雑記

__blurry_のおぼえがき

7/26

できたこと

  • 夜勤
  • 洗濯
  • 皿洗い
  • 炊飯器をセットする
  • 回線契約の解除手続き
  • 買い物
  • パンチェッタの仕込み
  • ランニング

雑感

 サブスクについての話を3つほど。SpotifyApple Musicその他のサブスク型音楽ストリーミングサービスを想定している。

分散化

 朝にバンナムアイマス楽曲サブスク解禁がアナウンスされてタイムラインが期待と興奮で沸き立っていたのだが、夕方ごろになってバンナム楽曲の主要ストリーミングサービスからの撤退やアナウンス記事のサイレント修正などの報告が上がるにつれ、盛り上がりはこの"サブスク"が自社製囲い込みサービスなのではないか……というざわめきに変わった。
 よくよく考えると、ではそれで何がいけないのだろう……という気がしてくる。私はApple MusicなりSpotifyなりの1再生ごとのロイヤリティが充分だとは思っていない。バンナムの楽曲しかないのだから分配の原資がカツカツになる公算は低く、1再生ごとのロイヤリティを他のストリーミングサービスより高く設定することも充分可能だろう。それが実現するのであれば、アーティストへの金銭的支援という点で考えるに何の文句もない。
 むろんUIと機能、音質がちゃんとしているという条件付きでだが……。正直なところ二次元コンテンツに良質なUXは期待できないので、今のところは理屈の上でだけの感想に留めておく。

購入

 サブスクと音楽産業の話が盛り上がるたびに「この人達音源買ってるのかな」と思う。サブスクの還元率に問題があり、サブスクという装置自体にスケールの力頼みという問題があるのは分かっているが、当面解決の見込みがない以上は、個人としては音源を買うことでアーティストを支援していこう……と、一旦はそういう結論が出るものと思っている。音楽が好きだという気持ちに金銭的な横槍を入れるようだが、売り物となる音楽とアーティストの生活は基本的に地続きである。音楽に政治が持ち込まれることは現代においてはもはや当然のこととなったように、アーティストの生活について考えることも当然となればいいと思う。

追記:「今はストリーミング型のビジネスモデルでメイクマネーするのが基本」という考え方もあるだろうが、私が普段聴いている音楽はストリーミングでは絶対にメイクマネーできない。そういうシーンが好きな人間としてはサブスクを現状追認などはしない。この点についてはジャンル・シーンごとにいろいろな見方があるだろうと思う。

キャパシティ

 上の話の続きとなるが、かといって「買えないことは悪」とは考えていない。金銭的に余裕がなくて買えないからストリーミングサービスを使っている、という人は身近にもいる。だからサブスクを使う時、そこで気に入って何回も聴きたいと思ったものは買う、という習慣が広まればいいと思う。ようはバランス。はなから買う気がない人の言い訳に使われそうな気もするが……。

読んだもの

 トニ・モリスン『青い眼がほしい』を読み進めている。

7/23

できたこと

  • 皿洗い

雑感

ローカル

 前日は1時ごろまで起きていたので8時ごろまで寝よう……と思っていたのが結局7時半には目が覚めてしまい、今日もあえなく睡眠不足となった。なんとかならないんだろうか。
 何もできずに部屋でだらだらと時間を過ごし、なんとかそうめんだけ茹でたところで爆裂なカロリーが摂りたくなる。具体的にはオリーブオイルに浸した焼きたてのフランスパンが食べたくなり、アヒージョを作ろうと思い立ってスーパーに出かけた。
 スーパーまでの道すがらにインディーのビアガーデンの看板があったので興味本位で入ってみて、メニューがあったので興味本位で注文してみると、気がついた時には土曜の昼前から飲酒する人になっていた。口をつけるまでこれが「飲酒」に相当することに全く気がつかなかったので、相当寝不足だったんだろうな……。
 ベンチに座ってビール(サワーエールという種類らしい。泡はクリーミーで本体は酸味がありとてもおいしい)をちびちび飲んでいると店員さんたちの会話が聞こえてきたので、ラジオ感覚でしばらく耳をそばだてていると、どうも白人女性の店員さんが日本の音楽が好きで、坂本慎太郎ライジングサンに来るとか、おとぼけビーバーが好きだとか、今年はBIG FUN(Precious Hallが主催する札幌のフェス。芸術の森で行われる)が開かれるとか、どうもコアな音楽の話をしていたのでついつい話に混ざってしまった。こういうことがあるのでローカルは楽しい。まあ会話が全然ダメなのはいつも通りなのだけれど……。
 しばらく話して、ついでにもう一杯くらいお酒をいただいたところでその場を後にし、スーパーでトマトなりブロッコリーなりを買い込んで家に帰った。冷蔵庫に買ったものをあらかた詰め込んだところで眠気に襲われ、一時間くらい寝るか……とベッドに寝転がると、次に起きた時には3時間近くが経過していた。昼寝して1時間で起きられるわけがないと分かりつつ、それでも眠かったのだからこれはもう仕方ない。昼前から酒を飲んで午後はぐっすり寝ていい日もある。

アヒージョ

 ようやく身体が起きてきたところでアヒージョに着手。名前はおしゃれだが、具材を全部切って調味しつつオリーブオイルで煮込めば出来上がるのだからお手軽この上ない。
 いつもの癖で二人分作ってしまったせいで終盤は格闘する羽目になった。一人分ならトマトは一個でいいし、ブロッコリーは半分でいい。カマンベールチーズ一個は入れすぎ。

乱闘

 しばらくやり取りの途絶えていた友達とコンタクトを取り、オンラインでスマブラを二時間ほど。ずいぶん回線が重いなと思ったら、向こうがいつのまにか実家を出ていて、これから回線工事とのこと。対戦したいという気持ちで呼んだのは間違いないが、そういう近況報告をし合う口実を作るという意味で、共通の趣味のゲームがあるのはいいなと思った。今度は向こうの家に行く予定。ついでにもう一人にも声をかけた。たくさん遊びたい。

リコリス・リコイル

 どうも盛り上がっているらしい、と相互の日記で知ってからアマプラにある分を一気見して、一気にハマった。作品の根底にある思想観が自分にとってタイムリーだったのが理由だと思う。
 DAは「暗殺を請け負う孤児の十代の少女」というあまりに極端に邪悪な存在であるのだが、たきなが「私たちDAは殺人が許可されています」と言うところが個人的に面白いなと思った。社会あるいは組織において一つの行いが是認されていることと、それが現代社会の一個人の行いとして肯定しうるかという問いを混同した物言いは、たきながまだ半分くらいしか自我を持っていないことの現れである。今後はこの部分が問われていくことになりそう。ついでに言えば、ここにはDAにおける同胞殺しの扱いであったり、殺人によるDAというホモソーシャルへのイニシエーションや同質性の強化であったりするような、今後問われるシチュエーションへの伏線もあるように思われる(後者については3話で少しだけ言及がある)。

 追記:4話を見た。さかなに見えないさかなの合理的デザインの有無→殺人をしないリコリス→類稀な殺しの天才と話を転がすのが面白かった。人の心は自然のデザインに則るとは限らないが、先天的なgiftはそうもいかない。そして殺しの才覚を磨くためにアランが喫茶リコリコに顔を出しているのであれば、今後の筋はノワールにおけるグラン・ルトゥールに似通っていくような気配がある。死を司る二人の乙女、二人で一つの殺しのユニットの誕生に。

聴いたもの

A Place To Bury Strangers - A Place To Bury Strangers

 NYのノイズ・シューゲイザー・ガレージロックバンドのファースト。粗く激しいシューゲイザーサウンドを中心に様々なアプローチを試みているバンドで、ギターサウンドの快楽性が凄まじい上にソングライティングが上手いため理屈抜きに吹っ飛ばされてしまう。しかしガレージロック的な単調な音楽なのかと言うとそうではなく、ギターにブラスを重ねてノイズ的なヘヴィネスを増したり、リズムマシンによる高速ノイズエレクトロチューンが数曲あったりと、NYアンダーグラウンド/ノーウェーブシーンの豊かな蓄積が反映されている。相互の人によるとかなりジザメリ度が高い音楽らしい。良いアルバムだった。

7/16

できたこと

  • おしゃれ
  • 部屋の片づけ

雑感

今日

 大学の同期が内地から帰ってきたので飲みに出かけた。本当は海に行く予定だったのだけれど、あいにくの曇天でまばらに雨も降っていたので仕方がない。
 とはいえ、昨日の夜更かしのせいでまともに動くことができず、待ち合わせに大幅に遅れてしまったし、空腹で明らかに不寛容で怒りっぽくなっているのを感じて一人でケンタッキーを食べに行くなどの行動に出てしまったのが大幅な減点だった。とはいえ何も食べずにその場にいれば些細なことで怒って一人だけ帰るくらいのことはやりかねなかったし、その場でできる中では最善の行動だったように思う。そもそも遊ぶ前日はちゃんと寝るべきではあったのだけれど、これは次回の改善点。

 その後ボウリングに行き、ふらふらとラブホ街などすすきのの治安の悪いエリアをうろつき、私の希望により中島公園で飲酒し、それからまた別の居酒屋に入った。正直その日はみんなのテンションも上がりきらない感じだったのだが、中島公園あたりから明らかに加速して、最終的には2022年の思い出に残る夜になった。本当に良い夜だった。またやりたい。

追記:「お腹が空くと呂布カルマみたいになる」というスニッカーズのCMがあるが、自分の性質はあれを冗談にできない。お腹が空いているときの自分は明らかに情緒がおかしくなっているし、それをコントロールすることが全くできない。ご飯はちゃんと食べるようにする。

当方めっぽう陰気です

「当方めっぽう気さくです」という言葉をツイートする人を全く信用していない。理由はそんなことを言う人間が気さくなわけがないし、そもそも信用を積み立てるという人間関係の基本を無視しているから。
 本当に気さくであるならツイートを見ればだいたい分かるか、あるいは分かるように振る舞うだろうから、そもそもこんな文字列がツイートに現れてくることがない。だからこの時点でどうしても冷ややかな目になる。
 それに、いったん百歩譲って言い分を聞き入れるとしても、「気さくです」とわざわざ表明するのは、自分が日頃気難しそうに見えているということを強く意識しているからだろう。それにも関わらず改善を怠り、「一旦会って現実/本当の自分を見てほしい」と一発逆転を狙うのは、人間関係の在りようとして果たして誠実だろうかと思うし、それはそもそもTwitterというテキストスペースに参加している人間のやることではない。テキストベースのコミュニケーションをやるならテキストベースなりのやり方がある。それができないなら見た目に分かりやすく気さくに振る舞うように方針を切り替えた方がいい。

 これに限らないが、自分の性質について先回りして表明しておくことで、他者からの判断を封じようとするような態度がどうも受け付けなくなってきている。他者が見て判断を下すのを待てないのか、それとも判断が恐ろしいのか……。他者は他者として自分をジャッジするというのはある意味冷酷だが、それでも社会の中で、人々の中で生きようと思うなら、無数のジャッジが待ち受ける空間の中に100%BETした自己をさらすほかにはないだろうと思う。

 これで言うのであれば、個人的には当方めっぽう陰気ですと表明しておきたい。事実ツイートも陰気であるし、実際に会って話したいという感情も当座のところは全くない。私の性格はローカルの知り合いが知っていればもうそれでいい。

7/15

できたこと

  • 洗濯
  • 料理

聴いたもの

 今日はBandcampカートの清算のため、一日ずっと音楽を聴いていた。収穫が多く、これはいろんな人に刺さりそうだな……という作品がちょこちょこあったので、ざっくりジャンルで分けて紹介する。

ダンス系

 UKGをベースにしAphex Twinエレクトロニカを混ぜたような変な曲。買うとこのアーティストのDiscordサーバへのアクセスパスワードがついてくる。まだ二曲しか出していないアーティストなのと、Discordコミュニティを用意しているところが面白かった。

 UKGのベテランY U QTがShall Not Fade傘下Time Is Nowからリリース。ただただストレートに強いフロアバンガーが並ぶ。

 UKGの新鋭Amy DabbsのEP。エレピを取り入れた暖かみのあるUKG。ハウスにも近いジャストな塩梅の音。

 Robster ThereminからもEPが出ている。こちらはジャングルのプロデューサーCoco Bryceとの共作。

 インダストリアルやベースミュージックの荒々しくダークなサウンドレゲトンやバイレファンキを融合させた、治安の悪いダンスミュージック。

 先日RAで特集記事が組まれていた。

https://ra.co/features/4009

 Toy Tonicsの2021年ベストセラーコンピ。Toy Tonicsらしい陽気なディスコハウスのエッセンス10曲。踊りたい時に。おすすめは3曲目"Sam Ruffillo - Danza Organica"。

 昔から安定してアンセムを量産するKiNKの最新EP。全曲バンガーだが2曲目の"Beep Beep"は変な音がして特に好き。

 Four Tetのレーベルから次に出るアーティストのアルバムの先行シングル。一曲目がころころビートが切り替わって面白い。ダンス系というかビートミュージックか。

UKジャズ系

 UKジャズと書いた通りビバップ等々の70年代以前の音は全くない。

 これはとても良かった。生音の豊かな質感に浸りたい時に。

 現代UKジャズの震源地Brownswood Redordingsからの新譜。Nybya Garciaの作品に参加するマルチミュージシャンDoomCannonのファーストソロで、質の高いUKジャズが聴ける。BLM以降のシリアスで緊迫したムードと南アジャズのコズミック/アフロフューチャリズム的なサウンドがUKの洗練されたグルーヴのもとで統合されている。聴きやすい。

ロック系

 詳細な定義には立ち入らない。

 フランスのチェンバープログレバンドArt Zoydのサード。Magmaのような、フリージャズとプログレが混交した熱量のあるサウンドに厚みのあるストリングスが重なってとてもかっこいい。長尺で壮大で、しかも楽曲に展開があるというのが久しぶりすぎて聴き方を思い出すのに時間がかかった。

 Black Midiの新譜。変な音だが必ずどれか一つのパートは聴きやすい/既存のプリミティブな快楽性に沿った音を鳴らしているので、都度とっかかりを探しながら聴いていくと意外と気持ちよく聴き通せる。ボルダリングという例えもできるかもしれない。

その他

 チェロとピアノとギターのトリオによる変な音楽。具体的に言うと中世やバロックの語法とポストクラシカルとフリージャズとライヒミニマリズムをかなり聴きやすい配合で融合させたような音で、常になんとなく親しみやすさがあるし、その親しみやすさの下にそれぞれの元ネタの奥深い味わいが広がっている。なんとなく静かな音楽をかけたいという時に。

7/6

できたこと

 何もできていない。え?

雑感

自明性

 サイゼリヤに関するツイートが論戦を巻き起こしていた。

 自分の感想はこれに尽きる。「それくらい千葉雅也が分かってないわけないだろ……」という気持ちになって議論に対する言及は全然追っていない。

温室

 新居で初めての夏を過ごしているのだが、暑すぎる……。気温と湿度があまりに高くてとてもではないが眠れないし、在宅で仕事していても暑さで何も手につかない。かといってエアコンをつけると体表の温度だけが下がる感じが気持ち悪い。エアコンがあっても扇風機も欲しくなるとは思わなかった。
 とりあえず夜の寝苦しさを改善するためにアイス枕を購入し、なんとか就寝自体には成功している。実家にいる頃からの愛用品だが、10年選手のそれと比べると今のアイス枕は格段に柔らかくなっていて技術の進歩を感じた。

マチュアリズム

「音楽は詳しくないから分からないけど」という前置きをよく目にする。知識の度合いがどうであれ、ともかく自分の感想にBETすればいいのでは……と思う。
 あらゆるコンテンツに言えることだが、批評的なマインドで作品に取り組むことの良し悪しだなと思う。批評というゲームにおいては無数の先行者がいて、「詳しくないから分からない」というのはその先行者からの批判を避けるための言葉だと思っているのだが、ただ鑑賞を行う限りでは作品と自分の一対一であり、そこで生じた感想はそんなゲームとは一切関係がない。だから「他人がどう言おうと今の時点ではつまらん/面白い」と思ったのならそれは完全に不可侵である。それは他人の感想を損なうことではない。これは余談だが、タイムラインの全員が同じようなことを書いていると気持ち悪くなってくるので、自分が面白いと思ったものが他人にとっては当たりはずれがあるというくらいがちょうどいい。そうであった上で、分かり合えるものを探り合うというのが適度な距離感だと思う。
 ともかく、批評のゲームに乗らなくていい時と、乗った上で何かを言いたい時とでモードを使い分けられたらいいなと思った。

追記:しかし他者の雑な感想が嫌いというのも一理ある。私も黒田夏子"abさんご"に対して「統合失調症の書いた文にしか見えない」という感想を目にした時は正直癇に障った。これは極端な例だし、そういう物言いをする人は身近にはいないから例示にはならないけれど。

良いツイート

聴いたもの

bvdub - Hearts of Stone

 ダブテクノのベテランbvdubの最新作。上半期ベストに入れた作品。
 ダブテクノとは書いたがこの人のサウンドはかなりエモーショナルだしテクノ的な脈動があるわけでもない。アンビエントテクノ的なエモーショナルな空間に、ダブワイズされたビートとボーカルサンプルが漂うというスタイルはむしろエレクトロニカに含めた方が妥当かもしれない。
 この作品は"ダブワイズ"という手法において一つ上の次元に達していると感じた。ダブワイズとは本来リバーブとディレイによって音を霞ませ、サウンドに独特の情緒と奥行きを与えることだけではない。今作において重要なのは、音響空間の中でドラムとベースを強調し、サウンドに異様な迫力を与えるという性質である。これによって磨き上げられ、インダストリアル的な暴力性すら帯びたリズムマシンと低音がダブのルール下で漂うことにより、アンビエント空間の優しいエモーショナルさが相対的なものとして浮き上がってくる。
 簡単に言えばこの作品は「ダビーなエレクトロニカ」ではなく、「"エレクトロニカ"というジャンルそのもののダブワイズ」を達成していると感じる。そういう意味ではすごく原理主義的でありつつ、一つ面白いのは、オートチューンのかかったボーカルサンプルや、アンビエントとしてのコード感はかなりメインストリーム寄りであるにも関わらず、先述したようなビートと低音の力によってトータルではかなり強度のあるサウンドに聞こえるということ。ダブという手法のサウンドに対する再構築的作用の強さをひしひしと感じた。
 全曲良いアルバムなのだが、あえてハイライトを挙げるとすればタイトルトラックの3曲目。シンセの長いサスティーンが幾重にも重なった壁のような分厚いサウンドシューゲイザーにも接近している。

ヰ世界情緒 - ロスト・デリュージョン(cover)

 神椿のシンガーヰ世界情緒の最新カバー。"界隈曲"(知らない人向け:「ヤツメ穴」「髥莏」などを聴けば雰囲気はつかめます)のような怪しげな抑揚を持つ8ビットのシンセポップの上で、ヰ世界情緒の"少女性"そのもののような歌声が甘く響く。この電子音からなる怪しげなサウンドも、歌詞の意味も全く理解せず、ただ溢れ出てくるから歌にした、というような飾り気のなさがこの仮想的な"少女性"なるものの根本にあるのだなと感じた。この動画のイラストはそういった魅力を的確に捉えていてとても良い。

読んだもの

news.yahoo.co.jp

note.com

 相互の記事。

2022年上半期ベスト音源

これは何

 2022年の上半期が終わったので軽くベストをまとめようと思い立った。ルールは以下。

  • 買ったものだけ:別に反サブスクが高じてのことではない。接触回数の問題として、買った音源以外のことをほとんど覚えていないから。
  • 2022年のリリースに限る:それはそう。気分が向いたら旧譜もまとめるかもしれない。
  • 順不同:並びに順位は一切関係ない。ただ目についた順に並べただけなので、リリース日もアルファベット順も整っていない。

アルバム

Batu - Opal

Crackazat - Evergreen

Harvey Sutherland - Boy

KMRU & Aho Ssan - Limen

The Smile - A Light for Attracting Attention

bvdub - Hearts of Stone

WEMA - WEMA

Afrorack - The Afrorack

Automatisme - Statique

FINAL - It Comes To Us All

Mina - TRANCEHALL

Mogao - Finger Pointing To The Moon

Marina Herlop - Pripyat

Ralph Heidel - MODERN LIFE

Stefano Pilia - Spiralis Aurea

Justin the Lover - Form and Function

Alabaster DePlume - GOLD

Boris - W

Julian Sartorius & Matthew Herbert - Drum Solo

Nahi Mitti - Aisaund Sings

Overmono - Cash Romantic

Rekid - 99

SOUL GLO - Diaspora Problems

Maria Moles - For Leolanda

SCALPING - Void

DKMA - Boston Boy (Vol. 1)

Shakali - Aurinkopari

Teno Afrika - Where You Are

Albert van Abbe - Nondual

Denzel Curry - Melt My Eyez See Your Future

Zeal and Ardor - Zeal and Ardor

Éliane Radigue & Frédéric Blondy - Occam XXV

SAULT - AIR

Spoon - Lucifer On The Sofa

Aiobahn - all connected

music.youtube.com

Pusha T - It's Almost Dry

music.youtube.com

EP・シングル

Spiller featuring Sophie Ellis-Bextor - Groovejet (If This Ain't Love) (Remixes)

Tiga - Easy

Bassfort - Moon Shadow / Moon Light (10th Anniversary Mixes)

Blackhaine - Armour II

Space Afrika - B£E ft. Blackhaine (aya wavefold)

Daffy & PJ Bridger - Way Back When EP

Duval Timothy - DYE

Duck Sauce - Put The Sauce On It

Fellsius - Jom / Kai

Small Car NRG - Road Legal

Sammy Virji - BLOOM

Skeleton King - Falling In Love

T5UMUT5UMU - Bantha / Jawa

Anunaku & DJ Plead - 032

Azu Tiwaline & Al Wootton - Alandazu E.P.

Bluetoof - Alakazam EP

Break & Total Science - Blame You / Aardvark

Byron Stingily - Testify(Kerri Chandler's Unreleased Dub Mixes)

Iceage - Pull Up

Floating Points - Vocoder

Jensen Interceptor & DJ Fuckoff - Club Angels EP

Solazz - Highlife Disco

Mani Festo - Leviathan EP

Nikki Nair, DJ ADHD - Rips EP

Xander - Restless EP

Air Max '97 - Psyllium / Eat The Rich

audiot909 feat.あっこゴリラ - RAT-TAT-TAT

Midnight Grand Orchestra - SOS

music.youtube.com

戌神ころね - Doggy god's Street

music.youtube.com

ロボ子さん- リルビ

music.youtube.com

Mori Calliope - MERA MERA

music.youtube.com

おわりに

 かなり激しいビートやノイズを取り入れた作品が多くなったように感じる。2022年はコロナ禍でアーティストがアンビエントテイストの作品を多くリリースしたというが、私はその逆に行ったものと見える。原因は明らかにメルツバウに触れたことだろう。というかアンビエントそれ自体で言えば正直飽きが回っているし……。、去年の四月に出たCeler "Malaria"が強力過ぎたということもあるけれど。

 このリストの多くはタイムラインで人々が話題にしていたもので構成されている。いつも良い音源をツイートで紹介してくれてありがとうございます。皆さんのおかげで私の音楽ライフが充実していると言っても過言ではない。これからもたくさん教えてください。

 2022年上半期はおそらく200前後くらいの数の作品を買っているのだが、印象に残ったもの、傑作と判別できるものに絞るとこれだけになってしまう……ということにびっくりした。下半期はもう少し絞っていきたい……せめて月3万円弱くらいに……。

7/4

できたこと

  • 出社
  • ゴミ出し

雑感

熱帯夜

 昨日は暑すぎて眠れなかった。おかげで寝不足のところに午後出社があり、疲れ果ててしまった。この体調でゴミを出しカレーを作り皿を洗い洗濯物を干せたのだから、今日は自分を褒めていい。

聴いたもの

P丸様。 - MOTTAI

 P丸様。の新曲。承認欲求の歌。
 この人の歌唱には独特の癖がある。楽曲のビートに対してフロウで乗る歌唱ではなく、パーカッシブかつ歯切れよく、いわばビートに対してビートを重ねるような歌唱というか。加えて、メロディの音程やリズムは外さないが、フレーズの末尾には普通に喋っているときのような吐息や跳ねや音程のくしゃっとした崩れが不規則に混じることで、聴き心地の良さとキャラクター的な魅力が両立している。

「その指止めて私を見て 私だけ見て それ以外いらない」もすごい。前二つのフレーズの末尾は切実に訴えるように音程の下方向へのずれとともに喉の詰まったような歌唱表現をするのだが、「それ以外いらない」ですっと安らいだような歌い方に切り替わる。緊張と解放の表現がとても自然な形でなされていて、こういうことができる人は滅多にいない。やはりすごい人だなと思った。

 この人は輝夜月名義での(今でも変わらない)コミカルな印象をもって受け止められていると思うが、エモーショナルな歌を歌っても一級のシンガーである。ピアノの透き通った音色に対して美声で応答するのでなく、その特徴的な喉を締め上げたような声そのままに歌い上げることで、響きに強烈なコントラストを生んでいる。

ロボ子さん - リルビ

 ここ最近ずっと聴いている曲。ホロライブ0期生のロボ子さんのオリジナル。
 まずはビートがかっこよすぎる。エレクトロファンクとハードロックにゴシックのカラーを差した、80年代Michael Jacksonサウンドを想起させる音使いの時点で相当に刺さっていたのだが、「Tick Tick Tick Tick Tick Tock Tock リルビ リルビ リルビ リルビ」の裏、あるいはサビにおける軽いスネアの乱打の言い知れない気持ち良さに完全に打ちのめされてしまった。

 コンセプトの面で言えば、聴いて分かる通りここで想定されているロボットはねじ巻き式の古いステレオタイプなのだが、ネジをキリキリ回しながら動く様子、あるいはネジが切れて都度巻いてもらう様子がトラップの細かいスネアの刻みとその静止によって表現されている。クールなビートがコンセプト的に必然的に組み込まれているというのは一番かっこいいと思う。
 最後にロボ子さんの歌唱について。この人の歌はいわゆる上手い歌ではない。それどころか明らかに意図されていない形でもたついたり走ったりするし、発声は安定しない。そしてそのことがこの人の魅力だと感じている。リズムの乱れは楽曲の中にリズムの緩み/遊びを生むことでビートの鋭さを際立たせる。発声の安定しなさによって、多様で一つ一つ固有の魅力を持ちつつ、全て"ロボ子さん"だと分かる強い記名性のある声音が万華鏡のように手を変え品を変え立ち現れる。その不安定さが次に何が出てくるのか分からない緊張感を生み、楽曲のテンションと噛み合った時には一層の感動を覚える。
 大仰なことを言えば、硬派なバックトラックに対してゆるいシンガーを乗せるというのはCANやポストパンクによってすでに確立された表現法である。それがアイドルと二次元カルチャーから再発明され、しかも他のカルチャーからは生まれ得ない固有の美質を備えてリリースされたことが奇跡的に感じる。こういうことがあるからVの音楽はやめられない。

 こちらはインスト版。これだけでも十二分にダンストラックとして通用する強度がある。