている確率が高まってきているのを感じる。とても嬉しい。

大乱闘

 金曜日は残業しても良い日、と決めていたので22時前まで残業していた。おかげで仕事が終わったころにはすっかり空腹になっていてとても料理を作れる状態ではなかったのだが、「まあ23時くらいまでお店自体は開いてるだろう」と高を括っていたらどの店もラストオーダーが22時だったりして瞬く間に詰んでしまった。そこで近くにいた後輩を呼んだ。
 出来合いの惣菜を買ってきてくれるように「麻婆豆腐を買ってきて」と頼んだ後、ついでに後輩の分も自作するかと「ついでにネギと豆腐も」と頼んだところ、渡された買い物袋には麻婆豆腐の素が入っていた。それは確かにそうなる。かと言って料理をする体力もなかったのでとりあえずスマブラをつけた。これが22時半ごろ。いったん休憩を挟んだ時には午前2時になっていた。乱闘中に空腹なんて気にしていられない。

リズと青い鳥』revisited

 お腹が空いたので麻婆豆腐を作って食べたあと、後輩が私の部屋から『リズと青い鳥』のBDを見つけ、「観たことない」というので観ることにした。
 改めて見るとみぞれの挙動が小動物みたいでいちいちかわいい。公開当時はフェティッシュなカメラワークとみぞれの情緒の激しさにとても息をしていられなかったのだが、知り合いとあれこれ喋りながら見る分にはある程度気を抜いて観ることができる。

 公開当時は"百合"ということもあって、のぞみとみぞれの人格とその成長についてフォーカスしていることが多かったのだが、今回は新山先生とみぞれが「愛の在り方」について語っているところがとても面白かった。
 リズは青い鳥が自分といて楽しそうにしていても、空を飛んでいる仲間たちに憧れ、空を飛びたいと思っていることを見抜いている。しかしリズは鳥ならぬ人であるから一緒に空を飛ぶことはできないし、自分と一緒にいる限り空を飛ぶことはいつまでも叶わない。だからこそ青い鳥へ別れを告げ、大空を自由に飛び回る姿を見せてほしいと促す。みぞれはそれを「リズの愛の在り方」だと言う。一方で青い鳥はリズを愛しているが故に、リズを不幸にしてしまう「リズと一緒にいたい」という思いを手放さなければならない。
 ここで結局みぞれは自分をリズと青い鳥のどちらだと思ったのだろう?という疑問がずっとあったのだが、答えとしては「どっちも」なのだろう。みぞれはリズとして希美を自分のもとに引き留めようとする思いを手放さなければならず、一方では青い鳥として、希美がいなくても一人で演奏し続けられる姿を見せなければならない。それがみぞれの愛の在り方なのだろうと思った。後者については裏を返せば「希美のフルートが好き」とは絶対に言わない残酷さ、みぞれを人ならぬ"青い鳥"たらしめているものでもあって、絶対的に善なるもの美しいものとも言い切れないのだけれど……。
 二人が大好きのハグを終え、音楽室と自習室にそれぞれ向かっていくシーンの後、赤と青の絵具で描かれた二つの円の重なった部分が紫色に変わっていく描写が挟まる。これも二項対立的に自他を切り分けて執着・対立するのでなく、お互いにお互いを自然な形で自分の中に配置できるようになる、という意味なのだろうなと思った。忘れたころに改めて見るとまた別の角度の発見があって楽しい。

タンゴ失敗

 リズと青い鳥を見終えてからふざけて「サタンタンゴ観ない?」と誘い、「とりあえずストーリーが動くところまではなんとか見よう」と決めて再生したのだが、開幕5分間牛の群れが牛舎から出てきて牧場に歩いていく長写しで後輩がさっそく船を漕ぎ始めて笑ってしまった。画面の美意識はばっちり決まっているし、音楽の使い方もかなり好みだったので、一枚ずつ(この映画のBDは三枚組)観ていこうと思う。今回は「寝られると思うのでつけっぱなしにしといてください」ということで入眠用BGVになった。私は寝室で寝たのだが、壁の向こうから凄まじくラウドな物音が聞こえ、これで寝るのは無理そうだなと思った。

クラシックと若者

 20代の人間がCurtis Mayfieldをオールタイムベストに入れているのがどうこう、みたいなトピックが盛り上がっているのを見かけた。元は「年齢関わらず好きな音楽を好きな時に聴けばいい」という話だったのが、Curtis Mayfieldの魅力を語り合う流れになっており、正直げんなりしてしまった。
 多少なりとも音楽を聴いていれば70年代ニューソウルが素晴らしいことなんて議論の余地なく自明であって、それを今更蒸し返してきて何を盛り上がっているんだろうと思う。2010年代のインターネットの主流は70年代までの音楽(ジャズ、ソウル、ファンク、ハードロックetc…)をリスペクトし80年代のフュージョンやロックを"商業化"として下げるというものだった。70年代以前の音楽を愛する人間は「おっさん」であり、いつまでそんな時代の話をしているのかと煙たがられる存在だったはずなのに、いつのまにか一周してそうした音楽へのリスペクトが戻ってきたものらしい。
 個人的には2022年に70年代ばかり聴いていると言われたら「だるそうだな……」と思う。「70年代」の部分を「YMO」とか「電気グルーヴ」とかに置き換えたような生き物はそこらにいくらでもいて、そういう人が煙たがられているのも結局は時流なのだな……と思った。

 これに尽きるなと思った。「(アーティスト/ジャンル名) 名盤」とGoogleで検索して詳細な記事が無数に出てくるようなアーティストを熱心に聴いているのはむしろ新規参入者で、長く聴いている側の人は気がついたら誰にも話が通じなくなっていることが多いように思う。自分もそれなりに長く聴いていて、「詳しい」と言えるほど詳しくはないものの「詳しくない」と言い切るのは嘘、くらいの立ち位置だが、このレベルでも聴いている音楽がコミュニケーションのツールにならなくなってきている。

 こういうチャートもある。

聴いたもの

Kendrick Lamar - Mr. Morale & The Big Steppers

music.youtube.com

 Kendrick Lamarの新譜。とても良かった。
 今作の特徴はDuval Timothyを起用したことによる清潔な電子音楽への接近だろう。この人についてはポストクラシカルやゴスペル、ジャズのリリシズム由来の繊細な美しさをビートミュージックと融合させているところに特徴があるが、このアルバムでもその魅力を十全に発揮している。個人的にはこれまでのアルバムの中で一番未来志向なサウンドというか、ヒップホップを拡張するサウンドだなと思った。こういうサウンドが表舞台に出てくることで、今後のシーンは確実に変わるという予感がある。

 今月もえらい数の音源を聴いたのだが、数が多すぎて全然テキストに起こせていない。せめてここに良かったものを連ねておく。

music.youtube.com