雑記

__blurry_のおぼえがき

9/9

できたこと

  • 早起き
  • ラジオ体操
  • ランニング

雑感

マカDX・呪術

 くだらない話をする。
 父親が常に見ているJCOMのチャンネルの一つに「時代劇専門チャンネル」があり、名前の通り常に時代劇を放送している。私もよく一緒に見ていて、「名奉行 遠山の金さん」「大岡越前」「暴れん坊将軍」あたりがお気に入りである。
 時代劇専門チャンネルであるから、ターゲット層は当然時代劇が好きな年代、要するに中高年であり、このCMが頻繁に流れる。見たくない人もいるだろうから先に書くが、精力剤の錠剤である。これが面白い。

 精力剤であるからには当然性行為に言及しなければ話が始まらないのだが、テレビ番組であるのでまさか裸になったり性器の名前を口にするわけにもいかない。そういうわけで言及の全てが暗示的にならざるをえず、ほとんど意味不明な映像になってしまっている。

 原料の説明が特に好き。マカは古代アンデスから伝わる元気食材の代表格らしい。続いて漫画みたいな造形の中年が「マカはいいらしいですね。南米の植物だとかで高級なイメージがあります。高そう」みたいなことを言う。ボディラインを強調した服装の女性が続ける。売り上げNo.1の意地にかけてマカDXが半額の1,080円に!マカDXは本場アンデス有機マカだけを使用。しかもその量6,000mg!
 ここまでマカの具体的効用についての説明は一切ない。正気か?

 で、スッポンとか発酵黒ニンニクが入っているとかいう付加説明があるのだが、フォントの圧がすごい。ここで絶対に笑ってしまう。当然それら成分が何に効くのかは明示されない。効き目不明のまま一粒に栄養素が凝縮されているとか言う。誰も何も分かっていないままそれっぽい成分が凝縮され、CMを信じて世の男性たちが飲む様は完全に呪術の世界観である。
 利用者の声。筋肉質な男性。「死ぬまで、あらゆることに対して現役でいたいですね!」
 18歳年下の妻と並ぶ71歳の男性。「人生、一回ですからね!やりたいと思ったら、やる!と」了解!

 言ってしまえば男性性と性欲ドリブンの生々しい資本主義であり、オブラートの包み方が気持ち悪いといえばそうなのだが、そうであるからこそAestheticが宿るとも言える。Aestheticを大事にしていきたい……という落ちにはならない。これはくだらない話である。

メン限・アーカイブ接触不可能性

 フレン・E・ルスタリオさんのメンバーになった。ずっと「この人の配信を見たら好きになってしまうから近寄らない」と決めていたのだが、この頃の心境の変化と、天宮こころさんとの3D配信が話題になったことの二つがあって、「諦めて好きになろう」と向き合うことに決め、今日はメンバー限定の配信を見ていた。
 メンバー限定配信では配信者とリスナーの距離が近い。リスナーの母数が桁違いに少ないのだから当たり前なのだが、それはこちらの行動が配信者に影響する可能性が高まるということでもある。
 インタラクティブなストリーミング配信は怖い。私は元から「ここで大声を出したらどうなるんだろう」などとうかつで破滅的な妄想をしてしまう性質の人間であり、一点の悪意もないのに「ここでめちゃくちゃなコメントを連投したら」などとついつい考えてしまう。ライブでも同じことである。くつろいだMC中に突如として私が喚き散らしながら暴れたらどうなるだろうか? 常にそんなことを考えているわけではないが、ストリーミング配信を見ていると、時々自分の中の破滅的衝動で落ち着かなくなる。
 そしてメンバー配信である。私の暴れが配信者に届く可能性が格段に高まる。本当に落ち着かない。私の中にそういう衝動があることが怖いというより、全てが私の、リスナー一人一人の良心にゆだねられているという事実が前景化してくることが恐ろしい。
 しかし、アーカイブではそういうことを考える必要性が一切ない。映像は過去のものであり、私が泣こうが喚こうが配信者には絶対に届かない。コメントを荒らせばまた話は違ってくるだろうが、破滅に直結しない愚行までやりたがるほど私は壊れていない。
 こちらからの声が絶対に届かないこと、声なき有象無象であれることのなんという安らかさだろう。Twitterにも書かず、ただ一人で女の影を追い、今日はとても静かな一日だった。

良いツイート

聴いたもの

黒鉄たま (CV: 秋奈) - Catch a Fire (Prod. ケンモチヒデフミ)

music.youtube.com

 電音部新曲。ケンモチヒデフミの華やかなEDMで、これ自体はそこまで好きではなかった。しかしリミックスで化けそうな気配は強くあり、そちらに期待が高まる。「いただきバベル」もそうだったが、ケンモチヒデフミはリミックスで化けそうな曲を作るのが上手い。
 やっぱり電音部もリミックス込みのEP文化を導入したらいいと思う。その点では星宮ととが先を行っているが、インディーゆえの軽やかさによるものだろうか。

Merzbow - Merzbeat

 Merzbow強化月間ということでおすすめされた作品を聴いた。ドラムに感心を寄せていた時期の作品らしく、これがシンプルにかっこいい。ほとんどロックとして楽しく聴くことができた。
 買って聴きたい類の親しみやすい作品だが、裏を返せば自分の知っているパラダイムの内側にある感じもある。私がMerzbowを聴こうと思ったのは、そこに未開拓のリスニング体験があると考えたからであり、そういう意味でこれは入門作だろう。この作品でノイズに対して充分な肩慣らしができたように思う。本番はこれから。

Merzbow - Venereology

 で、これを聴いた。当時デスメタルを意識して制作したというこのアルバムは頭から末尾まで徹底してハーシュノイズが吹き荒れており、こういうのだよこういうのと嬉しくなった。
 これが気持ちいいかはまた別の話であるのだが、しばらくスピーカーで掛けながら作業をしていたところ、妙に思考がクリアになる瞬間があった。ビートもなければ法則性も見出せそうにないノイズの塊は、逆に言えば何もないのと同義である。そのノイズの中に、時々低音成分が強い草刈り機のようなフレーズが入ってきて、これがかっこいい。ノイズも極まれば裏返しのアンビエントと化し、しかもそこにはメタル的なかっこよさもある。ぐしゃぐしゃに落書きした画用紙が、無限に重ね描きしていったその果てに一枚の黒い紙になって、目を凝らせばいくつもの模様が浮かび上がってくるような、面白いリスニング体験だった。

 以下勧めてもらったものの中でBandcampにあったものをメモしておく。

 以下一言ずつ。

 EMAさんがツイートしていた曲。かっこいい。

 カスカさんのシンデレラ。この人が歌うとどうやってもロッキンなテンションになるのが良い。Vesperbellというユニットはかっこよさを前面に押し出したユニットであるのだから、これはこれでスタイルの表明だろう。

 藤井風新曲。本人のパフォーマンスにバックトラックが追い付いていない。

 星街すいせいさんの新曲……というか『自分勝手Dazzling』のB面だろうか。フュージョン寄りの2000年代ハウスっぽい雰囲気で嬉しい。
 とはいえ、星街すいせいさんがこんな曲を歌うのは意外だな……と作曲を調べてみたら堀江晶太(kemu)だったので二重にびっくりした。「インビジブル」とか「イカサマライフゲイム」のイメージしかなく、アルバムクレジットで見た時も期待値は限りなく低かったのだが、思わぬ収穫だった。

読んだもの

レベッカ・ブラウン『若かった日々』収録『ナンシー・ブース、あなたがどこにいるにせよ』、李琴峰『ポラリスが降り注ぐ夜』収録『日暮れ』を読んだ。少女は世界を引き受けるための何かに出会っていると嬉しいし、成人した女は何にも出会えず根無し草のように都市を漂流していると嬉しい。