できたこと
- 新居に私物を運び込み
- 冷蔵庫と電子レンジを搬入
- 机とキーボードスライダーを購入
- ベッドを購入
- 新居のガス開栓立ち合い
- 回線工事予約と再確認
- コストコへ買い出し
雑感
根を剥がす・城を築く
今日は一日引っ越し作業に追われていた。大量のCDや本、布団や服や何やかやを詰めた段ボール箱を車から新居に運び込む。とにかく一日中肉体労働に追われていて、いかにインターネットに生きていようと、コンテンツに溺れて暮らしていようとも、その基盤には物理身体とそこに紐づく物体群があること、引っ越し作業はその全ての根を引っこ抜き場所を移してまた植え直す作業であることなどを強く感じた。これからはあの家が私の鉢である。
荷造りをしたなら、荷解きをしなければならない(アフリカのことわざ)
— 栞にフィットする角 (@__Blurry_) 2021年10月30日
新居に置いてきた段ボール箱の山のことを考えると今から気が重い。本当に収納できるのか?
何はともあれ家具が揃わないことには話が進まないため、まずはそれらを買い揃えることが当面の課題である。今日はテレワークに必要な机と寝具(憧れのベッド!)を買った。これだけで〆て17万円。ドラム式洗濯機は小さいものでも13万円。オフィスチェアは会社の制度で安く買えるが、それでも一時的に22万円が飛んでいく。リストに五桁六桁の家具が連なり、次々に店先で決済されてゆく。
なんだか取り返しのつかないことをしているような気がする。大きな買い物を一つするたびに自分の人生の行く先が固定されていくような気がする。
6桁の買い物をクレカで一括払いし、トロッコの分岐レバーをぐいっと引いたような重い手応えに耐えています。
— 栞にフィットする角 (@__Blurry_) 2021年10月30日
一つ一つに重い手ごたえがあり、そのたびに何かを轢いているような気がする。轢かれているのは金銭という形で私の手元にある無数の夢であり可能性であり、決済を通じて家具という形で生活空間に凝固していく。
親に買ってもらった家具に、選択された家具や住まいという形で生活空間に浸透した親の意思に折り合いをつけながら曖昧になずんでいく日々が終わる。代わりに始まるのは好きなものを選び、選んだ結果を全て引き受けることを求める主体的な日々である。家に増えていく家具の一つ一つが私の決断の具現である。
そういう意味では、むしろ買い物は高価であるほどいいのかもしれない。親の庇護のもとから抜け出す儀式として。他ならぬ自分の城を築くという野望の実現の、その第一歩として。
取り返しのつかないものを増やしていくことで固定されるものもあるだろう。仲谷鳰『ダブルベッド』は二人の物語であったが、『取り返しのつかないものを増やしていこう』という言葉は一人でも同じだと思う。取り返しのつかない主体的な選択を重ねたその先にしか、確固たる生は築けない。
良いツイート
ウソをつくな pic.twitter.com/zjpPAKVHBH
— W-S|馴染 (@_NA_JI_MI_) 2021年10月30日
ロマネスコって明らかにエラーなので
— はくいきしろい (@hakuikisiroi) 2021年10月29日
世界を再起動したらなおる気がする pic.twitter.com/hxgnK7XnHt
聴いたもの
King Crimson - Red
引っ越し作業の掘り出し物を聴いていた。久々に聴いても傑作。音楽シーンのメタが進みに進んだ結果としていかにも英国ステレオタイプ的な憂愁が逆に新鮮に感じられる。
これまで理解できなかった"Providence"が理解できた。後半部ではバンドアンサンブルが崩壊するギリギリのところで各人のプレイが鍔迫り合っており、今日の気分ではアルバム中で一番面白いなと思った。
King Crimson - Discipline
こちらも。これはもういつ聴いても名作なので今日聴いても特段新しい感想はない。
このアルバムでは"The Sheltering Sky"の閉塞的なミニマルが一番好きで、これと"Elephant Talk"ばかり覚えていたため、逆にポップな"Matte Kudasai"や"Thela Hun Ginjeet"が流れてきた時は「そういえばそんな曲あったな……」とびっくりした。名作。そういえば90年代以降のクリムゾン聴きたいな……と調べたがサブスクにはないとのこと。当然Bandcampにもない……と諦めかけたが、YouTubeで全曲公開されていた。私の勝ち。
TEMPLIME, 星宮とと - HYOJYO
ネオンライトの二人が新譜をリリース。しかしTEMPLIMEのトラックは驚くほど音楽性豊かかつ緻密なものに進化しており、ネオンライトのジャンルマナーに忠実なトラックとは比べものにならない。人間の進化を感じる。
しかしそれは爆発的な、頭を空っぽにするようなトラックがなくなったことにも繋がっている。アーティストの進化は嬉しい。しかしそろそろ次のアンセムも欲しい。心が二つある。
以下ざっくりと。
Hakos BaelzさんのHappy Halloween。Ouro Kroniiさんがミックスを担当しているのだが、お世辞にも聴き心地がいいとは言えない出来で、バックトラックに歌が埋もれているし、リズムや音程のずれも直っていない。ベールズさんがテイク数を多く取らなかったということもあるかもしれないが……。
好意的に解釈するなら、Kroniiさんも自分の能力は分かっていて、それでもとにかく実践しないことには成長はないと考えたのかもしれない。そうだったら良いなと思う。