雑記

__blurry_のおぼえがき

10/18

できたこと

  • 早起き
  • ランニング
  • ラジオ体操

雑感

『手の変幻』

 国語の教科書に『ミロのヴィーナス』が収録された清岡卓行の著書で、やはり人間の手が好き……という気持ちが高じて読み始めた。

 清岡卓行の文章の特徴としては、何よりも圧倒的な読みやすさが挙げられる。文章は常に読みやすく、かつ新鮮な詩的イメージに満ちていて、テクストの内容以前、文字を追うこと自体に楽しみがある。だから今のところは『ミロのヴィーナス』にあったような感動を他のエッセイで覚えることはないのだが、するすると読み進めることができて、なおかつ文意を解きほぐす適度な歯ごたえもあって、とにかく楽しく読めている。私にちょうどいい本。

note.com

 この人の言いたかったこと、実践していることとはきっと違うだろうが、それでも「今の私にちょうどいい本」はこれである。

#雪城さんちのごはん

 愛するライバー雪城眞尋さんの新作動画シリーズ。料理動画と聞いて相羽ういはさんのVlogのようなものを想像していたのだが、いざ再生してみてびっくりした。

 華がない。カメラは煮えたトマトスープと調理過程を映しているだけであるし、音声はといえば空調の音とかすかな物音、それから雪城さんが何かぶつけているような音だけで、肝心かなめのライバー本人の声もガワも一切入っていない。料理動画に字幕のトークを乗っけただけの動画である。

 しかし、雪城真尋さんというライバーの性質を、あるいは人となりを考えたとき、これ以上のコンテンツはない、と本心から思った。

 雪城眞尋さんというライバーにはそもそも華がない。トークが上手いわけでもないし、ゲームも人並みで、かといって動物的に愛らしいかというとそうでもない。歌もそこまで良いとは思っていない。どのフィールドで戦っても上位交換が出回っているだろう。

 それにも関わらず、この人にはある種の魅力がある。それは自身の地味さを真っ向から引き受けた上で、一介の人間として、ふつうの、「こちら側」の人間としての営みをとても丁寧に行うということである。後輩かつ親友の相談に真摯に応えるだとか、部屋をいつもきれいに保つだとか、今回のように見栄えはせずともいろんな料理に挑戦するだとか、そういった日々の積み重ねを決しておろそかにしない。

 本来的に料理というものは日々の糧を作るというだけの地味な営為である。それを華やかに見せたい、photogenicに演出したいという意思を否定するわけではないが、そうでなくたっていいと私は思う。ふつうの料理をレシピ通りに作り、さしてInstagramフレンドリーでもない完成物を、これが料理であると衒いなく見せてくれる雪城さんは、「丁寧に暮らす」ということの本義を無意識に理解しているように感じた。

 こういう人がにじさんじという箱にいることが嬉しい。華やかでなくたっていい。多数の耳目を集められなくてもいい。動画映えも写真映えもしない日々の暮らしを、丁寧に積み重ねながら生きることはとても貴い。そのような平生の営みの価値をこれもやはり地味な形で発信してくれる配信者が、にじさんじという最大手の芸能事務所に所属しているということは、配信業という華やかな世界において、一つのオルタナティブを提示してくれているように思われる。

良いツイート

 百合。

聴いたもの

Kazuma Kubota - Utsuroi

 一か月前にマシュマロで教えていただいた作品。言い訳しても仕方がないのだが、実家でノイズを聴くのはなかなか難易度が高くて手が出せなかった。

 これがとても良かった。ノイズというそれ単体では暴力の塊のような凄まじい音が、ドローンで構築された静謐な美の空間にきれいに収まり、。静と動/静寂と暴力のコントラストという言葉があるが、それを純粋な形で音楽として表現したらこうなるのではないか、というイメージそのままの音がする。

 それからついでにMerzbowの『Pulse Demon』も改めて聴いた。身も蓋もなく言えばノイズをひたすら鳴らし続けるだけという音楽性において、常に緊張感が漲り続けているのはただただ凄い。
 Merzbowを聴いていると、音楽的にとても純粋なものを浴びているという気がする。ノイズとの親和性が高いのかもしれない。

Hiatus Kaiyote - Canopic Jar

 Hiatus Kaiyoteの新曲。Michael Jacksonの"Thriller"のような怪奇的なムードが主題になっており、あからさまにおどろおどろしい、しかしそれゆえにどことなくB級感が漂っているのだが、ギターの奇妙なフレージングやボーカリゼーションなど、D'Angelo & The Vanguard以後のメソッドがふんだんに盛り込まれており、決して耳を退屈させない。

読んだもの

news.yahoo.co.jp