雑記

__blurry_のおぼえがき

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できたこと

  • 美容室に行く
  • ラジオ体操

雑感

水を差すこと

 好感を持った人をすぐに信じてしまう習性がある。「この人の言っていることなら正しいのだろう」と試聴もせずに音源を買ったり家具を買ったりなどとしていて、結局失敗だった……ということが頻繁にあるのだが、どうもなかなか直らない。

 で、音楽についても話は同じで、この人はと畏敬の念をもってツイートを追っていた人がいた。しかし、その人のツイートがバズった際、別の人がそのツイートにドライな言及をしているのが見え、その瞬間に盲目的な畏敬がスッ……と引いていくのを感じた。同時に、どうして私はこの人を狂的に信じていたのだろう、なぜ自分の物差しより先に他人の物差しを当てていたのだろう……と思い、正しく"目覚めた"実感が湧いてきた。

 水を差されること、一方向への熱狂に対して別の角度からの言葉を目にすることはとても大事だなと思った。特に私のような人間は特に。外的なもの、具体的には複数のコミュニティに所属することで、常に自分の物差しを調律する、というか。調律というのはちょうどいい言葉だな。

美容室

 行ってきた。一か月ぶりだな~と思ったら二か月ぶり。自分の時間感覚は全くあてにならないことを悟った。

 『ニューロマンサー』を読んでいたのだが、前髪を整えるときに液晶に細かい髪が落ちてくるし、何より眠くなってくるので途中で諦めて端末を置いたところ、美容師さんが結婚の話を始めた。「良い人と結婚できそう」とのこと。興味ないですね、今はそういう予定はないですね、他人と同じ家で住むのはちょっと、などと言ってもなかなか開放してくれない。
「どんな人がタイプなんですか?」「うーん……話が通じる人ですね」「最低限じゃないですか」「大事ですよ」「見た目だと?」「テレビを観ないので例えられませんが、見栄えの良さって住まいをともにする相手の評価軸に入るんでしょうか」「この前のお客さんは一目ぼれで結婚してました」「それは……ギャンブルですね」始終この調子である。一緒に生活を共にする人間が話が通じないとはどういうことか、この人には想像もつかないのだろうと思った。その美容室は母親も通っている店で、母親はそこでは子供想いの献身的な母ということになっている。まさか対話不可能の陰謀論者だとは思わないだろう。私がこういう返しをする理由がこの人に由来するとは思わないだろう。

 結局カットが終わるまでずっと婚姻の話をされた。あなたも私よりずっと年上で未婚なのになぜ私の結婚市場における価値にこだわるのかと不思議でならない。

 帰り道はすっかり暮れていて、三日月をやや太らせたような上弦の月が出ていた。低いところに浮かんでいたせいか大きく見えたからなのか、学芸会の体育館のステージに吊り下げてあるちゃちな作り物に見えた。

良いツイート

そんな……

聴いたもの

チャットモンチー - 生命力

 父親(ギター趣味のBeatlesマニア)からチャットモンチーの名前が出てきて、そんなのも聴くんだと言ったところ「ギターの音がいい」と返ってきて、そうだったかなと引っ張り出してきた。
 ギターの音については正直分からない。ギターの音への解像度が低く、そう言われたらそうかもしれない……という程度。ただ楽曲は凄まじく良い。一曲目「親知らず」から五曲目「手のなるほうへ」までの流れなんかは神がかっている。ボーカルのどこか幼いような切迫した歌声に息が詰まる。

Calibre - Shelflife 7

 UKダンスミュージック職人Calibreの新譜。一つ前のアルバム"Feeling Normal"が全編BPM140で統一されていたのに対し、このアルバムの基調はBPM170。ハウスリスナーの感覚からするとかなり高速のドラムンベースアルバムに感じられる。

 音は安定のクオリティ。ドラムンベースとUKサウンドに求める硬質なビートに強烈なベースが楽しめる。作家のカラーというより、快楽性の原理に忠実、という感じのアルバムで、それだけに長く聴けそう。

Vince Watson - DnA LP (Deluxe Edition)

 デトロイトテクノに影響を受けたプロデューサーVince Watsonのフルアルバム。デトロイトテクノへの回帰を指向したとのことだが、正直なところいつものVince Watsonだなという感じがする。悪い意味ではなくて、デトロイトテクノらしいソウルフル/エモーショナルなシンセの音色にディープハウスのような繊細かつバウンシーなビートが加わり、全体として流麗なサウンドに仕上がっている。まさに職人の仕事という感じがする。

 このアルバムが凄いのは、この職人仕事のトータルレングスが2時間近くもあること。18曲のアルバムで中だるみしないというのは相当にすごい。

Somewhere Between: Mutant Pop, Electronic Minimalism & Shadow Sounds of Japan 1980-1988 by Light in the Attic Records

 日本のレフトフィールドポップ……つまりエクスペリメンタルに片足を突っ込んだような奇妙なポップミュージックを集めたコンピレーション。細野晴臣的な世界観が楽しい。タイトルにある"Mutant Pop"という言葉を見て、私は確かにこういう音が好きだなと思った。

 Mutant Popといえば去年はKATE NVのアルバムが話題にもなった。こういう質感を求める人は一定数いるのだろう。

読んだもの

ototoy.jp

www.cinra.net