雑記

__blurry_のおぼえがき

5/25

できたこと

  • 洗濯

雑感

5/22

 労働と家事が終わってさあ寝ようという時間になってKamaal Williamsの性加害報道が出た。何をしている?

5/23

 ここ数日の睡眠不足と雑な食事が祟ったのかのどの痛みと咳と発熱が一気に来て早退。健康な生活を心がけるべきだなと思った。

5/24

 一晩寝てとりあえず解熱。この日は歯医者とメンタルクリニックがあって元々有給を取っていたのでそのまま二つをこなし、ついでに事務作業も片づける。上司から数回コールが来ていたので確認したところ「倒れていないか心配だったので電話した」とのこと。ご心配をおかけしてすみません。人の心の温かさに感謝しつつ、ちゃんと連絡はしようと思った。
 ついでにサーティワンでアイスを食べたりスタバでチルしたり。スタバのアメリカンコーヒーは相当に受け付けない味で、もう一生飲むことはないだろうと思った。ドリップコーヒーの重油のような濃さは悪くない。
 帰ったら人と通話で午前一時くらいまで盛り上がった。

今日

 結局朝の4時まで起きていたので昼までは寝るだろう……と思っていたら8時半に起きてしまった。疲れてる時くらい10時間寝かせてほしい。
 起きておやつを食べつつガールズバンドクライを見た。あまりに衝撃的で久しぶりにアニメでぼろぼろ泣いた。仁菜がいじめっ子に対する復讐として相手を殴るのでも放送室のマイクで叫んだり歌ったりするのでもなく、自分の好きな音楽を大音量でかけるという方法を取ったことに正直かなり衝撃を受けた。ガールズバンドクライはロックをテーマにしたアニメでありつつも現場主義的な思想が薄く、現場の奇跡と同じくらいには録音の力を信じ、「人に届ける/届く」ということを第一に考えているところが本当に好き。一度録音された音楽とそこに焼き込まれた信念の力を信じるということにかけて、これ以上に真剣な作品は見たことがない。井芹仁菜の生き様から岡本太郎を思い出してTAROMANのOPを見直して涙ぐんだり(正しいことしか言ってない)、ラストシーンの告白からエーリッヒ・フロム『愛するということ』を思い出したりして余韻に浸った。
 体調を崩しただけで洗濯物が溜まったので洗濯も片づける。一度洗濯機を回して干そうとしたところで、ふと洗濯洗剤の投入口を見たら洗剤がべったりとした塊になり、本体に流れ込む箇所が塞がっていた。もしかして今までずっとこの塊に洗剤をかけているだけで洗濯物をちゃんと洗えていなかったのでは……?ぞっとしたので熱湯で周辺の塊を溶かしてリトライ。
 ついでにBandcampのディグ。学マスにハマっているのもあって週末には300件近いメールが溜まっている。これを消化している時間が一番楽しい。

結束バンド・00年代・トゲナシトゲアリ・ボカロ

 トゲナシトゲアリの音楽性が面白くて気に入っていたのだが、ガールズバンドクライ8話で退路を完全に断たれた人間たちの一個小隊とも言うべきバンドの在り方が確立したことで、結束バンドならびにぼっち・ざ・ろっく!が完全に過去のものとなったように感じた。
 このバンドの音楽性を説明するとしたら「ポストボカロ」的なオルタナロックと言える。特に一般的な単語ではないが、ずっと真夜中でいいのに。、ヨルシカ、長谷川白紙、なとり、NOMELON NOLEMONなど、ボカロPが関わったりそうでなかったりはしつつも、既存のJ-POPの中になかったボカロ曲的なエレメントをルーツに持つであろうアーティスト群をざっくりと説明する言葉である。King Gnuがデビューした当時「ボカロ曲っぽい」と言われていたのを思い出す人もいるかもしれない。主な特徴はそのメロディ・トラックの音数の多さや疾走感、アフロアメリカン的グルーヴ感覚の希薄さなど(最近だと美波が作曲を担当した「Luna say maybe」が分かりやすいかもしれない)だが、「ボカロっぽい」要素があれば何でもポストボカロに突っ込むことが出来るという点ではバズワードでもある。
 この音楽性についてはプロデューサーにより明言されている。

劇中の設定上2004年頃に生まれた桃香が、最も感度の高い時期、小学校の高学年あたりで音楽に興味を持つきっかけとなる曲と出会うとすると、2015年前後の動画やSNS上で観られた曲の中にあったはずで、おそらくは同級生よりかなり早熟気味であったろう桃香が反応しそうな楽曲、ここが旋律感やサウンドの質感の原点となっていて、その後スマホを手にしたであろう2017~2018年あたりから数年間のJ-POPど真ん中でないバンド系とボカロ系を聴き込みながらギターを手にし、作曲を始めた2020年前後辺りで “聴く曲” と “参照すべき曲” を別の耳で聴き分けはじめた、という仮説を立てました。そうすると、歴史上最速のBPMを更新するかのごとく高速化していったボカロP曲のスピード感と、転調を繰り返しながらめまぐるしく展開する高再生オリエンテッドなバンドサウンドをリアルタイムで浴びながら、推しが影響を受けたであろう過去のロックやジャズやR&BやEDMの歴史をコード進行ごとなぞった、才能溢れる女性ギタリストが表現したかったサウンド、というのを、トゲナシトゲアリの楽曲の基本コンセプトとしています。そこに、毎分めまぐるしく更新される動画にインスパイアされながら、検索機能をフルに活かして耳触りの触感を突き詰めながら書き綴る純文学風味のリリックを、思春期を通して夢中で掘り下げたであろう、桃香の熱量そのものを散りばめた歌詞、を組み合わせたうえで、アニメの世界線とは別軸のリアルな邦楽シーンに於いて、このインディーズバンドのプロデュースを僕が引き受けたとしたら、という量子力学的視点で、ヘビメタ由来でなく下北種でもない、変異した新種のガールズバンドとはどうあるべきか?を毎曲更新しながらトライし続ける、という指針で進めています。 https://au.utapass.auone.jp/lp/interview-kenji-tamai

 2015年~2018年辺りの音楽にルーツを持ち、詰め込まれたメロディそのものがリズム隊以上に楽曲のグルーヴを担うような音楽性は既存のバンドアニメ楽曲群と比べて明確に新しく感じられた。これは特にそういったアニメ群で参照されている音楽性が主に古典的な邦ロック(BUMP、アジカンetc……)や下北系、MyGO!!!!!であればメロコアなど、主に2000年代~2010年代前半的な音楽性を参照していて、結局ソングライティングの根本が"邦ロック"という連続性の中でしか語ることが出来なかったからだろうと思う。トゲナシトゲアリはそこにインターネットで特異な変異を遂げた音楽性を持ち込み、"音と言葉を詰め込む"という形で激情の表現を更新した。
 さらに面白いのはトゲナシトゲアリのメンバーがみな「歌ってみた」ないし「演奏してみた」界隈のプレイヤーであったことである。

全員が個人のSNSで公開していた〈歌ってみた/弾いてみた/叩いてみた〉動画をきっかけとしてオーディションに参加したという経緯からも、各々の実力の高さがうかがえる。 https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/37499

 ボカロシーンにおいて「歌ってみた」動画ないし歌い手という存在は原則的に軽視されているし、実際の数字を見てもボカロシーンのようにSNSで突如としてバズるような歌い手はほとんどいないが(いないことはないがバズが起きたとしてもその規模が小さい)、理名というユニークな歌声を持つシンガーの発掘に当たっては、このシーンの「多様なシンガーたちが日夜繰り広げる未成の表現の実験場」という性質が大きな役目を果たしたことになる。さらに言えば「なぜボカロ(的な)楽曲を人間が歌うのか」という問いについても、際立つ強烈な焦燥感と新しいエモーションという点で、新種の"邦ロック"を確立しているというアンサーを出していると言える。

 また、これは音楽性とは関係のない部分だが、最近の結束バンドはシンプルに面白くない。トゲナシトゲアリが実際に声優が楽器を演奏しているのに比べて、結束バンドは"結束バンド"とは言い条プレイヤーにアニメからの連続性がない。実質が長谷川育美さんと(作曲陣とは言っても)単なるサポートバンドであるところを、「ぼっち・ざ・ろっく!」作中の結束バンドと連続的な存在として見ることは、トゲナシトゲアリが出てきてしまった以上は正直もう難しい。内実を失った声優コンテンツ化が激しく、アニメーション作品としての耐久度がどんどん削れてきているので、早いところアニメーションの方を進めて話を畳んでほしいと思う。JAPAN JAM出演にしても、作中でのサクセス度が全然追いつかないままそんな大きなフェスでやってるのを見てもただむなしいだけという感じがする。

 あまりまとまらないまま最近考えていたことをつらつらと書いてみたが、結局のところトゲナシトゲアリは邦ロックの形を明確に更新していて、今後はこういった音楽性のバンドの存在感がどんどん増していくだろうと思ったのだった。今後の日本の音楽はもっと面白いことになりそうでとても楽しみにしている。

P.S. 余談だが、『ビビデバ』のヒット、トゲナシトゲアリの登場により自分の中で盛り上がっていたポストボカロ的な音楽性への関心に決定的な一打を打ったのは月村手毬『アイヴイ』だった。歌い手(特にsekai)的な歌唱表現とツミキのポストボカロ+残響系趣味の音楽性が高いレベルで融合した大名曲。

聴いたもの

大枠で行く。

アルビニ録音群

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 Steve Albiniの訃報という大きなトピックがあって、改めて人におすすめを教えてもらったりしながら聴き直していた。アルビニの乾ききった生々しい音作りはUKジャズムーブメントがひと段落して、BMTHやメタルなどエクストリームミュージックが盛り上がりつつあるという2024年以降の音楽シーンにおいて最重要クラスの価値を持ってくるのではないか……と考えていた矢先の訃報だったので残念でならない。
 Neurosisはアルビニ録音の作品だけ(?)サブスクに置いていなかった(上記の作品は聴いたがアルビニ録音ではない)。中心人物のスコット・ケリーがDVを自ら発表して引退した今、フェミニズム的な思想を持っていたアルビニがそういった作品群をパブリックに置いておくとは思えない……と言えば一見筋は通るが真偽のほどは分からない。
 上に挙げた作品は全て良かった(Shellac以外全部買ったしこれも来月に買う)。ダイナミックレンジが極めて広く、スピーカーで音量を上げて聴くとヘッドホンとは比べ物にならない迫力が出る。Shellac "To All Trains"は2024年最強のロックンロールとして君臨するだろうと思う。

ブラジル群

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 篠澤広『光景』があまりに良かったのだが、これがどういった組成の音楽なのか全然分からなかったので近そうなブラジル音楽に手を出した。Ivan Linsは70年代ブラジルのポップミュージック(MPB, Música Popular Brasileira)の代表的アーティスト。正直あまり掴めていないがコード進行の豊かさと洗練はブラジルっぽいなと思う。
 sohnos tomam contaはブラジルのシューゲイズアーティストで、ボサノバのリズムとシューゲイズの音像を融合した聴いたことのないサウンドでとても面白かった。今年の傑作の一枚。
 あとは適当にボサノバとか。

Lauryn Hill - The Miseducation of Lauryn Hill

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 Apple Musicのオールタイムベストアルバムランキングで1位を取っていたので聴き直した。確かに現代R&Bの基礎となっていそうなビートや力強いラップ、今では過剰さが逆に面白いようなプロダクションやコーラスワークが面白いが、これが全世界のアルバムの1位と言われたら納得はいかない。
 ランキングの話になるが、「全ての音楽ファンを満足させるランキングを作ることは不可能」「英米の名盤ランキングと見たら妥当」「ライトリスナー向けの古典作品の提案」などといった穏当な意見がいくつかTLを流れてきたが、私の心の中の井芹仁菜に聞いたら両手の小指を立てていたので物分かりのいい振りはやめにする。このランキングはダメである。そもそもこの飽和の時代に100枚きりという設定がおかしい。ローリングストーンを見習って最低でも500枚、もっと言えば10年単位で100枚ずつ出すくらいのところからやり直してほしい。

amass.jp

Bring Me The Horizon - POST HUMAN: NeX GEn

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 今年のサマソニのヘッドライナーを飾ることでも話題になったBring Me The Horizonの新譜。最高!
 上に書いたようにエクストリームミュージックの興隆に加えてハイパーポップやDigicoreといったシーンの"過剰さ"がキーワードになった時代において、Linkin ParkZebraheadなどミクスチャーロックをコアにしたバンドサウンドで表現可能なあらゆる種類の"過剰"が積み込まれた強烈なアルバム。間違いなく一つの時代精神を象徴しており、同じ方面でこれ以上のものを作るのは不可能だろうという確信に足る一枚。

Still House Plants - If I don’t make it, I love u

 ロンドンで今最も熱いオルタナバンド。定型のリズムに収まっているように感じられない、楽曲として成立しているのかも怪しいようなアンサンブルとメロディに囚われずに宙を舞うようなボーカルの中から激しいオルタナティブ精神が噴き出している。アルビニのいない世界にもこういったバンドは生まれてくるのだと思うとどこか安心できる。

Ghost Number - Dirt & Other Spells

 スペインのトロピカル・ゴス・バンド(超かっこいい)Ghost Numberの4th。病熱のような異様なテンションのまま突っ走るバンドアンサンブルを浴びるととてもではないが座ってはいられない。ラテン音楽の豊かさと迫力を思い知った。