雑記

__blurry_のおぼえがき

8/22

できたこと

 何もなし。今日は土曜日。

雑感

今日

 友達の家に行って五時間くらいスマブラをやっていた。その人は遊ぶのは夜6時までと時間を決めていて、理性的な人だなと思った。私が人と遊ぶ時は、終電ぎりぎりまで遊ぶ以外の選択肢なんて考えたことすらなかった。育ちの違いだろうか。

 鈴木大拙『禅』の続きを読んだ。この本によれば禅の思想はあくまでも「悟り」の体験に依っており、その体験は論理や知識といったものでは捉えきれないとされる。あらゆることにおいて、知識がどれだけあったとしても「悟り」、要するに外部の概念と自己との同一化がないところに真の体験はない、というのは事実だと思うのだが、これはあくまでも誠実な二者間のコミュニケーションとしてのみ行われるべきだなと思った。禅のエピソード(いわゆる「禅問答」)の一般形は、問いに対して常に到底度し難い答えが返るのが典型で、かなり高い頻度で暴力を伴う。普通に師が弟子を殴るし胸倉を掴む。傍目には師弟関係をかさに着たパワハラとしか見えず、読んでいてちょっと厳しいものがある。禅が理不尽だというのは原理上理解できるが、もし私が立場が上の人間にこんなことをされたら即座に泣くだろう。禅は読むだけで充分だと思った。

 フジロックを見た。大乱闘に忙しかったので観始めたのは八時半くらいだったのだが、そこでちょうど演っていたDachamboのパフォーマンスが凄まじく良かった。

dachambo.com

日本が宇宙に誇るサイケデリックJAM BAND、もしくは快楽探求楽団。ツインドラムにディジュリドゥー、極太ベース、爆音ギター、そしてデジタル音からなる、ジャム、トランス、ラテン、ファンク、サイケ、オーガニック、民族音楽といったジャンルの枠をひょいひょいと変幻自在に飛び越えるPEACE&SMILEに溢れた彼らのライブは、自分達とその場に息づく空気、居合わせたお客さんとのバイブレーションの交換から生まれ、常に変化しつづける形容のしがたい、することの出来ない音を産み続けてゆく。それは「人が踊る」ことへの初期衝動を覚醒させる中毒性をもったサウンドであり、現世と彼岸の境界線を遥かに越えてビヨンド・ビリーヴな踊りのサークルから生まれるカオスでもある。そんなDACHAMBOの世界観にグイっと惹き付けられた老若男女によって、草の根的に”DACHAMBO村”日々拡大中。

 「快楽探求楽団」という看板がとても良い。延々と続けられるサイケデリックなジャムは踊りへの衝動を強烈に喚起する。全ての楽器が渾然一体となって一つのグルーヴを作り上げる様は私がまさにバンドという演奏形態に求めるものであり、フジロックで聴いた中ではこれが一番気持ちよかった。

 それからROVOとTHE SPELLBOUNDを観た。ROVOの演奏はツインドラムの片方が高速ボンゴを叩き始めたところから一気にテンションが上がり、各人がストイックに一つのコズミックなサウンドに奉仕している様が良かった。Dachamboのファンクをルーツに持っているサウンドとは対照が際立つ。ジャーマンロック(クラウトロック?)というからAsh Ra Tempelあたりがルーツだろうか。THE SPELLBOUNDはトランスだな~くらいの気持ちで見ていたが、『A DANCER ON THE PAINTED DESERT』のパフォーマンスがかなり良かった。たまにはデジタルロックも良い。

良いツイート

聴いたもの

星街すいせい - 自分勝手Dazzling

 星街すいせいさんの新曲。細部のアップデートこそあれ、全体的に00年代のトラックっぽい。

 星街さんが"良い曲"を出すたびに、囲い込まれている、と感じる気持ちがある。宝鐘マリンさんが『Unison』を出したように、星街すいせいさんももっと挑戦的な楽曲を歌ってV圏の音楽を拡張できるはずなのに、成功が約束された音に、ウェルメイドな音に留まっている……という不満である。『3時12分』は良い曲だったが、星街すいせいさんの声質やそれまでにリリースしてきた楽曲を考えれば、意外性や化学反応といった魔法は一切感じられなかった。

 これは星街すいせいさん個人に対する期待というより、V圏全体に対する、まだ見ぬものを見せてほしい……という期待がまだ残っていることが理由なのだと思う。インターネット老人会ではない、先端のカルチャーとしての矜持を音で示してほしい。生主がどうこう、とかはどうでもよくて、ただ先端にいることを多面的に示してほしい。電音部がそうであるように。アルバムまで出すのだから。

 ……と思わず強気に書いてしまったが、本音の本音を言えば、「いくらなんでもVコンテンツでArte Refactは……」というのも3割くらいはある。私はArte Refactのことを守りに入ったコンテンツの代名詞だと思っているから……。

 しかし、ポジティブな見方をすれば、星街すいせいさんの活動はこの一枚で終わりではない。ファーストアルバムは星街すいせいさんに何が出来るかを示すとりあえずの名刺になるだろう。この一枚で名が広がれば、今後先鋭的なクリエイターとのコラボレーションも増えてくるのではないだろうか。あの正統派の歌声がインターネットのカッティングエッジと交流するところが見たい。

 以下その他。

nana-music.com

 ヨミさんのシル・ヴ・プレジデント。このバンドサウンドとデジロックと親和性の高そうな声でポップ100%の楽曲を歌うところに化学反応がある。歌唱力とスタイルがこの曲から要求されるレベルを遥かに超過していて、いわば天井に頭をぶつけているのだが、それをなんとか収めようと頑張っているところなどはちょっと他では聴けない。「だだだ!」「しるぶぷれ!」の合いの手というカバーの魅力に直結する重要なディテールをお茶目に決めていてよかった。ちなみにP丸様。の原曲バージョンはこのディテールが完璧に決まっていてすごい。

 船長のIOSYS曲。好みだったので買ってしまった。純粋なパフォーマンスの良さに加えて、自身がインターネット上の存在であることを真っ向から受け止めた器の大きさ、IOSYSのコミカルでありつつも勘所を押さえた作曲が噛み合って物凄いことになっている。時代遅れのギャグを連発されるのはかなり厳しいが、それを差し引いても「もっと!もっと!」パートの熱さは他に例がない。フロアで聴きたい。

読んだもの

mikiki.tokyo.jp