雑記

__blurry_のおぼえがき

9/7


できたこと

  • 洗濯
  • 服をクリーニングに出す

雑感

脱稿

 ここ一か月取り組んでいた原稿の校正作業までが完了した。ほんとうに疲れた……。こんなことを書いていいのか、こんなレベルの書き物でいいのか、そんなことばかり悩みつつ、それでも依頼された限りはやれるだけのことはやる、そんなことを悩みながら延々と作品に取り組んだ一か月だった。
 今回の執筆作業の終盤はほとんどChatGPTに頼りきりだった。自分は文章を書くことが本当に苦手なので、書いたものを一瞬で読みやすく直してくれるChatGPTがなければとてもではないが読める文章にはならなかっただろう。数日間で三千円が飛んだが、その甲斐はあったと思う。
 これで晴れて「音楽ライター」という肩書きを名乗れるらしい。そのためにもここから敢行まではおとなしく暮らす。
 出るのは以下。買ってねと言いたい気持ちと、恥ずかしいから読まないでねという気持ちが半々くらい。尊敬する書き手の方々がたくさん寄稿しているのでそっちは読んでほしい。

www.seidosha.co.jp

【資料】栞にフィットする角

今日

 9時前に起きてぼんやりとTLを眺めつつBandcamp Fridayの落穂拾いをした後、街に出て父親と食事をした。近況報告とか最近聴いた音楽とか。私がちょこちょこ貸している作品を気に入ってくれているみたいで嬉しい。ちあきなおみ、浅川マキ、山崎ハコあたりが共通の話題に上がった。ストーンズにハマっているようだったので手持ちの作品を今度貸すという話をして別れた。
 お腹も良い感じに膨れて、その後の予定まで時間があったのでふらっと献血に立ち寄ったが、問診の結果献血不可の薬を飲んでいることが判明して断られてしまった。この薬を飲んでいる限り献血には行けないらしい。社会貢献の奮起がくじかれて10分くらい引きずった。その後スタバでも行くかと思ったがどこも席が空いていないので、八つ当たり気味にサーティワンを食べたりした。レモンシャーベット・ポッピングシャワー・サンセットサーフィンのトリプルポップ。いつも思うがサーティワンはちょっと溶けかけで出してくるので食べていてちょっと物足りない。
 その後友達と『きみの色』を見た。山田尚子脚本?ということと何らかの曲が流れるということだけしか知らない状態で友達を誘って行ったのだが、完全に大正解だった。全然泣いた。詳しい感想は後述するが、観終えた後に友達と全く感想を共有しなかった。今これを言葉にして要素を分節したら全てが台無しになると思った。実際そういう映画だと感じる。

 さすがに買った。買わなければ嘘だろう。

 その後映画館の下階で売っていたぶいすぽ焼き(ぶいすぽっ!メンバーの顔の形をしたたい焼き。コースターが付いてくる)を買った。如月れんさんのことが見てるだけで情緒がおかしくなるくらい好きなのでちょっぴり期待したが、出てきたのは花芽なずなさん。人マニアの歌みたが良かった人と記憶していたが、調べたところそれは花芽すみれさんという別人だった。花芽という名字が被ることがあるのだな。クリームが想定される量の半分しか入っていなかった。味がしない。
 オータムフェストを見て回る。映画館でポップコーンを食べたし、ドリンクバーの飲み物も二杯飲んだので正直お腹も空いていなかったのだが、来たからには一個くらい食べよう……と思ったらラストオーダーまで10分しかないことがその場で判明した。時間があまりになかったので、ぱっと目についたものに並んだら目の前の人で完売。完全にどうでもよくなって結局何も食べなかった。

 友達ももう少し食べたさそうだったのでラーメンを食べた。店が遠かったので歩いているうちに余裕が出てきた。醤油ラーメンが有名な店だが味噌の気分だったので味噌を食べた。店の評判より自分の気持ち。久々においしいラーメンを食べて幸せな気分になった。

 帰って今日買ったCDと父親から回収したスピッツのシングル集を取り込み、洗濯機を回し、ついでに思い立って日記なんかを書いている。誰のためでもない文章を書くのは久しぶりだが、久しぶりに心が凪いでいる。できることなら毎日の終わりに書きたい。

『きみの色』

 以下ネタバレ注意。



















 本当に美しい映画だった。信仰を生きるということ、自分の道を選んで生きるということ、役目を果たすために生きるということ。そういった個々の生一つ一つをリスペクトしながら、音楽はそうした別個の生き方を選ぶ人々を繋ぎ、一つにする力があるという祈りに全ベットした、祈りと愛に満ちた映画だと感じた。
 ぱっと見で目についたのは画面における執拗な十字と斜線のモチーフの反復。十字のモチーフが主に窓枠で多用されていたことを考えれば、十字の体現する規律と正義に対して斜線はその傾きというか、その美徳に沿って生きられない弱さや人情を表すのが斜めということになりそうな感じがする。そしてシスター日吉子が作永きみを学園祭に誘い、イザヤ書を引用しながら勇気づけるシーン以降は窓枠の十字に斜めのクロスが追加されたものが画面に映るようになるし、映画のラストシーンではトツ子がバレエを踊ることで十字そのものになる。弱さを受け入れながら信仰を生きるということ、言い換えれば祈りを持ち続ける生き方が可能であることをモチーフで簡単に示しているわけで、モチーフのアレンジの仕方がとても好みだなと感じた。
 ライブシーンは本当に最高だった。トツ子は結局全然鍵盤は弾けなくて両手の人差し指二本でベースラインを弾いたりただ踊っていたりとほぼ賑やかしのようなものだったが、それでもトツ子がいなければあの音楽もバンドも成立しない。そしてそうした下手さを映画はポストパンク/テクノ的な在り方として肯定する(しろねこ堂でUKロックを売っていたり、影平ルイが"ユニオン"に寄ってジャンクの機材を買い、明らかにR&S Recordsのものと分かるレコードを買っているのはそういうことだろう)。観客のクラTがスマイルマークなのはやりすぎているくらいだが、制作がお茶目に舌を出しているのが見えて嫌いではない。あの観客に合わせて私も立ち上がって踊ろうかと思った(そこまではしなかったが客席でちょっと揺れていた)。
 トツ子が学園の中庭で踊るシーンは一番泣いた。前述の通りだが十字のモチーフを散々反復した後に、冒頭の不器用なバレエというモチーフをふと持ってきて重ねるという伏線の回収の仕方が好みだったのでもあるし、シンプルに美しかったということでもある。他にもあるかもしれないが思い出せない。
 作永きみがルイとの別れで「頑張れ」と目一杯叫ぶシーンもすさまじかった。聖歌隊の今後を担う逸材として期待されていたほどの美しい歌声の作永きみが虚飾も何もかなぐり捨てて懸命に呼びかけるシーンは、大きな声を出すという最も原始的な形でのロックであり、最も原始的な祈りであり、信仰とロックを両立するとはどのようなことなのかを完璧に体現していたと思う。張り詰めた静寂の中で喉が破れそうなほどの叫びが劇場に響き渡るこのシーンは、牛尾憲輔の手になる音響の一つのピークでもあった。
 EDのミスチルについては正直蛇足だと思う。ポストパンクの映画だったはずなのにここだけがポップスになっている。
 映画を見終えてからタイトルが"your colour"と「(作永)きみの色」のダブルミーニングであることに気がつき、帰宅してサントラを開けたところで英題が"all is colour within"であることを知った。